2020年12月24日木曜日

20201223 10000時間の法則と文体獲得に至るまでについて思ったこと・・

 これまでどうにか1400記事以上作成してきたから、こうした文章を作成するのが楽になってくるというわけでもなく、自身の記憶と感覚に基づきますと、それは波があると云えます。

また、継続して作成している記事の様式があれば、それに則り、そこまで労せずに記事作成が出来るとは云えますが、そこでもまた別種の波のようなものがあるように思われます。

これまでの【架空の話】は、概ね自身の記憶に基づいて作成していますが、その作成に際しても「そういえばこんなことがあった・・。」といった記憶が、書いているうちに沸々と湧いてくる時と、そうでない時があり、後者である場合は、何故だかとても眠たくなってきます。そうした時は、まさに寝落ちしそうになりながら作成しています。対して前者である場合は、調子が良いと、本当にスルッと1時間も経たずに、ある程度キリが良く、そしてまた適当な文量になっています。

しかしながら、こうした日は決して多くはなく、大半は後者に近いのが現状と云えます。こうした違いが何により生じているのかを明らかにすれば、もう少し効率的な記事の作成に繋がるように思われますが、しかし、それを明らかにする前に次の記事作成を行っていると云えることから、未だにそれは改善されていません・・(苦笑)。

おそらくそれは、今後首尾よく1500記事に到達して1カ月程、新規の記事作成を休止している時に何か良いアイデアが浮かんでくるのではないかと捕らぬ狸のなんとやらを行っています・・(苦笑)。

また、昨今よく聞くハナシで10000時間の法則というものがあるとのことで、何かの技芸の上達のためには、それを10000時間継続する必要があるとのことです。その伝で考えてみますと、1記事の作成に2時間を要する場合、5000記事の投稿が必要であり、3時間であれば3333記事程となります。

そうしますと、所用作成時間が2・3時間の何れの場合であれ、未だ現在半分にも至っていないこととなり、途方に暮れてしまいます・・(苦笑)。しかし他方で、もしも、当ブログ記事作成を始める以前の、さまざまな文章作成に費やした時間をも加算することが妥当であるのならば、感覚的にではありますが「半分以上までには至っているのではないか?」とも思われてきます・・。

とはいえ、そうしたものは、何かの拍子にパッと気付くものであるのか、あるいは加齢の様に、気が付かないうちに、徐々に進行していくものか分かりませんが、そうしたことが起きるのをボンヤリと期待し、気に留めつつ、その都度の記事作成を続けるのが、最も堅い進め方ではあるように思われます・・。

そして、もしもそのようになったら、一体自身の文体はどのようなものになるのでしょうか・・?あるいは「何でも文章で表現できる!」といった自信にでもなるのでしょうか?そして、さらに、それは何に生かすことが出来るのだろうか?

馬鹿らしいかもしれませんが、そうした期待のようなものは思いのほかに大事ではないかと考えますが、さて、如何でしょうか?

*今回もまた、ここまで読んで頂き、どうもありがとうございます!






一般社団法人大学支援機構

~書籍のご案内~

ISBN978-4-263-46420-5

~勉強会の御案内~
歯科材料全般あるいは、いくつかの歯科材料に関する勉強会・講演会の開催を検討されていましたら、ご相談承ります。また、上記以外、他諸分野での研究室・法人・院内等の勉強会・特別講義のご相談も承ります。

~勉強会・特別講義 問合せ 連絡先メールアドレス~
tsurukiclinic2001@gmail.com
どうぞよろしくお願いいたします!
鶴木クリニック医科・歯科
歯科衛生士さん募集中







2020年12月21日月曜日

20201221【架空の話】・其の56

こうして、その様子を傍から眺めてみると、彼等彼女等はいかにも若く、どうも高校生の様にも見えるのであった。

一般的に大学2年生は十九歳もしくは二十歳(はたち)であることから、参加メンバーには未成年も少なからずいたと云えるのだが、そのあたりは、最近はシッカリとしているらしく二十歳になっている者のみ、お酒を注文することを許されていた。とはいえ実際に「飲み方」が始まると多少ルーズになってしまうらしく、会の終わり頃になると、どうしたわけか二十歳に達していないと思しき学生達も、顔を赤くして上機嫌な様子になっていた(出来上がっていた。)。

こうした本来であれば禁じられた飲酒をしてしまうのは、概ね男子学生であり、女子学生の方は、少なくともこうした場所では、飲酒を伴わないような陽気さで盛り上がっていたように見受けられた。

私の在籍する口腔保健工学科は、一学年で私を入れて十八名であり、そのうち半分が女子学生であった。また、私以外の男子学生は現役か一浪であり、つまり、その中では私が突出した年長者であった。

とはいうものの、私には頼るべきツテなどなかったことから、以前にも述べたように学科内では何となく浮いてしまい、また、それを改善すべく私の方も「友達作り」を積極的に行わなかったためか、ここでは、最後まで友達らしい友達は出来ずに終わった。

飲み屋さんに入り、出席を確認し、飲み物を注文してしばらくすると、つきだしと、はじめの飲み物が運ばれて来た。それらが皆に行きわたると、さきほど私への対応を行ってくださった女子学生が立ち上がり「皆さん、小テストやレポートや実習などでお疲れとは思いますが、今日は今年度から新たに口腔保健工学科に編入された***さんにもご参加をしてもらい、全員参加にて、このような会を開くことが出来ました。今後も皆で力を合わせて頑張り、講義や実習をパスして行きましょう。」といった主旨の挨拶をされて乾杯となった。

会が始まると、しばらくは平和な感じでの飲食となったが、やがて、同期の男子学生の中でも割とヤンチャな感じの三人組がこちらに来て、私に話し掛け、ビールを注ぎ合ったりした。そこまでは何事もなく、まあ穏やかなやりとりであったが、どうしたわけか話題が私の服装のことになり、三人組のうちの一人が少し酔っている様子にて「***さんは、たしか東京から来たんだよね。・・入学した頃から見ていると、着ている服装の好みが結構俺と被っているから、前から話してみたかったんだ・。それで、そこに置いてある帽子なんてなかなか良いよね・・。ちょっと被らせてよ。」といった感じで訊ねてきたため、傍らのブーニーハットを渡すと、それを受け取り被って、他の二人に「これ、どう?」と云った感じに視線で訊ねていた。すると他の一人が突如、その帽子を頭から奪い取り、自分で被ってみて、そしてすぐに、それを座っている床に叩き付けた。その突然の動作に私は驚いたが、しかし同時に、彼らからは特に底意のある悪気のようなものは感じられなかった。もし、そうしたものがあったのだとすれば、それは自らのものとは異なる文化に接した時の本能的な警戒感や違和感のようなものであったように思われる。

それでも、この動作には周囲の注意を引いたようであり、その場が少しの間固まっていた(苦笑)。

しかし、それも酔った上での行動と認識されたようであり、また徐々に「飲み方」の空気は、和やかなものに戻って行った。またその後、Kでの在住期間に、何度かこれに類するような出来事に遭遇したが、それは決して悪い意味でなく、当地域での感情発露の仕方の一つなのであろうと思われた。

その後の「飲み方」は特に荒れることもなく盛り上がり、私も以前と比べて少しは周囲の方々と打ち解けたような感じを受けたが、それはまた翌週の月曜日になってみないと分からないところであろう・・。

*今回もまた、ここまで読んで頂き、どうもありがとうございます!



ISBN978-4-263-46420-5

~勉強会の御案内~
歯科材料全般あるいは、いくつかの歯科材料に関する勉強会・講演会の開催を検討されていましたら、ご相談承ります。また、上記以外、他諸分野での研究室・法人・院内等の勉強会・特別講義のご相談も承ります。

~勉強会・特別講義 問合せ 連絡先メールアドレス~
tsurukiclinic2001@gmail.com
どうぞよろしくお願いいたします!
鶴木クリニック医科・歯科
歯科衛生士さん募集中





20201220 年内作成記事目標の更新から思ったこと

 おかげさまで、前回の記事投稿により総投稿記事数が1440に到達しました。また、以前に、年内での目標記事投稿数を1440と述べましたが、その目標には到達し、次はその目標を1445に更新しようと思います。

年内残り10日あまりにて5記事を追加投稿することは、そこまで困難とは感じられず、また、これまで書き続けている【架空の話】の続きも作成したいと考えています。

この【架空の話】ですが、直近投稿の「其の55」は、投稿後4日にしては、思いのほか多くの方々に読んで頂きました。これを読んで頂いた皆さま、どうもありがとうございます。

他方で、専門職大学の編入試験からKでのアパート探しまでを概ね時系列的に書いた、其の1~其の52から少し時間が進み、GW後、学科にて開催の「飲み方」について書いた「其の53」も、さきと同様、自身の作成記事としては多くの方々に読んで頂いていたことから、次回投稿の【架空の話】は、この「飲み方」(「其の53」)の先を書いてみようと考えています。

しかし同時に、いずれであれ、これらを更に今後、書き進めていくためには、実際に現地を訪れ自身の記憶を励起させるか、あるいは取材的に現地での見聞を更新する必要があるのではないかと思われましたが、現今状況下では、それは叶いませんので、今しばらくは現在の環境下にて書き続けてみようと思います・・。

また、その際に多少役立つと思われたものは、自身の歯科技工学校時代のノートであり、これは先日、本箱の中から探し出しました。

当時、2007年頃の私は、文系院の修士を修了した直後のためか、変に理屈っぽくなっており、一方で、自らの手があまり器用に動かないことに、苛立ちのようなものを覚え、焦燥感のようなものを抱いていました。しかし、そうであっても初めて見聞する歯科医療分野の知識は大変新鮮であり、特に歯科材料学(歯科理工学)は、それまで文系院にて取組んだ、主に紀南地域の地域性検討のための一要素として定めた弥生時代の青銅製祭器「銅鐸」の作成手法が、原理的には、歯科医療分野での合金製歯冠修復物(メタルクラウン)と同じであったことから興味を持ち、自分なりに色々と取組んだ結果、その分野での大学院に歯科技工士として進むことになりました・・。

現在では、こうした歯科技工士の方々がいらっしゃることは知っていますが、当時(2009年)はかなり珍しかったのではないかと思われます・・。あるいは巨視的に見ると、これは一つの社会実験であったのかもしれませんが、その意味においては、私は「失敗した試作機」と云えなくもないです・・(苦笑)。

しかし他方で、そうした背景を持つ人間(そこでは私が歯科技工士であるということは背景の一要素となる。)が、これまたヘンテコにもブログ記事の作成をどうにか5年以上続け、そしてまた、書籍からの抜粋記事が少なからずあるものの、どうにか1400記事程度まで作成出来ていることは、直接的な社会有用性にはあまり寄与していないのかもしれませんが、それでも、何らかの新たな可能性を社会に示唆しているのではないかと、自惚れではありましょうが提示し、主張してみたくもなるのです・・(笑)。

ともあれ、年内に1445記事まで到達出来ればと思います。

*今回もまた、ここまで読んで頂き、どうもありがとうございます!



ISBN978-4-263-46420-5

~勉強会の御案内~
歯科材料全般あるいは、いくつかの歯科材料に関する勉強会・講演会の開催を検討されていましたら、ご相談承ります。また、上記以外、他諸分野での研究室・法人・院内等の勉強会・特別講義のご相談も承ります。

~勉強会・特別講義 問合せ 連絡先メールアドレス~
tsurukiclinic2001@gmail.com
どうぞよろしくお願いいたします!
鶴木クリニック医科・歯科
歯科衛生士さん募集中




















2020年12月18日金曜日

20201218 本日の神保町での出来事から思ったこと(1440記事の到達)

去る20201022投稿記事にて、入った古書店で声をかけられ、新型コロナウィルス感染症のため中止となった「神田古本まつり」のパンフレットを頂いたことを書きました。そして本日、それと関連があるとも思われる出来事があったため、以下にそのことを書きます。

本日は、番町在の、かねてよりお世話になっている先生のもとにお歳暮をお届けした後、年賀状印刷の依頼をしようと、夕刻頃、4年前と3年前にお願いしたことがある神保町界隈にある印刷屋さんを訪ねました。

店舗内に入り「すみません、以前にも年賀状印刷をお願いしたことがあるのですが・・」と言い切らないうちに「はい、鶴木さんでしょ。」と、受付けをされている、少しご年配の快活な感じの女性に云われました。

それを聞いて「ええ!覚えていたのですか?」と訊ねてみますと「ええ、注文された原版は残っていないかもしれませんが・・。」と少し恐縮されたような感じになりましたが、私が驚いたのは、3・4年前に注文した客のことを覚えておられたことです・・。

ちなみに、この印刷屋さん(1937年創業)は、そこまで暇なお店ではないようであり、私が店内にいた数分の間だけでも、他に二人ほど、入れ替わりで注文していた年賀状や印刷物を引き取りに来られていました(神保町界隈は印刷屋さんが多い。)。

くわえて同界隈の薬局でも類似した出来事があり、試供品の栄養ドリンク(おそらく数百円相当)も頂きました・・(これは地味に嬉しかったです。)。

私は幼稚園児の頃から神保町界隈は出入りしており、それなりに長い(30年以上)とは云えますが、しかし、ここに来て、そうした出来事が続くことは、面白くはあるのですが、同時にまた少し不思議な感じも受けます・・。

また、そのように考えてみますと、私が幼い頃から読書を好んでいたのは、そうした環境(幼い頃から神保町界隈に出入りしていた)にも因るのかもしれません。

他方で、それら読む書籍の主題となることが多いと云える、主に西日本の史跡(古墳など)などに関しては、それらを身体感覚に基づき感じ、楽しむことが、以前と比べ困難になってきたように思われるのです。自身としては、この感覚を再び強めて行きたいと願っております。そして、その具体的方法については、もう少し検討していきたいと思います。

*今回もまた、ここまで読んで頂き、どうもありがとうございます!



ISBN978-4-263-46420-5

~勉強会の御案内~
歯科材料全般あるいは、いくつかの歯科材料に関する勉強会・講演会の開催を検討されていましたら、ご相談承ります。また、上記以外、他諸分野での研究室・法人・院内等の勉強会・特別講義のご相談も承ります。

~勉強会・特別講義 問合せ 連絡先メールアドレス~
tsurukiclinic2001@gmail.com
どうぞよろしくお願いいたします!
鶴木クリニック医科・歯科
歯科衛生士さん募集中











2020年12月17日木曜日

20201216【架空の話】・其の55

「まあ、しかし、君のお父さんとは法事でこれまでに何度か会って、あと若い頃は会社の出張の時に会ったこともあるけれど、君はその息子さんかあ・・。」と両手を組んで感慨深げにこちらを眺めた。

私もまたもう少し意識して院長を見ると、たしかにその顔貌の特徴には、父や父方の親戚筋とも共通する要素があり、不図「パラレルワールドに父親がいたらこんな感じかもしれない・・」といった思いが脳裏をかすめた。

続けて院長は「うん、君のお父さんと私がほぼ同世代だから、君からすると5代前、そして私の4代前、つまり高祖父が同一人物ということになるね。丁度、この高祖父と、その下の曾祖父の世代に明治10年の西南戦争が起きてね・・。そして、まあ、高祖父と何人かのその息子達はその時に亡くなってしまたのだが・・。この高祖父「***さあ」は、戦争当時、既に高齢であったのだけれども、若い頃からボッケモンで通っていたこともあり、西郷軍の小荷駄方として従軍してね、最期は西郷軍本隊を無事に鹿児島に帰すために、殿(しんがり)の一人として人吉という場所での防戦の末、五月の末頃に戦死したと聞いているよ・・。」と、あまり感傷を交えない淡々とした調子にて語ったが、それを聞いた私は、自身の5代前にあたる人物が、我が国近代最大の内戦にて、いわば反乱軍の兵士として戦死していたことは、これまでに聞いたことがなく、さらに、自身内部のこれまで知らなかった「何か」に触れたような感じを強く受けた・・。

ともあれ、そうした共通のご先祖のハナシを聞いているとドアをノックしてトレーに載った弁当とお茶が二組運ばれてきた。運んで来たスタッフに院長は「やあ、どうもありがとう。」と云うと「ええ、ポン酢とゆず胡椒も一緒に持ってきましたから、温かいうちに。」と返事をして「では。」と明るい声で引き下がって行った。

トレーを見ると、たしかに、よくある弁当のパッケージとは別に、小瓶に入ったポン酢らしきものと、緑色のペースト状のものが入った同程度の大きさの瓶が置かれていた。それを眺めていることに院長は気が付いたのか「ああ、丁度昼時だから今日は一緒に弁当でも食べよう。ところで君は「とり天」は知っているかね?」と、これまた鷹揚に訊ねてきた。「とり天」は現在の私にとってはかなり馴染み深い惣菜であり、それは唐揚げに勝るとも云えるのだが、当時は予想される語義通り「鶏の天ぷら」であるとは察せられるものの、しかし果たしてそれがどのような味であるかについては見当が付かなかった。

院長は白衣を脱ぎ、それを執務机横にある木製の古めかしいコートハンガーに掛け、ワイシャツのカフスボタンを外し腕まくりをして、部屋の隅にある洗面台で手洗いを始めた。そして、その途中で手招きをして、私にもそのようにすることを促した。こうして出会う自然な職業的とも云える几帳面さもまた、当時の私にとっては、さきの「とり天」同様、新鮮なものに感じられた。

*今回もまた、ここまで読んで頂き、どうもありがとうございます!





一般社団法人大学支援機構

~書籍のご案内~
ISBN978-4-263-46420-5

~勉強会の御案内~
歯科材料全般あるいは、いくつかの歯科材料に関する勉強会・講演会の開催を検討されていましたら、ご相談承ります。また、上記以外、他諸分野での研究室・法人・院内等の勉強会・特別講義のご相談も承ります。

~勉強会・特別講義 問合せ 連絡先メールアドレス~
tsurukiclinic2001@gmail.com
どうぞよろしくお願いいたします!
鶴木クリニック医科・歯科
歯科衛生士さん募集中









2020年12月15日火曜日

20201214【架空の話】・其の54

 Kに住むようになり早や一週間近くが過ぎた。入学式まではあと数日あり、また東京から送った引越荷物も無事に届き、それらの開封・整理を行い、どうにか生活出来る状態にはなった。この時季のKは既にして暖かく、日中、家電などの配置のための力仕事を行っていると、思いのほかに汗をかいてしまうほどであった。

部屋の片付けを行い、一人暮らしで初めての自炊を行ったが、その献立は納豆ご飯に豚汁といった至極質素なものであったが自身の作としては悪くなく、その献立の残りは翌日に持ち越されたが特にイヤだと思うこともなかった。

また、Kに発つ直前に父から教えてもらった遠い親戚を挨拶のため訪問しようと、その住所をグーグルマップにて調べると、現在地から徒歩や市電やバスを乗り継いで1時間ほどかかるとのことであった。

書かれた住所は診療所のようであり、そこに冠された苗字は私のそれと同じであった。市電とバスを乗り継いでK市内の郊外と云えそうな場所、地域の小中学校の近くに診療所はあり、個人事業としては決して小さくはなく、またそのすぐ近くには診療所が併設したと思しきデイケア施設や訪問看護ステーションがあった。

どうやら、この診療所は当地域では古い存在であるようで、デイケアからは元気そうな声が聞こえてきた。私は決して新しいとは云えない造作の診療所に入ると、受付窓口にいる女性に「すみません***と申しますが、***(同じ苗字)先生はいらっしゃいますでしょうか?と、父から預かった名刺を差し出して訊ねると、その女性は名刺を両手で受取り、しばらく怪訝そうな顔をした後「ああ、院長先生ですね。ちょっと待ってください。」と云って、さらに後ろにある事務方の机の間を通り、その途中で何か会話をしていたが、やがて事務室のドアから出て、私のいる待合ロビーまで来て、そのまま診療所玄関の右手にある階段で二階に通された。二階に上がると、消毒臭というのだろうか、いかにも病院らしい匂いがしてきて、さらに廊下には白衣を着た医療職と思しき方々が歩いていたが、私は古風にも「院長室」と書かれた部屋に通され、そこで待つようにと慇懃な調子で云われた。

この「院長室」はまさに前世代、いや、より精確には昭和後期の「院長室」といった趣が濃厚で、あるいは、ひと昔前のドラマに登場する医学部教授室といった感じであった。とはいえ、室内に置かれている調度品や絵画がそれなりに格式があり、品良く思われたため、時代遅れで悪趣味といった感じは受けなかった。

やがて、さきとは別のスタッフの方がお茶を運んで来てくれて「院長先生はもうじき診察が終わって来ますので、もうしばらくお待ちください。」と云って去って行った。

さらにしばらく待っていると、やがてあまり身長が高くなく、どちらかといえばズングリした体型に白衣を着た、初老少し前、私の父とほぼ同年輩の精悍な感じの男性が入ってきた。この男性を見て直観的に思い出したのは、父と少し似たところがある沼津在住の親戚であり、肌の色合が何となく似ているように思われた。頭髪は額から後退気味であるものの整えられ、オシャレ感の乏しい銀縁の眼鏡をかけ、そして白衣の下には白のワイシャツを着て、ダークブラウンのニットタイを締めていた。おそらく毎日そのような感じであるのだろう。

院長はさきほど私が受付女性に渡した父の名刺を見て「ああ***さんの息子さんか。こっちの市民病院近くの新設の専門職大学に入るんだって・・。学部、いや学科はどこかね?」と訊ねてきた。

その感じは一種、鷹揚な快活さがあり、この後の経験で知ったことだが、開業医にはこうしたタイプは割合多いように思われる。

私はソファから立ち上がり、院長と相対していたが、この質問を聞くと「・・はい、あの口腔保健工学科というところでして、歯科技工士を養成するところです。」と若干緊張気味に返事をすると、院長は手振りで、私に座るように促され、そして自分も座り、おもむろに机上の電話機を取り、おそらく内線電話であろう相手に「ああ、私だが今日はここで昼食を摂るから、お弁当を二つこっちに持って来てくれないか?」と云い、さらに「あと、私にもお茶を持って来てくれないか?うん、それで良いよ、ありがとう。」と付け加えて受話器を置いた。

そのやりとりを見つつ、ボンヤリとキャビネットの上に置かれた木製彫刻に嵌め込まれた重厚な感じの置時計を見ると、丁度正午を15分ほど過ぎていた。

昼食時に訪問した非礼を詫びようと、少し口ごもると、院長はそれを制するように「うん、あの大学は最近出来て、ようやく去年あたりから卒業生が出るようになったのかな?私もあの大学の設置には少し働いたのだがね、まあ私が知っているのは看護学科だけかな?残念だが口腔だから歯科系の先生では知っているのはいないなあ・・。まあ、しかし、君のお父さんとは法事でこれまでに何度か会って、あと若い頃は会社の出張の時に会ったこともあるけれど、君はその息子さんかあ・・。と両手を組んで感慨深げにこちらを眺めた。

*今回もまた、ここまで読んで頂き、どうもありがとうございます!



ISBN978-4-263-46420-5

~勉強会の御案内~
歯科材料全般あるいは、いくつかの歯科材料に関する勉強会・講演会の開催を検討されていましたら、ご相談承ります。また、上記以外、他諸分野での研究室・法人・院内等の勉強会・特別講義のご相談も承ります。

~勉強会・特別講義 問合せ 連絡先メールアドレス~
tsurukiclinic2001@gmail.com
どうぞよろしくお願いいたします!
鶴木クリニック医科・歯科
歯科衛生士さん募集中





































2020年12月14日月曜日

20201214【架空の話】・其の53

 入学後しばらく経ち、GWも終わり、ようやく異郷の地での新たな学生生活にも慣れてきたある日、顎顔面解剖学の講義の後、休み時間に次の教養科目講義の準備をしていると、後ろから「今週の金曜日にクラスの皆で「飲み方」をしようと思うのだけれど、参加しますか?」とクラスメートが訊ねてきた。

その後ろの少し遠巻きに、さらに何人かのクラスメートが、この様子をそ知らぬ風で窺っているようであったが、当時の私としては、そうした集まりに呼んでもらえること自体がどうにも嬉しく「ええ、金曜日は空いていますので参加できます。」とほぼ間を置かずに返事をすると「ええ、分かりました。じゃあ、詳細はまた後でお知らせしますので・・。」と云い、去って行った。

小規模な大学での二年次編入とは、さきの一年の間に既にグループや、ある程度フィックスされた学生同士の交友関係などが出来上がりつつあるところに途中から入るわけであり、くわえて私の場合、多くの同期学生とは年齢が四つほど離れ、さらに利用できるような地縁も殆どないことから、入学当初は、自身の持つK独特の苗字からか、わずかに話しかけて来られる方々もいたが、しばらく経ち、私が余所者であることが周知になると、私は学科内で少し浮いた存在となっていることに気が付いた・・(笑)。

とはいえ、元来私はあまり好んで友達を作ろうとする性分でもないことから、そのままのいわば膠着した状態にて、この時期まで来たわけである・・。

さて、その日の講義が全て終わり、学生等が三々五々帰って行くなか、さきほど訊ねてきた同期の方が「あの、さきほどの「飲み方」のハナシですが、今週金曜日にT文館の「***」というお店で18:30開始の予定です。***さんは編入された新入生ですので支払いは結構です。」と、四つ程年下と思われる同期の方に告げられて少し困ってしまった。「あの、もちろん参加したいとは思うのですが、自分の分の会費はお支払いしたいのですが、それは可能でしょうか?」と訊ねてみたところ、彼女はしばらく考えてから「・・そうですか、分かりました。それは可能ですが、通常の会費の半額の1500円ということでお願いします。」とのことであった・・。こうしたやりとりから、そこまで杓子定規で頭が硬いわけではないようであり、他方で、そうしたことを考え、差配しようとする二十歳(はたち)そこそこの女性の実行力には少し頭が下がった・・。

GW後にして梅雨前、5月下旬のKの気候は充分に暖かく、日によっては夏を思わせることもあり「飲み方」の当日は、講義後に一度帰宅し着替えてから市電でT文館に向かった。この日も良い陽気であったため、少し色落ちしたネイビーのチノ生地のショーツの上に細いブルーのストライプが入った白シアサッカー地の半袖プルオーバーボタンダウンシャツを着て、その上にベージュ色のこれまた少し色褪せたラルフ・ローレンのチノ生地のブルゾンを羽織り、靴はネイビーのサッカニーのジャズを履いて行った。また、久々に帽子を被ることにした。それはあまりつば広でない、ベージュコットンのブーニーハットであった。

集合時間少し前に「飲み方」会場の全国チェーンの飲み屋さんの前に着くと、既に半数ほど集まっていた。私は多少遠慮気味にそちらの方に行くと、先日訊ねてきた同期の方が「ああ、もう大分集まってきましたので「お店の中に入ってください。」と云ったところです。」と話しかけてきた。

たしかに皆、会場のお店の中に入って行っているところであったが、こうして、その様子を傍から眺めてみると、彼等彼女等はいかにも若く、どうも高校生の様にも見えるように思われた・・。

*今回もまた、ここまで読んで頂き、どうもありがとうございます!




一般社団法人大学支援機構

~書籍のご案内~
ISBN978-4-263-46420-5

~勉強会の御案内~
歯科材料全般あるいは、いくつかの歯科材料に関する勉強会・講演会の開催を検討されていましたら、ご相談承ります。また、上記以外、他諸分野での研究室・法人・院内等の勉強会・特別講義のご相談も承ります。

~勉強会・特別講義 問合せ 連絡先メールアドレス~
tsurukiclinic2001@gmail.com
どうぞよろしくお願いいたします!
鶴木クリニック医科・歯科
歯科衛生士さん募集中