そうしたことから、ライナーにて暖かさを調節出来るコートはなかなか合理的で便利であり、特にこの時季に用いるのに適しているのではないかと思われます。
現在自身が用いているそうしたコートは、厚手のコットンとポリエステル混紡布地のトレンチ・コートであり、元来軍用の死蔵品(デッド・ストック)であったことから頑丈であり、なかなか重宝しています。また、昨今街を歩いていますと、男女問わず多くトレンチ・コートが着用されており、このコートは現在流行しているように見受けられます。
しかし、その名称が示すようにトレンチ・コートは塹壕戦が一般的になった第一次世界大戦時における英国軍の軍服が起源であり、それが世界各地の一般社会にまで広がってきたものです。また、社会にて広く着用され、認知されるようになった後も、当初は主に男性用の衣服として認識されてきました。我が国においても、最近に至るまで『このコートは男性が着用するもの』といった認識があったのではないかと思われます。
また自身は日本人であり、起源の地である欧州の人々と人種・体型が異なることから、このコートは似合わないと考え、興味を持つことはありませんでした。しかし、数年前に突如として『なるほど、我々日本人でもトレンチ・コートが似合う人もいるものなのだな・・』と考えを改めるに至りました。もちろん、そうした変化が生じるためには、契機といったものが必要であり、自身にその契機をもたらしたのは、体型が(理想化されがちな)欧米人に近いスマート・スリムな方々ではなく、身長も決して高くなく、さらにその体型はどちらかと云うと小太り気味のずんぐりとした方々でした。さらに、そのように感じたのは自身のみではなかったようであり、その時周囲にいた、より若い方々もそのように感じていたことを後になり聞きました。
もう一つの契機は、さきとほぼ同年代の方であり、こちらの方がより日常的にトレンチ・コートを着用されているといった感じがあり、その着慣れた感じが、どうも日本人離れして且つ本質を掴んでいるように感じられた次第です。
ともあれ、こうした契機により、トレンチ・コートを見直すのと同時にある格好を『カッコいい』と感じさせる本質とは一体何であるかと考えるに至りましたが、これはイマイチ分からず、ただ、体型などとは多少次元が異なる発散する一種の雰囲気のようなものが少なからず関与しているのではないかと思われました・・。
しかしながら、おそらく我々が日常的に用いる『ファッション』といったコトバには、こうした個々人で異なる雰囲気といったものは考慮せず、あくまでも即物的・唯物論的・マニュアル的もしくは悪くすれば物神崇拝的なニュアンスをも含まれているようにも感じられます。また、そうしますと、そこで新たに構築された(ある意味独自の)位相・価値観といったものが自然発生的に枝分かれして生じて行くのかもしれませんが、しかし、おそらく、そうしたことを繰り返す・常とする文明は、世界規模において独創的にして普遍的なものを創造するといったことが徐々に困難になっていくように思われる(ガラパゴス化の起源の一つ?)のですが、さて如何でしょうか?
ともあれ、今回もまた、ここまで読んで頂きどうもありがとうございます。
近年より現在に至るまでに列島各地にて発生、もしくは現在も発生している地震・大雨・水害・火山噴火などといった大規模自然災害により被災された(されている)諸地域の各種インフラの復旧そしてその後の復興を祈念しています。
~書籍のご案内~
昨年暮に師匠による著作が医歯薬出版より刊行されましたのでご案内いたします。どうぞよろしくお願いいたします。
著書名:『CAD/CAMマテリアル完全ガイドブック』
ISBN978-4-263-46420-5