歯科用金属とはさきに述べた金属箔充填以外においてはほとんど合金を使用している。
では何故それら金属を合金化して用いるのかと考えると、その一番大きな理由とは、合金化することによりさまざまな機械的性質が向上するからであると云える。
当然ではあるが、合金化とは二種類以上の金属元素を混ぜたものであり、これは金属元素が他の金属元素と置換したり、転位が生じたところに他の金属元素が侵入したりすることにより生じる。
そして、それら(金属元素の置換・侵入)が生じることにより、合金化され、より緻密な構造となり機械的性質が向上する。
その代表的なものが炭素を微量(~2%)添加した鉄の炭素鋼(侵入型合金)であるが、これは通常の鉄に比べ大幅に強度が向上している。
また、合金化することにより各々金属単体である場合に比べ溶融点、液相点が大きく下がることがある。
その代表的なものがロウ付けに用いるロウ(合金)であり、具体的には銀ロウなどはその主成分は銀と銅であり、各々の融点は961℃、1083℃であるのだが、これらを合金化した銀ロウになると、その液相点は大体620℃~780℃の範囲に収まり、かなり溶融温度が下がると云える。
加えて、それに関連することであるが、合金化することにより溶融に至る温度に幅を持たせることが出来、それにより鋳造などの操作がより容易となる。
事態の理解のために、逆の事例にて考えると金属単体にて鋳造を試みようとする場合、バーナーの炎にて熱を加え金属が溶融し、鋳造操作を試み、わずかに炎を金属から離すことにより、溶融状態の金属は即座に凝固してしまい、鋳型内部全体まで溶湯が侵入しない、いわば湯流れが悪くなるといった事態が生じ易くなると云える。
それ故、特に鋳造に用いる合金などの場合、その液相点と固相点はある程度の幅を持っていた方が操作性が良好であると評し得る。
次回もまた引き続き合金について書きます。
今回もここまで読んで頂きどうもありがとうございます。
昨年から現在までに日本列島各地において生じた一連の地震・大雨・水害等の大規模自然災害によって被害を被った諸地域のインフラの復旧、回復および復興を祈念しています。
昨今より再び噴火をはじめた新燃岳周辺の方々の御無事も祈念しています。
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