また、兄の方も「うーん、実のところここ最近は、このまま会社に残っている自分を全く想像できなくなってきているから、何か目標を見つけたら、**のように、その方向に向かって動く方が吉かもしれないな・・。」とのことであった。そして、年末年始休みも終わり兄はWに戻り、私の方はいよいよ修士論文の仕上げに取り掛かった。論文の提出期限は、たしか1月半ばであり、この年末年始の期間は、さきの兄との会話などはあったものの、全体としては、自室に引きこもり、PCの前に座る時間が長かった。指導教員の方も12月後半での年内最後の研究経過報告を聞いてからは、あまり厳しい突っ込みや無茶な注文は云わなくなり、他方こちらは、それで良いのか逡巡したが、とりあえずカタチを整えて提出することが大事であると考え、提出までの3日間は、あまり寝ることなく、その頃盛んに売り出していたエナジー・ドリンクを毎日のように飲んでいたが、そのせいか最後の方は体調がおかしくなり、視界がモノクロのようになったりもしたが、どうにか期日正午に教務課窓口に論文を提出することが出来た・・。
とはいえ、提出出来れば良いと云うわけではなく、その後、主査・副査合わせて3名の教員による論文審査を受けて、これをパスしなければいけないのである・・。しかし、これまでの論文審査では、そこで審査をパス出来ずに1年留年といった前例はなく、どんなに厳しくとも論文の大幅な修正を求められての再提出で、どうにかパス出来ていたことから、そこまで怖くはなかったが、それでも、あの時期の院生研究室のどんよりした雰囲気や複写室(コピー機のある部屋・院生研究室の隣)のよく分からない緊張感は、一度経験してみるのも悪くないように思われる・・。
さて、論文の提出でようやく年が明けたことを実感することが出来るようになったものの、その次には論文審査が控えていて、その想定問答らしきものを自分なりに作成して、いざ本番に臨んだみたが、そこからの質問は出ることなく、意外と、自分の想定したことろよりも、浅い領域と思われるところからの質問が多かったことから、これはどうにか見苦しくなく、対処出来たのではないかと思われる。
学位審査の結果は学内掲示板に張り出されるとのことであり、その日は、そのためだけに大学まで行った。そして既に張り出されていた結果を見ると無事にパスしていて、少し肩の力が抜けた。またBについても、研究科は異なるが、無事に審査をパスしており、これで来年度は少し面白くなりそうな予感を持てるようになった。
その後、指導教員の研究室に行ってみると「会議のため不在」とのことであり、そのまますぐには帰宅せずにアルバイトをしているS駅近くの古着屋に立ち寄り、店長や他のスタッフとしばらく雑談をしていると、夕刻に近づくにつれ、いつも通りにお客さんが増え始めたことから、私はその場を辞することにした。
次にD先生の医院に立ち寄ると、こちらも診療中で、あまり対応出来そうな雰囲気でなかったことから「また後日ご連絡します。」とメモを残して去った。そして、夕刻過ぎ頃、意外に早く帰宅すると、両親は共に不在であり、一人で昨晩の残りを温めなおして食べて、リビングルームで寛いでいると「そうだ!兄に連絡しよう。」と思い立ち、携帯電話で掛けてみると、すぐに出て、審査結果の報告をすると「おお、それは良かったな。それじゃあまだ、Kに行くまでは少し時間があるんだろ。それなら一度こっちに来てみたら面白いぞ。」とのことであった。兄によると、こちらに来るのであれば、土日を完全に休みにして、次の月曜日も出来れば有給休暇を取るとのことであり、さらに宿泊は兄の居宅に泊まれば安上がりで、さらに向うでは自動車で移動出来るとのことであった。
私も一応自動車の免許は取得しているものの、それは多分に身分証明書代わりとしての意味あいが強く、それ以上に、首都圏で普通に学生をしていると、自動車を運転する機会があまりないのである・・。また、兄についても概ね私と同様であったはずが、ここにきて兄弟で自動車に乗るということが、やけに新鮮で面白そうに思えたのである・・。
というわけで、早速日程を調整し、w行きの夜行バスのチケットを予約し、その週末、金曜日の夜には、私は夜行バスの乗客となっていた。しかしながら、この夜行バスは2列ずつの4列シートであり、私の隣席にも乗客がいたことから、緊張してしまい、乗車中あまり睡眠を取ることが出来なかった・・。
それでも、バスは予定通り7:20頃、JRw駅前に到着した。こうした近畿地方の県庁所在地の駅前に一人で降り立った経験がこれまでになかったことから、少しうろたえたが、昨年の夏、編入試験を受けに行ったKでの状況も、大きくは違わないと気を取り直して駅前ロータリー左側にある全国展開のドーナッツ店に入り一休みすることにした。ちなみにこの時の旅には岩波文庫版のコンラッド著「闇の奥」とジョージ・オーウェル著「パリ・ロンドン放浪記」そして同著の原書ペーパーバックを持参していた。そこでしばらくコーヒーを飲みつつ読書をして8:30過ぎに兄に電話をかけると、すぐに出てきて「ああ、着いたか、え、駅前のミ*ドにいるのか、分かった。じゃあ、今から車で迎えに行く、大体30分でそこに着くと思う。」とのことであった。
*今回もまた、ここまで読んで頂き、どうもありがとうございます!
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祝新版発行決定!
ISBN978-4-263-46420-5
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