「2008年夏過ぎに院試のために鹿児島を訪れた私は、修士課程での友人であり、実家が鹿児島であるBとも久しぶりに会うことになった。
Bは地元の企業に就職し、当時はたしか国分、隼人方面に住んでいたにも関わらずわざわざ出向いて来てくれた。
当日の昼過ぎ頃には既に院試を終えていた為、その時は特に緊張する要素はなかった。
待ち合わせの場所は天文館の電停交差点であり、この時は多少私が早く着いていた。
市電が電停に着きBが下車してくるのが見えたので、声をかけ、手を振ったところ、Bの方もすぐに気づいた。
Bと会うのはさきのAと同様、修士課程修了後以来であるので、かれこれ1年半ぶりであった。
そして天文館にある霧島方面にて本店を構える地元で有名な焼き鳥屋(関東のそれとはニュアンスが異なる、どちらかというと鶏肉に特化した焼肉屋と考えた方が良い。)に入り、美味しい鳥を十分に御馳走になった。
Bは食べながらさかんに「どうです、美味しいでしょう?」と聞いてきたが実際、それは大変美味しいものであり、且つ面白いことに、このお店の霧島にある本店にはその後何度も足を運ぶことになり、後に鹿児島に訪れたAを案内したのもこの霧島のお店であった。
それらの起因とは、このはじめての鹿児島訪問時にあったことをこれを記していて気付いた。
その後、同じく天文館にある鹿児島名物「白くま」を食べさせてくれるお店に入り、これもBから御馳走になった。
この本家本元の「白くま」とは具材(主にフルーツ)のたくさん入った巨大なかき氷のようなものであり、たしかに夏場にこれを食べれば涼しくなること請け合いであろうと思われる。
また具材が種々入っていることより、比較的量が多かったにもかかわらず最後まで飽きが来ないで完食することが出来た。
とはいえ、食後のデザートとしてはかなりの量であったことをも思い出される。
あるいは通常これはカップルが二人して食べるようなものではないだろうか・・?
ともあれ、このお店には閉店までいて、ここでも色々と近況や思ったことを駄弁っていた・・。
久しぶりに知人に会い話すことになると、私はどうも勢いに任せて色々と語ってしまう傾向があるように思われる。
しかし、それはおそらく何も私のみならず、さきに出たAなどは、私などよりかなりいい線を行っているのではないかと思われるのだが・・。
そして夜半過ぎにBと別れ翌日帰郷した。
その後の技工学校では相変わらず講義、実習に追われる毎日であり、且つ秋を過ぎると国家試験の準備などで更に忙しくなっていった。
とはいえ、この当時は分からないことがあると周囲の歯科関係者に容易に聞くことが出来たため、環境的にはかなり恵まれていたのではないかと思われる。
修士院生の頃は分からないことの調べ方も分からず、またインターネットからの情報をあまり信用せず、専ら実地調査、図書館、書店などに拠って、分からないことの意味を泥縄式に調べていた・・。
しかし、この分からないことを足を使い、体を動かし調べるといったことが案外大事であったのではないかと現在になっては思われる。
とはいえ、それはある明確な調べたい目標の情報を直線的に得るといった性質のものではなく、得られた情報が当初企図していた意味、傾向を持っていなくとも、それが「確からしい」ということにより、その次の思考段階に移行してゆくといった計画性が立てにくい性質のものであり、おそらく総じて科学とは、本質的には、そういったものではないかと思われる。
たとえ最終的には大きな企図する目標があったとしても・・・。
その意味において現在世間に流布している様々な事物、利器とは、こうした科学の成果に基づいたものが多いと思われる一方、さきに記した「自らの足を使い、体を動かし調べる」といった要素が昨今の情報機器の進化発展によって、その本来の価値、意味が軽視せられているのではないかとも思われる。
今回もここまで興味を持って読んで頂いた皆様、どうもありがとうございます。
さる四月に熊本を中心として発生した大地震によって被災された地域の諸インフラの出来るだけ早期の復旧そしてその後の復興を祈念しております。」