さて、昨日投稿分記事にて抜粋引用した作品は、戦争小説に分類されるものの、その記述は、主人公の回顧的な独白により物語が進行するわけですが、この独白の仕方がきわめて独特であり、当引用部末尾にもわずかにありましたが、作中にて主人公が経験する出来事が同じく主人公の読書経験の記憶と結びつけられることにより、ハナシの時代背景が古今東西に飛ぶことから、その筋についていくことが困難に感じられることがあります。しかし他方で、こうしたハナシの進め方は、さきに述べた手法としての書籍からの抜粋引用と同様、かなり長い物語とすることも出来るのではないかと思われました【実際の記憶と読書の記憶の掛け算か・・】。
くわえて、少し前の著述家の多くは、こうしたことをあまり痛痒を感じることなく、自然に出来ていたのではないかと思われます。このことを異言しますと、一つ一つの述べるところの意味が深く、さらに、それらの結節の仕方が自然で洗練されているといった感じであると云えます。あるいはまた、帰納法にて用いるピースの一つ一つに味があり、同時にそれらはインターネットで簡単に入手できるような知識ではなく、さらにその組み立て・構成にセンスがあるといったところであるとも云えます。
こうした視座から、昨今作られた我が国のさまざまな文学作品、映画などについて考えてみますと、どうも過去に作られたものと比べ、全体的に深みがなく、何と云いましょうか、史実への忠実さといった意味での重厚さが乏しいのではないかと思われるのです。あるいはそれはPCやCGといった、さまざまな映像制作技術の進化発展により、作中にほんのわずかに登場する小道具などに特にこだわらなくとも、ある程度のものは作成出来てしまうといった事情があるのかもしれませんが・・。
これは映画など映像においては如実に看取出来ることですが、おそらく昨今の小説などに関しても、もとにある戦争体験者による著作(たとえば大岡昇平、山本七平など)を後代の著述家がその記述をコピーし、さらにコピーしていくといった間に、著述全体がボケてくるといったことが生じているのではないかと思われるのです・・。
とはいえ、こうしたコピーに次ぐコピーをしている時代は、多くの場合、実際の戦争体験を持たないで済んでいる平和な時代であるとも云えることから、理想的であるのかもしれません。しかし、そのコピーに次ぐコピーを行っているまさにその時、何らかの間違い、勘違いのようなことがなかば必然的そして無意識的に生じ、内面より次の戦争の準備をしていくことになってしまうのではないかとも思われるのです。そして、それ故に、たとえ直接的な経済的利益に結びつく可能性はかなり低くとも、歴史意識を磨く意味、そしてまた、歴史全般が研究として不断に為される価値といったものがあるように思われるのです。
その意味において、昨今のエンターテイメントのようなもの(のみ)として映画・小説などが歴史を扱うことにより、特に我が国の場合、どうも変な方向に行ってしまうことが多いようにも思われるのですが、さて如何でしょうか?
今回もここまで読んで頂き、どうもありがとうございます!
祝増刷決定!
ISBN978-4-263-46420-5
医歯薬出版株式会社刊
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前掲書籍の主著者である師匠による歯科材料全般、あるいはいくつかの歯科材料を主題とした勉強会・講演会の開催を検討されておりましたら、よろこんでご相談承ります。師匠はこれまで長年、大学歯学部・歯科衛生・歯科技工専門学校にて教鞭を執られた経験から、さまざまなご要望に対応させて頂くことが可能です。
*上記以外、他分野での研究室・法人・院内等の勉強会・特別講義のご相談承ります。
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数年前より現在までに日本列島各地・特に西日本において発生した、さまざまな大規模自然災害により被害を蒙った地域の速やかな復旧そして、その後の復興を祈念しています。
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