また、そこで述べたところの『無邪気さ・勢い』のようなものは、落ち着いたと評して良いものか、以前と比較すると減衰したと云えます。とはいえ、その基層にあるものは本質的には弱くなったわけではなく、いくらか語弊があるかもしれませんが、社会的一般常識を装う表層が、ある程度まで定着してきたことにより、さきの『無邪気さ・勢い』が表層から退いただけであると考えています・・(笑)。
とはいえ、その基層にあると思しき『無邪気さ・勢い』を保持するためには、一応便宜的ではあれ、表層に落ち着いた社会的一般常識を装う方が適切であり、あるいは、時には忖度・空気を読むといった方が彼我にとって角が立たないで済むようにも思われるのです・・。
また、表層の一般常識を装う態度がなくとも当座の知性の働きには影響はなく、むしろ、この態度により知性の活発な働きが阻害される危惧もあると云えるのですが、他方、その【知性の働き】持続可能性あるいは長期的な視点より考えてみますと、やはり表層にて一般常識を装う方が適切であるように思われるのです・・。
そして、ここまで書いていて不図思い出されたのは我が国を含む東アジア圏にて著名な『儒教』です。とはいえ、こうした礼節・道徳などを傾向としては演繹的に示す教えは、その内実の精神・実際の感情の動きなどを教える側が理解・把握せずに演繹的(教条的)に教えることにより伝言ゲームのように内容が徐々に変質・形骸化し、結果として、あまり意味を為さないものになってしまうおそれがあるのではないかと思われるのです・・。【それ故、あくまでも率直さが大事であると考えるのです・・。】
また、こうしたことは、おそらく社会のなかで少なからず見受けられ、それがインターネットによる情報網、およびその端末機器が発展・普及することにより、即時に原典との照合が可能となり、その結果、以前と比べ寛容度の低い、硬直した社会になっていくのではないかと思われるのです・・。
【率直さが端末機器の利用により人工的なものとなり、揚げ足取りに終始するように・・。】
この寛容度の低い、硬直した社会は、全体的に持続可能性、さらには創造性をも損ねるものであり、そして、おそらく、それを上手く避けるために、【社会に根付いた】大きな枠としての人文的な知識体系・教養の存在意義、価値といったものがあるのではないかと思われるのです・・。
また、そのように考えてみますと、近代以降の我が国レジームは、いずれも人文的な知識体系・教養の意味合い・価値を経済発展のための人柱のように扱ってきたように思われ、また、現在においても、同様の方向に進んでいるようにも見受けられるのですが、さて、如何でしょうか?
【しかし、それでも経済発展は大事なのですが、あるいは我々日本人は即物的なマンガ文化などを除いて、人文的な知識体系・教養の意味合い・価値など実のところ何も分からないような国民なのかもしれない・・?】
今回もここまで読んで頂き、どうもありがとうございます。
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