ともあれ、落ち着きを取り戻してから、また、さまざまな求人情報媒体に目を通すようになり、そして、自らの経験が生かせると思われた、ある求人に応募しました。それは、東京都を中心に首都圏で多数の分院を展開し、歯科訪問診療を手広く行っている医療法人が募集していた「歯科訪問診療コーディネーター」という職種でした。応募書類を投函して数日後、法人事務局より連絡を頂き、日程を調整のうえ、東急東横線沿線の都内某所にある法人本部を訪問し、面接を受けることとなりました。
面接では、まず経歴の概要を尋ねられた上で、しばらく対話をしてから「これまでとは色々と異なる業務になりますが、当法人には他にも様々な仕事がありますので、まずは訪問診療のコーディネーターから始めてください。」とのことで、採用が決まりました。
この歯科訪問診療のコーディネーターという職種は、一言で云いますと、訪問診療の実施主体である歯科医師や歯科衛生士が、居宅・施設を問わず、外来とは異なる環境で円滑に診療を進められるよう、さまざまな支援を黒子のように行う職種です。
もう少し具体的にその業務内容を述べますと、まず基本となるのは日々の訪問診療スケジュールの調整業務です。これは、居宅や施設の患者さん、そのご家族や施設スタッフの方々との都合を摺り合わせて診療時間を組み、効率的な訪問ルートを設定するというものです。この業務は想像以上に労力がかかり、また、円滑に行うためには、診療スタッフや患者さん、そしてその周囲の方々との信頼関係が不可欠です。
次に、訪問診療に使用するポータブルユニットなどの機材管理や運搬も行います。訪問診療の現場では、限られた空間や時間の中で診療を行うことが多く、機材の不備や忘れ物は大きな支障となります。また、患者さんやその周囲の方々への対応も、身体の健康にも関与する医療分野である以上、言葉遣いや挙措動作にも、それなりの配慮が求められます。
さらに、診療を終えて医院に戻ると、診療スタッフとは別にさまざまな事務処理業務を行います。これらのいわば裏方の業務も、多くの場合、コーディネーターの重要な業務と云えます。
加えて、歯科訪問診療の依頼を検討されている居宅介護支援事業所、地域包括支援センター、訪問看護ステーションなどを訪問し、先方にとって有益と思しき情報を提供しつつ、新規依頼を獲得する「周知活動」と呼ばれる営業業務も担当します。これは歯科医療に関する専門知識よりも、むしろコミュニケーション能力の方が重視される場面が多かったように思われます。
以上のように、歯科訪問診療コーディネーターの業務は多岐にわたり、まさにマルチタスク型の職種といえます。
しかしながら、私自身はどちらかといえば、それとは反対の専門特化型に近いと思われることから、この入社当初に就いた訪問診療コーディネーター業務は非常に負担が大きく感じられました。また、周囲におられた営業畑出身の方々からすると、私の働きぶりは噴飯ものであったのではないかとも思われます。
また、ちょうどこの時期に当ブログを開始したこともあり、通勤電車の中ではメモ帳にブログ記事のアイデアや主題、あるいは引用したい書籍の候補などを頻繁に書き留めていましたが、何故であるのか、この時期は常に眠く、慢性的な睡眠不足であったと記憶しています。
今回もまた、ここまでお読みいただき、どうもありがとうございます。
ISBN978-4-263-46420-5
*鶴木クリニックでのオペ見学につきましても承ります。
連絡先につきましては以下の通りとなっています。
メールアドレス: clinic@tsuruki.org
電話番号:047-334-0030
どうぞよろしくお願い申し上げます。