医専大時代からお世話になっているE先生は、週に一回はこちらにも顔を出すことから、私と顔を会わせることは度々あり、夕刻過ぎに帰る時などは、よく私を食事に誘ってくださった。その態度は、医専大の頃よりも打ち解けていたが、そこで私の方も打ち解けてしまうのは如何なものかと思い、以前と同様に接していたのだが、この地では案外それで良かったのかもしれない・・。
E先生はK市内に御実家があるものの、勤務先である医専大の近隣にアパートを借りて一人暮らしをされていた。そうした経緯もあり、外での夕食が多かったものと思われるが、私としては、E先生との夕食によって研究室や地域のさまざまな事情を知ることが出来、また、懐かしい東京の話題で盛り上がることも出来たことから、これは大変ありがたかったと云えよう。
E先生と行ったのは大抵、外食チェーン店であったが、とりわけハンバーガーの*クドナルドをE先生は好み、かつて私が医専大の学士編入試験の際に立ち寄った医専大近くの店舗には度々足を運んだ。また、そうした折の会話にて、E先生は「いや、本当は「て*や」の天丼が食べたいのだが、あれは九州では福岡まで行かないとないんだよなあ・・」と宣っておられたが、たしかに、その当時、ここKには「て*や」はなかったことから、私も「ああ、そうですね。あそこの夏限定のたれ付けした穴子の天ぷらがのった天丼がまた食べたいですね・・。」と返答したところ、E先生はフライド・ポテトをケチャップに浸けつつ頷いておられた。
また、この*クドナルドでは、私が初めての海外での学会発表前の予演をE先生に深夜に聴いて頂いた時のことが印象深い、この時、E先生は、横に赤の三本線が入った青いナイロンパンツの上にスウェットパーカを着用して髪の毛はボサボサであり、なんとなく映画「ファイト・クラブ」の登場人物を彷彿とさせた。
深夜ではあったものの、周囲にはK大学の学生さんらしい方々が散見され、こちらも見た目としてはそこまで変わりはないことから、特に浮いてはいなかったと思われる。しかし、二度目の予演を終えて、その講評を聞いていると不図、店の入り口を見たE先生が突然、パーカのフードを被り、私の方に小声で「・・今、店に入ってきたのは、うちの看護学科のR先生だ・・。あの人は高校時代の同級生でもあるんだけれど、ここで、こんな時間に、この格好で遭うのはちょっと・・」と云って、入って来たR先生に顔を見られないように座席を移動してから「じゃあ、大体は大丈夫だと思うから、それと、あのスライド7枚目のフィグを説明するところをもう少し強調した方が良いと思うよ・・。」と言い残し、既に席に着いていたR先生に気が付かれないようにパーカのフードを被ったまま、まさに脱兎の如く店から出て行ったことがあったが、おそらく、そこには、何らかの事情があったのだと思われる・・。
そういえば、この医専大については、その後、私もS教授からの依頼で実習補助に出向くことになったのだが、そのことについては、また、別の機会に記してみたいと思う。
ともあれ、今回もまた、ここまで読んで頂き、どうもありがとうございます!
順天堂大学保健医療学部
祝新版発行決定!
ISBN978-4-263-46420-5
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