2022年12月27日火曜日

20221226 昨日の続き、事物の洗練の方向性そして歴史を実感する契機について

おかげさまで昨日投稿分の記事は投稿翌日としては比較多くの方々に読んで頂けました。これを読んでくださった皆さま、どうもありがとうございます。さて、この記事の最後に述べた「洗練の方向性について」は銅鐸などの青銅製祭器や古墳などを具体例として示すことが出来ると述べましたが、もう少し考えてみますと、こうしたことは殆ど全ての人類による文化的事物においても当て嵌まるのではないかと思われます。私がこうしたことに関心を持つ契機となったものは各国の兵器への興味であったと記憶していますが、そこから興味の対象である兵器の歴史を遡りますと、兵士の持つ刀や槍などに辿り着くわけですが、そのように考えますと、我が国の所謂、彎曲した刀身を持つ日本刀は、平安時代中期頃から造られるようになったそうですが、その拵えも当初はものものしい太刀でしたが、時代を経る毎に簡素化されていき、帯びるような打ち刀拵えに変化していきました。そしてまた、その過程において地方色のようなものが加味され、地域独特の刀装、拵えが誕生していったものと思われます。そして、こうした経緯は、先述のとおり、何も武器である刀剣や槍のみに云えることではなく、農具など当時の日常的な道具においても同様であると云えます。むしろ、そうした地方に古くから日常的に使用されてきた道具などの方が、長く形を変えずに用い続けられているものが多いと思われます。そして、こうしたことを述べていて思い出されたのが、以前に当ブログにて書いた「紀州鉈」です。この「紀州鉈」は紀伊半島のほぼ全域にて見られる独特の形状をした山林作業などに用いる鉈であり、特徴的な点は、鉈の刃と柄木の接続が刃の部分とオフセットに鍛着された帯状のヒツと呼ばれる部位の中空部に柄木を差し込み、固定する点と、刃部の先端にハナと呼ばれる鋭利な突起がある点です。しかし、この刃部先端の突起があるのは紀州鉈に限られず、西日本を中心とした各地にて見受けられます。ただ、この突起のハナが尖っている地域と、そうでない地域があったと記憶していますが、その地域的な分布には何らかの傾向や特徴があったかについては、未だによく分かりません。

しかし、そもそも、何故この「紀州鉈」に興味を持つに至ったかについては、これまた以前の投稿記事にて述べましたが、南紀白浜在住時に、海開き前の浜掃除が私を含めて勤務ホテルのスタッフ何人かと、白良浜近隣に立地する他のホテルスタッフや自治体職員などにより行われましたが、その中には本職の植木職人の方々もおられました。その出で立ちは、色の褪せた綿パンに、ふくらはぎの半分以上までを覆うようなゴム底の地下足袋を履き、作業用のシャツを着て、そして手には、おそらく1mほどの長さがありそうな柄木の紀州鉈を持たれていたのですが、この光景が何やらとても新鮮に映ったのです。つまり、日常生活の中で槍とも見紛うような鉈を当り前のようにしてめいめい手に持ち、煙草を喫いながら、互いに何やら話しておられる光景は、都市部などでは、なかなかお目に掛かることはないと思われるのです。そしてまた、それを初めて見た私は「何だ、あの武器のような道具は?」と思い、周囲の方々に訊ねたところ、それは樹木の枝などを掃うためなどに使う鉈とのことであり、そこで、この道具については記憶に残り、その後、当地の大学院に進み、地域学研究の一環として、この「紀州鉈」について調べていたところ「それを題材にして地域誌の記事を書いてみてはどうか?」と仰って頂き、作成したのが、私の作成した文章ではじめて活字になったものであると云えます。ともあれ、その記事では、紀州鉈を主題としているにも関わらず、ドイツの哲学者、社会学者であるゲオルグ・ジンメルによる、ある主張に被せて、この紀州鉈について述べていたと記憶していますので、この時も、やはり多少おかしくなっていたのだと思われます・・(苦笑)。

そして、その後になり、数カ月ほど前のことになりますが、紀州鉈や鉈などとはあまり関係ない、ある民俗学関連の著作を読んでいた際に不図、さきの白良浜の掃除の際に見かけた光景が思い出されてきたのです。この記述は、現在でも憶えており、また、その著作も手近にあることから、後日また引用記事として作成してみたいと考えています。ともあれ、現在において、ホンモノのその国や地域の歴史を実感する契機とは、何らかの、こうした体験のようなものがあるように思われるのですが、さて、これも実際のところはどうなのでしょうか?

今回もまた、ここまで読んで頂き、どうもありがとうございます!
順天堂大学保健医療学部


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