他方で読書の方は進み、先日の遠出の際にも、かねてより読み進めている白水社刊 オーランドー・ファイジズ著「クリミア戦争」下巻を持参して、移動時や睡眠前に読み進め、残り数十頁となりました。また、その他にも書籍に関しては、立ち読みなどで興味深い著作をいくつか見つけましたが、現在メインで読み進めている前出の「クリミア戦争」下巻の読了後は、以前、購入したままで積読状態にあるアレクシ・ド・トクヴィルによる「旧体制と大革命」を読み進めたいと考えています。
考えてみますと、トクヴィルの生年はフランス革命の期間から数年経た1805年であり、そして没年は1859年であり、また、その生涯を通じた大きな興味の一つが「フランス革命」であったことから、トクヴィルは19世紀前半の思想家と見做されがちと云えますが、当記事前出、もう一つのトピックである「クリミア戦争」は1853~1856年の期間続き、また、その歴史的背景、基層には所謂「東方問題」として、数世紀にわたり懸念視され続けてきたものがあります。
ともあれ、そこでトクヴィルとクリミア戦争との関わりについて考えてみますと、1848年の2月革命政権(第二共和制)時に官職に就いていたトクヴィルが、1851年のナポレオン三世によるクーデターによって辞職することとなり、それから2年後にクリミア戦争が勃発しましたが、この戦争についてトクヴィルがどのように考えていたのかは興味深いものがあり、トクヴィルのそれまでの履歴から考えてみますと、おそらくは、フランスにとっては犠牲が大きく、益の乏しい戦争であると考えていたのではないかと思われます。
とはいえ、このクリミア戦争とは、主体となる国家や政体は変化しても、残念ながら今なお継続しており、そこから、まさに重層化したフォルト・ライン戦争の勃発地域、あるいは国際秩序が乱れた際に紛争・戦争といったカタチでの応力集中が生じ易い地域であるとも云えます。
その視座からも、もしもあるとすれば、トクヴィルのクリミア戦争に対する見解は興味深く、そしてそれは、今後の世界情勢の展開を検討するうえで一つの参考になるのではないかと思われました。さらに、トクヴィルが興味を抱き続けた18世紀末の「フランス革命」即ち、大きな社会変化の様相や、その機序についての考察もまた、今後のさまざまな国や地域について考えるうえでの有効な参考になるのではないかと考えました。
今回もまた、ここまで読んで頂き、どうもありがとうございます!
祝新版発行決定!
ISBN978-4-263-46420-5
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