さて、休日である本日も昨日(土曜日)同様、新たな記事の作成を考え、先週に引き続きP・F・ドラッカー著の『イノベーションと企業家精神』からの抜粋引用にて充てようと考えていましたが、さきに述べた昨日投稿記事の閲覧者数から、この考えを変更し、自身の文章にて記事作成を行うことにします。
昨今巷にて云われている「イノベーション」ですが、これは歴史上の出来事から考えてみますと、端的に理解出来るのは世界各地の「戦争」からであり、これは「イノベーションを行った側が勝利を収める」という法則によって概ね貫かれていると云えます。
それは技術・戦術あるいは双方に云えることであり、我々に馴染み深いものとして武田軍対織田・徳川連合軍の戦いである長篠の戦いが挙げられます。この戦いにより戦場での騎馬武者の有効性が鉄砲により否定され、以降の戦場においては、鉄砲を装備した徒歩兵力がより重要なものとされるようになりました。
こうした一種の相転移のような現象は世界的に見ても概ね普遍的なものであり、欧州においては我が国の関ケ原、大阪冬・夏の陣以後の30年戦争においても引き継がれ、さらには18世紀以降の欧州各地にて生じた諸戦役においても同様であり、こうした過程のなかで鉄砲をはじめとする銃器そしてそれを用いた戦術も勝つために否応なく洗練・向上されていきました。
さらに、こうした流れにくわえ、西欧において18世紀に蒸気機関が発明され、社会のさまざな方面に、この機関が応用・実装化されることにより、その後、19世紀以降の西欧列強による帝国主義時代の舞台設定がほぼ完成されるに至ります。
また、他方で「イノベーション」は技術のみならず、戦術そしてそのさらに下部構造にあたる社会においても同様に行われるものであり、これは18世紀末のフランス革命により、社会がそれまでの王侯貴族による統治から人民によるものへと変化を遂げたことにより、戦術を立案する軍隊においても大きな変化が生じ、これにより端的には、より個々の兵士の自主性・能動性が発揮されるようになったと云えます。そして、それまでの戦列歩兵による比較的単純な戦闘から、より複雑・機動的と云える散兵戦術が可能となりました。19世紀初頭、ナポレオン軍が欧州全土にてその強さを示すことが出来た背景には、こうした社会における「イノベーション」があったからであると云えます。また、これ(ナポレオン軍の強さ)に対する実感から著された著作が、さきにブログにて述べたクラウゼヴィッツによる「戦争論」と云えます。
とはいえ、この散兵戦術はフランス革命以前においても、個々の兵士の自主・能動性に依拠する独立戦争などの場合においては比較的多く見受けられ、現代史に区分される、さまざまなゲリラ戦術もまた、この系譜に連なるものと云えます。
さて、こうした流れから翻って我が国のことを考えてみますと、たしかに戦国織豊期における鉄砲の採用・普及は世界規模で見ても目を見張るものがあったと云えますが、その後、17世紀以降においては、こうした否応なく変化を遂げなければならないような歴史の流れには背を向け、鉄砲に対しても、その機能(連発性能・射撃精度など)の向上よりも、より緻密な象嵌や螺鈿細工を施す対象となっていったと評することが出来ます・・。そして、おそらく、こうした長い目で見ての我が国の行為態度とは、ある程度(現在に至るまで)普遍性を持っているのではないかと思われるのですが、さて如何でしょうか?
今回もまた、ここまで読んで頂き、どうもありがとうございます。
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祝増刷決定!
ISBN978-4-263-46420-5
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