2024年12月2日月曜日

20241201 読書に関連する記憶と時代精神の変化

 昨日の投稿記事は少し異なりましたが、ここ直近数回は、現在も読み進めているダロン・アセモグルおよびジェームズ・ロビンソンによる「国家はなぜ衰退するのか」を基軸としたブログ記事を作成して、その興味深い点についても述べましたが、後になり、またいくつか思い出すことがあったため、本日はそれについて書きます。

 先日投稿のブログ記事にて、さきの「国家はなぜ衰退するのか」と関連性が認められるものとして、近年特に名高いユヴァル・ノア・ハラリによる一連の著作、そしてジャレド・ダイアモンドによる「銃・病原菌・鉄」をはじめとする一連の著作そして、それらに加えて、宮崎市定や会田雄次、司馬遼太郎などの一部の著作、そしてフレーザーによる「金枝篇」などを挙げましたが、さらに追加して、先日の和歌山訪問による影響であるのか、人文系院生当時、受けていた上野皓司先生による講義のテキストとして朝日新聞出版刊 クライブ・ポンティングによる「緑の世界史」上下巻が指定されて、購入して読んでみたところ、大変興味深く感じられたことが思い出されました。

 そして当時、よく議論をしていた周囲の方々に「緑の世界史」について話したところ「そういった内容であればジャレド・ダイアモンドの「銃・病原菌・鉄」に近いのではないか?」とのご意見を頂き、さらに「近代経済学や会計学以外の専攻分野の経済学の修士院生であれば「銃・病原菌・鉄」ぐらいの著作は普通は学部時代に読んでいますよ。」とも云われ、当時私はその著作を読んでいなかったことから、負けん気と羞恥心から「いや、しかし私はサミュエル・ハンティントンの「文明の衝突」やポール・ケネディの「大国の興亡」は社会人時代に読みましたが、それらの著作は読んでいますか?」と訊ね返しました…。

 すると、彼らはそれらの書名は知っていたものの、読んではいなかったことから、その裏を取るように議論を続けていると、納得されたのか、険悪な雰囲気にはならずに「じゃあ続きはまた…」といったカタチで終わり、そしてその後も、たびたびこうした議論が為されたことは、当ブログにて何度か述べました。

 しかし、そうしたことを現在進行中の読書から新たな記憶が想起されたことは、これまでに何度か経験しましたが、それでも、なかなか興味深いものがあり「記憶」の面白さについて考えさせられます。そして、そうしたことを考えてみますと、さらに、関連することとして想起されたのは、さきに挙げたジェームズ・ロビンソンとジャレド・ダイアモンドが編著、そしてダロン・アセモグルが分担執筆した慶應義塾大学出版会刊「歴史は実験できるのか」を購入した時のことです。

 当著作は2019年の徳島在住時に購入した記憶がありますが、当時の私は、そのうちの二人の著者が5年後にノーベル経済学賞を受賞することは知らず、ただ、立ち読みをして興味深いと思われたことから購入したわけですが、しかし同時に、現在思い返してみますと、当時既に、さきに挙げたジャレド・ダイアモンドやユヴァル・ノア・ハラリによる著作が書店で平積みされており、そこから出版物を介して、ある種の時代精神のようなものが看取され得たのではないかとも思われます。そして、その後、当著作の執筆者たちがノーベル経済学賞を受賞されたことは、私にとっては興味深いことであると云えます。

 くわえて、直近以外でのノーベル経済学賞受賞の研究は、その多くが数学的なアプローチによるものであり、私にとっては理解が困難な研究テーマばかりでしたが、その意味において2024年のノーベル経済学賞の受賞には、同年の物理学・化学賞の受賞テーマが人工知能についての研究であったことにも通底するレジーム・チェンジあるいは時代精神の変化があったのではないかと思われました。そして、そうした変化があったのであれば、おそらく、その大きな要因は、近年の世界規模でのコロナ禍、第二次宇露戦争、そして昨年からの中東での紛争やさらに不安定化しつつある東アジア情勢といったものがあるのではないかと思われました。
 
 あるいは経済学賞だけについて考えてみますと、端的に、これまでの西洋文明に属する欧米諸国を中心とした国際秩序、異言しますと、16世紀以降からの西力東漸の延長にある国際秩序が以前よりも通用しなくなってきた世界の状況を反映しているのではないかとも思われました。

そして最後に、今回もまた、ここまで読んで頂きどうもありがとうございます!

一般社団法人大学支援機構


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