2016年9月24日土曜日

20160923 最近のドラマ・著作の広告・ポスターを見て思ったこと・・【日本人とは】

A「本日首都圏は終日小雨が降り、ぐずついた天候でした。

そういえば、ここ最近都心部の電車内の吊り広告、駅の壁に貼られている広告ポスターなどを複数見ておりますと、どうも近代日本(主に明治以降)を時代背景としたドラマ、書籍等が流行しているように見受けられます・・。

こうした流行とは一体どのような現代社会の風潮により生じているのでしょうか・・?

ともあれ、これらの広告を見て思うことは「こうした近代を舞台としたドラマ、書籍とは、果たしてどの程度まで史実を考証して制作されているのであろうか?」ということです・・。

といいますのは、特に昨今の我が国における、こうしたいわゆる「歴史もの」とは、史実、時代考証に関しては出来る限り省略した流行に便乗したと思われるものが少なくないからです・・。

私はこれまで投稿したブログ記事にて記しているように、かねてより「歴史もの」全般が好きであり、そうした良い作品を観る、読むことが好きです。

その上で、昨今の我が国の「歴史もの」全般に認められる、こうした傾向(史実、時代考証の省略、簡略化)とは、その浅薄さに対し否応なく腹立たしく思い、同時に悲しくなります・・。

そして、それらは物語の背景を借景的に過去の時代を当て嵌めているだけではないかと考えさせられるのです。

しかしながら、こうした時代の借景現象とは、江戸時代の歌舞伎などにおいても見受けられ、その起源もまた、おそらくかなりの歴史的背景、伝統があるのではないかとも思われます。

つまり、こうしたことは、以前何度かブログ記事にて述べたような何も戦後、太平洋戦争の敗戦による歴史意識の挫折によるものではないということです。

そうしますと、では、なぜ学校などで学習する歴史と、それら「歴史もの」にて語られる歴史とは乖離していくのでしょうか・・?

おそらくそれは「歴史もの」一般とは、学校にて学ぶ歴史の勉強と根本的に異なる次元にあり、(創作者あるいは観客、読者が)好き勝手にその背景および内容をいじっても特に問題ないと考えられている、受け取られているからではないでしょうか・・?(日本のアニメ全般とは、概ねその延長であり、典型であると思われる。

しかし、この点に関しては多少意固地になりますが、歴史とは見方、解釈においてはいくつもありますしょうが、本質的に史実は一つであると考えております(当たり前のハナシではありますが)。
ヴィトゲンシュタイン著「論理哲学論考」

そして、そうした前提が根本において存在するがゆえに、歴史を扱う学問が人文社会科学の一分野として存立するのではないでしょうか?

とはいえ、こうした意見とは、社会全般においては圧倒的に少数派であり、どちらかというと肩身が狭いといっても良いと云えます。

それに対する圧倒的な多数派とは、その表面的な評価のコトバ(建前)はさておき、本音においては歴史、史実に対し日常生活にあまり影響を及ぼさない、取るに足らないものとして、あるいは、そこまで厳粛に受け取ることなく、単に短期的なネタとして楽しむことが出来れば良いものとして考えているのではないかと思われます・・。

あるいはこれに対し何か他の表現、表記方法があるのでしょうか・・?

もとい、それ故、結果的に時代毎にその時代の風潮(時代精神)に適応した歴史観といったものが流布、流行し、それが社会を染め上げていくのではないでしょうか・・?

そして、それもまた歴史ではあるのですが・・(苦笑)。

・・そのように考えてみますと、こうした歴史観とは、和辻哲郎著の「風土」に述べられているモンスーン地帯(我が国も含む)において特徴的な精神的傾向、思考様式に親和性があるのではないかと考えさせられます・・。

あるいはこうしたモンスーン地帯における特徴的な精神的傾向、思考様式とは会田雄次もまた、そのいくつかの著作において類似したことを述べていたように思います。

しかし、何れにせよ、私はこうした我が国の歴史観、そしてそれに基づいてさらに再生産される(浅薄、軽薄な)国民感情、世論といったものは、どのようなものであれ好きにはなれません・・。

そして、こうした意見を述べると、日本的でないとして「日本がキライならば出て行けば良い。」といった意見などをマジメにいうのを聞きますと、何ともいえない絶望感をおぼえます・・・。

なぜならば、少なくとも近代以降の我が国とは、おそらくこうした意見を持つ方々により国民感情、世論が形成されてきたということもまた、史実であると考えるがためです・・・。

しかし、そうであるからといって、それに対し迎合、付和雷同するのはダメであると思います・・。
私は日本がキライではないと思います。
日本がキライであれば、その歴史などに興味を持ちません。

今回もここまで興味を持って読んで頂いた皆様、どうもありがとうございます。

さる四月に熊本を中心として発生した大地震により被災された地域における諸インフラの出来るだけ早期の復旧、そしてその後の復興を祈念しております。」