しかし、わざわざ何故、九州辺縁にあたるKの専門職大学の見学を所望されたのかと考えてみると、イマイチ判然とせず、あるいは人によると「幕政末期の頃、Kと某国が戦争をして以来、現在に至るまでさまざまな交流があるのだ。」とのことであったが、これはあながちウソともいえず、また医療の絡みであると、明治日本が医学の手本とする国をドイツ一辺倒として定めることにより、それまでお雇い外国人であったドイツ以外の医師達は、いわば用済みとして多くが解雇となったが、そうした中の一人である某国人医師WはKに留まり、地域での医学教育や医療の発展に尽くしたとのことであった。
しかし、あとで聞いたハナシによると、そうした過去からの因縁も多少はあるのかもしれないが、そもそも、この視察団はK以外に四国、瀬戸内、山陰の専門職大学も見学する予定とのことであった。また、それと関連して、近畿・関西そして、それ以東の地域に対しては別の某国視察団が訪問していたかは不明であるが、これについても、少し面白い意見を聞いた。それは「日本を出自とするノーベル賞受賞者は、その多くが西日本出身であり、そこから、この地域にある何らかの特色・特徴を見出そうという目的があったのだ。」とのことであったが、これに関しては多少、誇大妄想の感があるように思われる・・。
とはいえ、その見解に至るまでの背景は事実であることから、それは某国よりも自国にて、さらに精査することにより、何らかの有意な見解を見出すことが出来るのではないかとも思われたが、さらに、これについても、さきとは別方面ではあるが、少し面白い意見を聞いたことがある。その内容は「国内でも、そうした研究は為されていて、そこから、西日本の漁業が盛んな地域、あるいはその周辺において特に能力優秀な方々が輩出される傾向が認められることから、魚、特に青魚に含まれる成分が頭脳の働きを高めるのではないか・・。」とのことであったが、これについても幾度が類似する見解を聞いたことがあり、これもまた、その背景は少なくとも、全くの間違いではないことから、興味深い未解決の疑問として現在にまで至る。
さて、この某国視察団の来訪に際し、通訳が必要ということになり、当初、医専大近隣のK大学法文学部の語学を専門とする教員に通訳依頼が行っていたが、来訪数日前に体調を崩されてしまい、急遽、通訳の代理が必要となった。そして、この代理通訳となったのが、さきのH先生であった。
この視察団訪問の折り、H先生は県知事や医専大学長(K大学医学部教授との兼任)等の雲上人に混ざり、視察団との間の円滑なコミュニケーションの促進に努め、そして、彼等をK空港にまで送った際には両手にて握手を求められて労われたとのことであった。そして、H先生には、こうした背景があったことから、後年、私がD3の頃、某国の大学へ留学されることになったという意見を聞いたが、これもまた眉唾ものであったと云えよう・・。とはいえ、そのような背景からの説明であっても、決してウソとは云えないことから、それらをある程度自然なモノガタリとして結節することが可能な経験をされている方に、自然と、そうした縁のようなものは流れて行くのかもしれない・・。
また、この一件を契機としたのか、翌年からH先生は口腔保健学科・口腔保健工学科の1年生を対象とした教養科目「歯科英語」の担当として、あたるようになったとのことであった。
今回もまた、ここまで読んで頂き、どうもありがとうございます!
日本赤十字看護大学 さいたま看護学部
祝新版発行決定!
ISBN978-4-263-46420-5
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