2021年1月21日木曜日

20210121 観念的な意味での「影送り」から思ったこと

 昨年から少しづつ読み進めている宮地正人著「幕末維新変革史」上下巻は、どうにか下巻の半分程度にまで至りました。以前と比べますと、いくらかは容易に読み進めることが出来るようになってきたとは感じられますが、まだ先は長く、来る2月中にでも読了出来れば良いと思っています。

また、こうした著作を読んでいるためか、ある種、観念的な意味での「影送り」のように思われることは、幕末期と現代が似ているということです。

幕末期における各国蒸気船の来航(来寇)と現今のコロナ禍は「外患」という意味において共通しており、それらに対する為政者の対処の仕方を被治者側が評価するわけですが、幕末期の列強に対する徳川幕閣の対応は、それまでの国内における公儀の威光から比べると、いかにも拙いように映り、そこから事態が進展しますと、半ば公然と幕府に対し反論を展開し、そして支持者を獲得していく反対勢力が現れてきますが、そうしますと、幕府は、国内統治における威光を取り戻すべく、かつて同様、反論を展開する勢力を弾圧するわけですが、しかし、全体の時勢が、さきの外患により、大きく変動していると広く察知されている状況下での、そうした弾圧政策は、短期的に見れば、効果が認められるのかもしれませんが、もう少し大きな視野で眺めてみますと、往々にして、自らの統治を弱め、反対勢力を利する結果になると云えます。

具体的には安政の大獄のバックラッシュとしての桜田門外の変と云えますが、しかし、時勢がここまで至ってしまいますと、その後の幕府によるさまざまな施策は、総じて後手後手に回るように映り、そして第二次長州征伐へと至る展開になるわけです・・。

また、当「幕末維新変革史」にて大変興味深いと思われたところは、こうした各地で生じた出来事を、さまざまな情報網を通じて、各地域に存在する(必ずしも為政者側には含まれない)富農・豪農・商人を中心とした(いわば)知識人社会が精確に把握し、さらに、その展開などについての現実的な見通しをも持っていたということです。

かなり粗く一面を切り取って述べますと、明治維新によって日本は、こうした勢力を為政者側・国政参加者に加えた社会を創造したと云い得ます。

そして、そこで創造された社会は、現代においても、そこまで大きくは変わってはいないように思われます。さて、そこで現今の外患たるコロナ禍にハナシを移してみますと、これに対する為政者による施策は、さきの徳川幕閣による列強への対応と同様「必ずしも適切とはいえない」と映っているように見受けられます。そして、それを踏まえ、国内に対しての「脅し」をにおわせる発言などは、さきの伝から、出来るだけ避け、あくまでも説明ベースのスタンス(対話可能な余地を残しておく)を堅持されたほうが賢明であるように思われるのですが、さて、如何でしょうか?

もしくは、これが単なる杞憂であることを切に願っています。

*今回もまた、ここまで読んで頂き、どうもありがとうございます!





ISBN978-4-263-46420-5

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