一連のブログ記事を読んで頂いている方々に『どのような記事を面白いと感じるのですか?』と尋ねてみますと
『院生時代の出来事を扱った記事に比較的面白いものが多い。』とのことであり、その理由とは『知らない分野での院生の様子が垣間見られるから。』とのことでした・・。
たしかに分野が異なりますと、院生達がめいめいの所属する分野にて、どのように研究が為され、また、どのように毎日を過ごしているのかといったことはなかなか分からないようです・・。
私も人文社会科学系の博士課程院生がどのような生活を送っているのかとは、知人等からのさまざまなハナシを聞くまでは見当も付きませんでした。
しかし、実際にハナシをしておりますと、やはり各々専門分野での知識がより深化、洗練されていることが感じられ、それは以前の修士課程在籍時での議論と比べますと、より本質的、突っ込んだ議論になっていることが実感されます。
その点、自身は修士、博士課程間で専攻が大きく変わり、それに伴い研究進行の仕方も人文社会科学系のそれとは大きく変化したため、しばしば、そこからの質問を受けることがあります・・。
自身の場合、そうした質問に対し、精確ではないにしても、大きな分野間の背景文化の相違に関しては、概ね的外れとは云えない返答をしているのではないかと考えます・・(笑)。
そうした中でもっとも疑問に思われることは『研究が行われる過程』についてです。
多くの理系学問分野の場合、研究の進行に際し、さまざまな実験、分析機器を扱う必要性が生じます。
また、そうした機器は必ずしも所属する講座に全て設置されているものではないことから、何処か他の講座、研究室、大学等で機器を使用させて頂いたり、あるいは試料の機器分析を依頼することになります。
そうしますと、その一連の実験とは、主体一人で為されるものではないことから、その発表に際し、協力頂いた方々の名前を連名することになります。
そして、それらを監督、統括するのが指導教員であることから、その顔の広さ、人脈とは、講座所属の院生達の研究進行に対し、少なからぬ影響を及ぼす要素であると云えます。
さらに講座所属の院生達は各々研究テーマがあるのですが、それらも部分的に重複していたり、あるいは機器分析の手法が類似していたり、または先行研究論文の抄読会、発表用のポスター、スライド作成、予演会に同席することから、概ね必然的に同じ時期に講座に在籍していた院生の研究テーマの内容に関しては理解を得ることが多いと云えます。
そして、そうした環境、背景文化とは、やはり同じ『院生』とは云っても、分野毎に大きく異なり、また文系、理系の間では、そう簡単に相互理解をはかることが出来る性質のものではないのかもしれません・・。
また、その意味から自身は『大変面白い経験をさせて頂いた』と云うことが出来るのかもしれません・・(笑)。
しかし同時に、そこで強く思うことは、院生時に自身の所属する分野とは異なる『興味を持てる』分野にて、ある一定期間研究に従事するというのは、研究に不可欠な創造性を養う上でかなり効果的ではないかということであり、さらには、出産休暇、育児休暇のように、企業等に在籍している状態を保持し、企業から一時的に離れ、大学にて研究に従事することが出来れば、大学、企業双方に加え、社会全体にとっても(中・長期的に見れば)有益ではないかと思われるのですが、如何でしょうか?
こうしたことは医歯薬看護分野においては、比較的それに近い状況にあると云えるのかもしれませんが、文系分野については、あまり(短期的に見て)実質的な効果が望めないことから、ほぼ為されていないように思われます・・。
『専門職大学院は?』と考えられる方々がいらっしゃるかもしれませんが、そうではなく、より『古来よりの文系』つまり思想、哲学、歴史学分野といった(到底)実利的とはいえない分野にて、それを学び、研究することを自ら(内発的に)望む方々が増えることが、社会に対し何かしらの良い変化、影響をもたらすのではないでしょうか?
あるいは医療系専門職にして、上記の文系分野にて本気で知見を深めたいというのは、大変意義のあることではないでしょうか・・?
また一方において、昨今さまざななハナシを聞いておりますと、今後は医師、歯科医師免許を持ったミュージシャン、学位を持った芸術家といったものが以前に比べ多く出てくると思われますので、それは多少期待が持てるように思います・・(笑)。
その意味でも森鴎外、夏目漱石、斎藤茂吉、金関丈夫、安部公房、山田風太郎、横溝正史、北杜夫、加賀乙彦、辻邦夫、手塚治虫、加藤周一、なだいなだなどは先駆者であったと云えるのではないでしょうか・・?
今回もここまで興味を持って読んで頂き、どうもありがとうございます。
昨年熊本、山陰東部そして福島県周辺において生じた大地震により被害を被った地域の出来るだけ早期の諸インフラの復旧、そしてその後の復興を祈念しております。」
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