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2025年11月5日水曜日

20251104 黎明期の試作機である私について

 当記事を含めて、残り2記事の投稿により、当面の目標としている2400記事に到達します。さて、以前にも当ブログで述べたことがありますが、私は2007年に修士(経済学)を取得後、歯科技工専門学校に入学し、歯科技工士としての専門教育を受け、2009年に歯科技工士免許を取得して、歯科生体材料学を専攻分野として大学院博士課程に進学、2013年に博士(歯学)を取得しました。

 現在では、国内に4年制の歯科技工士養成課程を有する大学が2つあり、広島大学が2005年、東京科学大学(旧・東京医科歯科大学)が2011年に、それぞれ設置されています。それ故、私が博士号を取得した2013年当時、仮に最初の学士課程の入学生が順調に進学されていたとしても、博士課程3年目にあたる段階であり、修了には至っていなかったと見込まれます。つまり、その時点で修士課程を経て課程博士を修了した歯科技工士の事例はほとんど存在せず、私の修了は、ごく初期、あるいは日本初であった可能性もあると考えています。

 キャリアパスが整備される以前に、異分野の修士課程を経て、歯科技工士として進学が妥当と云える歯学分野の博士課程に進み、どうにか修了にまで至ったことは、巨視的に見れば、我が国の歯科技工士教育と歯学分野の学術研究とを結節する、ごく初期の試みであったと云えます。

 現在では、4年制大学での課程を卒業された歯科技工士の方々が、大学院修士課程、さらに博士課程へと進学する事例も聞かれます。そうした整備された道を歩まれてきた方々と比べますと、私などはまるで、黎明期の試作機、あるいは不格好な多砲塔戦車のような存在と云えるかもしれません(苦笑)。しかし、そうした時期であったからこそ、特有の創意や自由闊達さもまたあったのではないかと思われます。

 とはいえ、その過程には以前にも述べました通り、さまざまな困難があり、決して順風満帆なものではありませんでした。そうしたなか、2012年、教授(師匠)も准教授の先生もおられない状況で、担当させていただいた鋳造および鑞付けの歯科理工学実習では、研究室の先生方からご許可を頂き、人文的な話題を随所に交えながら実習を進めることができましたが、これは余程、自分の性質に合致していたのか「それまでの人生がこのためにあったのだ!」と感じられるほどの経験であり、それだけに、今なお強く記憶に残っています。

 それでも、学位取得後の道のりもまた、決して平坦なものではなく、まさに紆余曲折を経るものでした。黎明期の人間として、その不完全さなどネガティブな面全てを含めて、まあ自分らしい経路であったのではないかと思われるところですが、今後は、これまで培った経験を活かしつつ、若い世代の医療専門職の方々が、より自然に人文書に興味を持ったり、臨床と研究とを往還出来るような環境の整備に微力ながら関わりたいと考えています。

今回もまた、ここまでお読みいただき、どうもありがとうございます。


一般社団法人大学支援機構

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ISBN978-4-263-46420-5

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メールアドレス: clinic@tsuruki.org

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どうぞよろしくお願い申し上げます。













2021年12月26日日曜日

20211225【架空の話】・其の78 【モザイクのピースとなるもの】

S教授の指示による医専大 口腔保健工学科での新規技術に精しい実務家教員の選定下準備のため、E先生と東京訪問することになったが、E先生は学科の別業務のため、私より1日遅れての出発となった。そして、私の方は到着した日にS教授から預かった実験試料を持参し(その中には私が作製したものも入っていた。)かつて、S教授が勤務されていた都心部にある某老舗歯科大学の歯科理工学講座を訪問した。

こちらの講座の長であるO教授は、以前はS教授の同僚であり、年齢は二つほど違うとのことで、また、当歯科大学のOBで歯科医師でもあった。ともあれ、おそるおそる研究室を訪ねると、話が通じていたのか、すんなりと教授室に通され、そして預かっていた実験試料一式を手渡すことが出来た。するとO教授は早速、それらを手に持ち、私を連れ立って実験室に向かった。これまでに私は医専大とK大学以外の歯科理工学講座の実験室に入った経験はなく、この時が初めてであったが、これには少しの緊張と共に、何と云うかパラレル・ワールドを覗くようなワクワク感が少なからずあった。

室内に入ると、歯科歯科理工学研究室にて共通するのか、鼻を衝くモノマー液の匂いが薄くなったものや、高温状態の電気炉が発する、あの独特の熱気などを感じ取ることが出来た。そして、その奥に医専大やK大学のそれよりも大掛かりな、万能引張圧縮試験機が据え付けられており、その前には白衣を着た私と同年輩と思しき方が、キャスター付きスツールに座り、背中を丸めて何かの作業を行っていた。

そこへO教授が後ろから「おお、実験進んでいるか?それで、今朝の講座連絡会議でも話したK大学の歯科理工学研究室の大学院生**君がつい先ほど着いてね、こないだK大のS教授と話して、次のジルコニアと歯科用陶材との接着強さを測定する実験はラウンドロビン・テストにしてみようということで、向う(K)で作った試料を持って来てもらったのだが、今からこの試料を使った接着試験は出来るかな?」と話しかけた。

すると、背中を丸めていた方は、すぐさま顔を上げて、こちらを向き、手に持っていた小型のモンキーレンチを何かの治具らしきものから離して、そのままの手で額を拭った。この時、試験機の前にいる方は、かねてより私と似た実験を手掛けていると意識し、また、学会発表の際に何度か質問を受けていたことが思い出された。

そして「ええ、先ほど治具の組み立てを終えて、今しがた、別素材の同型の試料を用いて予備実験をして、治具の微調整をしたところですので、今からスグにでも始めることは出来ます。」と返答をされた。

後で知ったところによると、この方は当研究室の大学院生(博士課程4年)であり、主に歯科用合金と、さまざまな材料との接着についての研究をされており、学会発表の際に示される、それら界面を高倍率にて観察した電子顕微鏡像のクリアさにはいつも感心していた。あるいは、これは主として実験機器自体の性能であるのかもしれないが、そうであっても、高倍率にて、あの程度までピントを合わせることが出来ることは、当時の私にとっては驚くべきことであったのだ・・。

やがて、私が持参した数種類の試料が入ったケースを開き、そこから一個づつ試料をと取り出し、各種寸法を電子ノギスにて測定し、それぞれ数値をエクセル図表に入力し、図表データとの相関が分かる様に試料番号が記載されたウェルプレートに収められた。

この実験自体はどちらかと云うと荒っぽいものとも云えるのだが、そこに至るまでの作業工程、つまり、試料の作製後から実験に至るまでの過程がなかなか面倒であり、あるいは条件毎の試料数が多ければ、こちらの作業の方が大変であり、また面倒であると云えるかもしれない・・。

ともあれ、今回もまた、ここまで読んで頂き、どうもありがとうございます!

順天堂大学保健医療学部

日本赤十字看護大学 さいたま看護学部 


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2021年12月16日木曜日

20211216【架空の話】・其の75 【モザイクのピースとなるもの】

S教授は、よほどあらたまった場以外では、持ち前の関西弁にて話されることから、ここKにあってはS教授は、関西からこちらに赴任された方であると思われがちであるが、以前に述べた通り、その歯科理工学講座教員としてのキャリアは、東京・首都圏にて始まり、そこでの生活は20年以上にわたることから、当然、当地域での歯科事情全般には通じており、また、キャリア当初の頃に教えた学生さんの中には、そろそろ若手教授となってもおかしくはない方々もいるとのことである。そこから、医専大口腔保健工学科の実務家教員の選定に際しても、そうした以前勤務されていた**歯科大学のネットワークを用いれば、比較的容易に良い人材を見出すことが出来ると思われるのだが、どうしたものか、医専大のE先生と私に訊ねてこられた。

私はそうしたことを聞くことが出来る東京・首都圏の開業歯科医師はD先生のみしか知らないため、S教授に「一人、ここK大学歯学部のOBの先生を存じ上げていますが、その先生は医専大口腔保健工学科の先生方とも繋がりがあります。くわえて、そこで勤務している歯科衛生士さんは、医専大口腔保健学科のOGでして、たしか飯田橋に本学がある**歯科大学が運営している吉祥寺の方にあるクリニックで接触嚥下機能のリハビリテーションの研究をされてマスター(修士)を取得されたと聞いていますので、この一件もおそらく親身になって対応して頂けると思われます。」と、自らの見解を述べた。

E先生は教授に「ええ、それは良い考えであると思います。しかし、そうした先生をこちらにお呼びして実習なり講義をお願いすることになると思うのですが、それに掛かる費用はどこからか拠出することが出来るのでしょうか?」と、現実的な質問をされた。それに対し教授は「ああ(医専大の)HとMには少し前に軽く云っていたんやが、ワシや補綴の先生方で以前から歯科技工の新技術に精通された先生を医専大の実務家教員にて用いることを提言していたんやが、それが県庁かK大学執行部を通じて医療専門職大学運営機構に届いて、今回ようやく少し予算がついたんや。」とのことであった。

そして、E先生と私は、教授からの指示により、CAD/CAMなどの歯科応用についての先進的な取組みをされている東京・首都圏の歯科医師とコンタクトを取り、そして、可能であるようならば医専大の実務家教員の話をして、次に進める準備を整えてくることになった。また、今回の東京訪問に際しては、教授が以前勤務されていた**歯科大学の歯科理工学講座に挨拶がてら、以前に作成依頼を受けていた測定試料を渡し、そして可能であれば、その測定試験にも立ち会い、条件が同一であることの確認をしてくるといった用向きもあった。

さらにE先生の方は、御自身の母校に設置されている口腔保健工学科に訪問して、実務家教員に相応しい先生をあたるといった用向きも別途追加された。

ともあれ、その後に実習補助のためにまた医専大に行くと、実習前の時間にH先生から「今度、東京に行ってD先生に会うみたいだね。「どうぞよろしく」と伝えておいてください。それと、今回選ばれる先生がウチ(医専大口腔保健工学科)に来て実習や講義をすることになったら、その先生が運営する歯科医院に、ウチの学生さんが見学や研修で訪問させて頂くことになるかもしれないから、その歯科医院の技工設備・規模も一通り見てきて欲しい。」とのことであった。

今回もまた、読んで頂き、どうもありがとうございます!
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