2021年12月29日水曜日

20211228 年末休暇期間のブログ記事作成の方向性について・・

 昨日の記事投稿により、総投稿記事数が1676に到達しました。一方、今年はあと本日(28日)を含めて4日ですので、大晦日まで毎日1記事づつ投稿することにより、どうにか年内に1680記事まで到達する目途が立ちます。さらに、そうしますと、来年1月の間(31日)に新規で20記事投稿することにより、1月中での1700記事到達への目途が立ちます。

とはいえ、そのためには、新たな記事作成が必要であることから、この年末の休暇期間は、出来るだけ多めに記事を作成、投稿しておこうと考えるにいたりました。しかし「多めの記事を・・」とコトバで述べてみても、オリジナルの記事は、現在の私にとっては、そこまで簡単に出来るものでもなく、毎日1記事程度が無理のないところであると云えます。

そこで、今後の年末休暇期間は、オリジナルの記事にくわえ、書籍からの引用による記事も作成し、合わせて、1日2記事の投稿を目指すことにします。

そうしますと、年内に1682~83記事まで達することが出来、そして、来年1月での1700記事到達も、以前と比べ、さらに現実味を帯びてくると云えます。

さて、そうした状況ではありますが、これまで昨年から断続的に作成してきました【架空の話】はおかげさまで「其の79」まで至り、次の投稿により80記事に到達します。この概ね自身の記憶に基づく物語が(どうにか)この程度まで続いていることは、実は作成者としても多少の驚きの感があり、また、そこから、この程度まで書くことが出来たのであれば、あるいは【其の100】あたりまでも続けることが出来るように思われてきます。

ともあれ、この【架空の話】は、自身の院生時代を元ネタとしたものであることから、記憶が甦れば、100記事とは云わず、さらに続けて作成することも可能であると云えますが、この「記憶が甦らす」ことが、思いのほかに厄介と云え、PC前に座っていれば都合よく記憶が甦るといったものでもなく、むしろ、それは街中を歩いている時に何かの拍子に不図想起されるといった性質があり、また、その記憶をもとに帰宅後【架空の話】を作成しようとしますと不思議なことに、その記憶がボンヤリと不鮮明になっていたりすることが多いのです・・。それ故、そのボンヤリとした記憶に文字でカタチを与えようと試みますと、実際の記憶とは多少異なる【架空の話】になるのですが、しかし、ここで大事であることは、たとえ【架空の話】の作成ではなっても、その基軸となるものは実際の記憶であることであり、これがなければ、モノガタリをモノガタリならしめている、ある種の「凝集性」がなくなってしまうのではないかと考えるのです。

しかしながら、この【架空の話】のもととなっている2009~2013の記憶は、決して快いものばかりでなく、いや、実際には辛いものの方が多かったのではないかと思われます。それは、これまでに何度か当ブログにて述べましたが、兄の死や師匠の退職といった、それまでの人生の中でも特筆すべき辛い出来事が集中して生じ、その後も、生きるために右往左往しつつ色々と活動はしながらも、それまで自分の中にあった何かが徐々に衰弱していっているような感じがあると云えます・・。

しかしまた、たとえ心が衰弱しつつあったとしても、そうしたことをブログ記事として文章化することにより、絶望を遠ざけ、未来へと希望をつないでいるとも云え、その意味において、当ブログは兄の死や師匠の退職があったことから(どうにか)続けることが出来ていると云えます・・。また反語的に、それらの出来事がなければ、わざわざブログを作成、継続することに意味など見出すことはなかったものと思われます・・。

ともあれ、今回もまた、ここまで読んで頂き、どうもありがとうございます!

順天堂大学保健医療学部

日本赤十字看護大学 さいたま看護学部 


一般社団法人大学支援機構



~書籍のご案内~
ISBN978-4-263-46420-5

*鶴木クリニックでのオペ見学につきましても承ります。

連絡先につきましては以下の通りとなっています。

メールアドレス: clinic@tsuruki.org

電話番号:047-334-0030 

どうぞよろしくお願い申し上げます。








2021年12月27日月曜日

20211227【架空の話】・其の79 【モザイクのピースとなるもの】

医専大口腔保健工学科での歯科理工学実習は、D2に上がってから参加させて頂くようになったが、K大学歯学部での歯科理工学実習は、その前年から実習補助として参加していた。歯学部での実習は対象が3年生であり、教養課程を経てすぐであったことから、石膏の練和や鋳造などといった歯科独特のさまざまな材料や技術に接する初めての機会であり、その意味で、この歯科理工学実習は、それなりに意義深いものであったと思われる。

K大学歯学部の一学年学生数は年度によって若干の偏差はあるものの、概ね50人ほどであり、実習に際しては、出席番号などに基づき、大体10人毎の班を5つ作り、それぞれの班が週替わりで、異なった実習を受け、それを廻していくといった流れであった。

以前にも述べた通り、当時、研究室にはS教授をはじめとして合計4名の教員がおり、また、実習時にはTAとして他の研究室から大学院生が1~2名ほど、実習補助として参加することもあったが、そうした事態はあまり多くはなかった。

私は歯科技工士ということで、主として鋳造などの液相状態の合金を扱う実習項目の補助に就くことになったが、それら項目の担当教員は、以前に述べた歯科技工士を背景とする、定年間近ではあるものの、大柄で逞しい感じがするJ先生であった。

このJ先生は、私が医専大3年の頃、歯科用陶材の操作法を教えてくださったK市在住の開業医であるO先生と親しく、そこから、これをハナシの起点として、後日、J先生とも比較的気軽に話すことが出来るようになった。また、担当する実習項目の内容および、その手順については、高温の炎を用いることから、学生さんがケガを負うような事故が起らないようにと、時間を掛けて、実演等を含めて懇切丁寧に教えてくださった。

それに対して私も頑張ろうと思ったのか、この一連の実習に際しては色々と動いた記憶がある。そして、そうしたこともあってか、さきに述べた医専大口腔保健工学科での実習補助も任せて頂けるようになったのかもしれない・・。

また、鋳造やロウ付けなどの高温状態となっている合金を扱う作業を、男女問わず、学生さんがしているのを見ることは個人の心情としても興味深いものがあり、あるいは、それを数年間見続けていると、何かしら面白い発見があるのではないかとも思われた・・。

ともあれ、こうした経緯によって、歯学部3年生および口腔保健工学科2年生双方での歯科理工学実習に補助として関与させて頂くことになったが、やはり学生さんの手先の器用さに関しては全般的に医専大の方が少し優っているように見受けられたが、他方で歯学部の学生さん等は、こちらが伝えたことを、学生さんが互いに教え合うことによって実習の進行がスムーズになるといったところがあり、これはこれでまた、興味深い現象であると思われた。

ともあれ、今回もまた、ここまで読んで頂き、どうもありがとうございます!
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2021年12月26日日曜日

20211225【架空の話】・其の78 【モザイクのピースとなるもの】

S教授の指示による医専大 口腔保健工学科での新規技術に精しい実務家教員の選定下準備のため、E先生と東京訪問することになったが、E先生は学科の別業務のため、私より1日遅れての出発となった。そして、私の方は到着した日にS教授から預かった実験試料を持参し(その中には私が作製したものも入っていた。)かつて、S教授が勤務されていた都心部にある某老舗歯科大学の歯科理工学講座を訪問した。

こちらの講座の長であるO教授は、以前はS教授の同僚であり、年齢は二つほど違うとのことで、また、当歯科大学のOBで歯科医師でもあった。ともあれ、おそるおそる研究室を訪ねると、話が通じていたのか、すんなりと教授室に通され、そして預かっていた実験試料一式を手渡すことが出来た。するとO教授は早速、それらを手に持ち、私を連れ立って実験室に向かった。これまでに私は医専大とK大学以外の歯科理工学講座の実験室に入った経験はなく、この時が初めてであったが、これには少しの緊張と共に、何と云うかパラレル・ワールドを覗くようなワクワク感が少なからずあった。

室内に入ると、歯科歯科理工学研究室にて共通するのか、鼻を衝くモノマー液の匂いが薄くなったものや、高温状態の電気炉が発する、あの独特の熱気などを感じ取ることが出来た。そして、その奥に医専大やK大学のそれよりも大掛かりな、万能引張圧縮試験機が据え付けられており、その前には白衣を着た私と同年輩と思しき方が、キャスター付きスツールに座り、背中を丸めて何かの作業を行っていた。

そこへO教授が後ろから「おお、実験進んでいるか?それで、今朝の講座連絡会議でも話したK大学の歯科理工学研究室の大学院生**君がつい先ほど着いてね、こないだK大のS教授と話して、次のジルコニアと歯科用陶材との接着強さを測定する実験はラウンドロビン・テストにしてみようということで、向う(K)で作った試料を持って来てもらったのだが、今からこの試料を使った接着試験は出来るかな?」と話しかけた。

すると、背中を丸めていた方は、すぐさま顔を上げて、こちらを向き、手に持っていた小型のモンキーレンチを何かの治具らしきものから離して、そのままの手で額を拭った。この時、試験機の前にいる方は、かねてより私と似た実験を手掛けていると意識し、また、学会発表の際に何度か質問を受けていたことが思い出された。

そして「ええ、先ほど治具の組み立てを終えて、今しがた、別素材の同型の試料を用いて予備実験をして、治具の微調整をしたところですので、今からスグにでも始めることは出来ます。」と返答をされた。

後で知ったところによると、この方は当研究室の大学院生(博士課程4年)であり、主に歯科用合金と、さまざまな材料との接着についての研究をされており、学会発表の際に示される、それら界面を高倍率にて観察した電子顕微鏡像のクリアさにはいつも感心していた。あるいは、これは主として実験機器自体の性能であるのかもしれないが、そうであっても、高倍率にて、あの程度までピントを合わせることが出来ることは、当時の私にとっては驚くべきことであったのだ・・。

やがて、私が持参した数種類の試料が入ったケースを開き、そこから一個づつ試料をと取り出し、各種寸法を電子ノギスにて測定し、それぞれ数値をエクセル図表に入力し、図表データとの相関が分かる様に試料番号が記載されたウェルプレートに収められた。

この実験自体はどちらかと云うと荒っぽいものとも云えるのだが、そこに至るまでの作業工程、つまり、試料の作製後から実験に至るまでの過程がなかなか面倒であり、あるいは条件毎の試料数が多ければ、こちらの作業の方が大変であり、また面倒であると云えるかもしれない・・。

ともあれ、今回もまた、ここまで読んで頂き、どうもありがとうございます!

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2021年12月24日金曜日

20211223 株式会社日本評論社刊 中井久夫著「日本の医者」 pp.150-152より抜粋

株式会社日本評論社刊 中井久夫著「日本の医者」
pp.150-152より抜粋
ISBN-10 ‏ : ‎ 4535804249
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4535804241

また人間の例ばかりでなく、微生物も、人間に感染をくり返しているうちに性質が変わる。微生物はなにしろ数が多いので、そのなかにはさまざまな突然変異種がたえず発生している。そうして代がわりが非常に早い。たとえばウィルスの10年は、高等生物の100万年以上に相当するという。したがって、進化の速度が非常に早いわけである。適者はまたたく間に全体の99.9パーセントをしめるようになる。

微生物の人間に対する毒力の変化は、むかしから学者のあいだで注目されてきた、あまりに強毒な微生物で、それにかかった生物がたちまち死ぬようなものは微生物にとってあまり有利ではない。それよりも発病してからも、微生物をまき散らしながら長い間生きていてくれる方が都合がよいわけである。もっとも繁殖できないほど毒力がよわくても、微生物の子孫繁栄のためには具合がわるい。結局、中程度の毒力のものが、時の経過とともに主流を占めるようになることが多い。

このような変化は、オーストラリアのウサギを退治するため、人間が、南米からあるウィルスを持ち込んだ時におこったことである。ウサギは結局全滅しないで、数年後には、あまり毒力のつよくないウィルスがウサギの間に流行をくり返すようになり、ウサギとウィルスの間にある種の平衡ができあがってしまった。

人間の病気でも、梅毒などは、カリブ海の小島からひろまって以来の500年のあいだに、あきらかに毒力がよわまっているのであり、そのかげには、このような事情が考えられるようである。

むろん、事がそれほど簡単でない場合も多い。狂犬病は、一発必中の、きわめて毒力のつよいウィルスである。しかし、これは人間から人間へと伝染するものではない。そもそもは、おそらくイタチのたぐいがもっているウィルスであり、イタチにとっては、無害なウィルスであろう。実際、南アフリカではマングースというイタチの類がもっていることがわかっている。マングースをたまたまイヌがつかまえる。イヌが感染し、他のイヌをかんだり、ヒトをかんだりする。このようにしてヒトやイヌに別の世界のウィルスがまぎれこむのである。一般にきわめて毒力のつよいウィルスは、その動物にはなじみの浅いものが多い。サルにはかるい病気しかおこさないヘルペスBウィルスは、病気のサルにかまれたヒトには、狂犬病におとらぬ致命的な病気をおこす。有名な日本脳炎ウィルスは蚊には全く無害なウィルスである。おそらくもともとは蚊のウィルスであろうといわれている。

このように感染したら最後、人間を倒さずにはおかないものから、大腸菌のように、まったく人間と平和共存をしているものまで、微生物と人間との関係はさまざまであり、しかも、その間には野生の動物や家畜が介在している。そうして、自然的・社会的な環境が変動すれば、それにつれて思いもかけないまったくあたらしい局面が生まれてくる。アメリカの細菌学者デュボスの名著「健康という幻想」の言うように、人間が病気とまったく縁を切ることはおそらく不可能であろう。

しかし逆に、自然環境や社会的条件がほぼ定常的であるなら、病原微生物と人間との関係には一種の平衡が成り立つことになる。むろん、それは、長い時間をかけて獲得されるバランスであり、多くの個体の犠牲に成り立つバランスであろうが。

ゆたかな出生率と地域の孤立性はこの安定に大いに寄与するものである。「古事記」にあるイザナギノミコトとイザナミノミコトの問答の中で、今や死者たちの国の女王と化したイザナミノミコトが地上の国の支配者のイザナギノミコトに対して、「お前の国の人間を日に千人死なせる」と呪うと、イザナギノミコトは「それならば日に千五百人ずつ生み出す」と宣言する話がある。そのように、豊かな出生率によって高い死亡率に対抗することが、人類が病気の脅威の下で生き残るいちばん古い戦略であった。共同体の小ささと交通のとぼしさが、地球上のどこかでおこった流行をその小さな地域に封じ込めていたことも、おおいにあずかって力になったであろう。


2021年12月23日木曜日

20211222 1670記事を過ぎて思ったこと、ブログ継続の意味について

またしばらく【架空の話】の続きをブログ記事として作成してきましたが、その間に総投稿記事数が1670を越えていました。そしてまた、今回の新規の記事投稿により、1673記事に到達しますので、今年中に、あと7件の記事投稿にて1680記事に到達し、来年1月中での1700記事到達への目途がどうにか立つように思われます。

どうにか1700記事への到達も、以前より現実味を帯びてきたとは云えますが、それでも、その先については全く考えておらず、あるいは(無事に)1700記事へ到達出来ましたら、1カ月程休んでみた方が良いのではないかとも思われます・・。2015年に始まり、現在に至るまで概ね6年半にわたってどうにか当ブログを続けてはきましたが、以前にも述べました通り、ここ最近、何度か、そして何故か「たまにブログ読んでいますよ。」と云われることがありました。

そういえば、当ブログを始めるきっかけとは、以前にも何度か述べましたが、何人かの方々から、同時期に「ブログを始めてみては?」と云われたことです。そこから、最近の「たまにブログ読んでいますよ。」もまた、あるいは何かしらの「意味」があるのかもしれません・・。いや、より精確には、元々それは単なる偶然であったとしても、そこに「意味」を見出そうとする行動、すなわち「ブログのさらなる継続」によって、そこに本当の「意味」が生じてくるといったメカニズムのようなものがあるのかもしれません・・。

これは、未だ判然とはしていませんが、こうした因果関係とも見受けられる事がらは、もう少し考えてみますと、その筋道、ストーリーは全て後知恵と評し得るものであり、それは事後の時系列的な整理、あるいは物語化のためには好都合であるのかもしれませんが、その現実の渦中においては、まさに五里霧中とも云える状態であると云え、ただ自分の信じる「何かの価値」に基づいて行動しつつ、時々は周囲の様子をも窺うといった感じであるのではないでしょうか?

ともあれ、そうした中において、事後的にではあれ、私はこの一連のブログに、その「何かの価値」の主軸を置いてきたように思われるのです・・。おそらく、この6年半に、もっと多くの面白い記事を投稿することが出来れば、そこから何らかの収入を得ることも出来たのかもしれませんが、そうしたことは頭の片隅にはあると云えばありますが、それよりも、新規1記事の投稿の方が現在の私にとっては重要であり、その先にある、1700記事、さらにその先にある、1800記事、そして来年6月のブログ開始から丸7年を迎えるまで(どうにか)続けることが出来れば、また何か新たな見解が腹に落ちて、さらに「収入を得る」なども含めた次の展開のようなものが判然としてくるのではないかと思われるのです・・。

そして、上に述べたことは、あくまでも仮説ではありますが、同時に、これまでに(どうにか)ブログを継続してきた中で得た感覚に基づくものでもあり、それは自分としては概ね進化であると認識しています。

しかし、その反面、この新たな感覚を得る過程において失ってきた性質・性能もまた、少なくないように思われます・・。そして、見方によりますと、それが所謂「創造的退行」と称されるものであるのかもしれませんが、そのように考えてきますと「創造性を発揮する」ということは、人によって、その傾向に相違があるとは思われますが、端的には、創造性を発揮し得る「何か」に対して過分に活力を配分することによって、はじめて駆動することが出来るのではないかと思われるのです・・。そしてまた、それこそが「個性の発揮」であるとしますと、我々の社会全般における強力な「同調圧力」とは、昨今、その必要性が叫ばれているイノベーションの本質とも云える「創造的破壊」と敵対、あるいは拒む性質のものとも云えます。

そして、これを視座として、現在の我が国にて生じているさまざまな事件、出来事などを眺めてみますと、やはり、多少暗澹とした気分になってくることは否めないように思われてくるのですが、さて如何でしょうか・・?

また、それをどうにか回避するためにも、今後もうしばらく、無理をしない程度に【架空の話】を続けてみようと思います。

今回もまた、読んで頂き、どうもありがとうございます!
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2021年12月20日月曜日

20211220【架空の話】・其の77 【モザイクのピースとなるもの】

医専大が新設されてから当初の数年間、口腔保健学科、口腔保健工学科の講義・実習のカリキュラム編成は、その科目が国家試験に大きくは関与しないものであれば、半ば試験的な意味合いもあってか、割合柔軟というか適当とも云えるようなものであった。

その顕われの一つが、さきのH先生が口腔保健学科、口腔保健工学科1年生の共通教養科目である「歯科英語」を担当するようになったことであるとも云える。その所以は、以前にも述べたが、医専大設置二年目に西欧某国からの視察団来訪の際に見せた、通訳の能力によるとされているが、ご本人はこれを特に肯定も否定もせずに「いやあ、あれは本当に参ったよ・・。(笑)」といった感じで返答されるのが常であった。

また、H先生は他にもいくつかの講義や実習の担当をされており、どちらかと云えば多忙とも云えるはずであったが、この科目については、特に愚痴もこぼさず、いや、半ば楽しんで、これに取組んでいるようにも見受けられた。

しかし、その後、私がK大学大学院に進んでから3年目に入る2カ月程前の頃、実習補助のために訪れた医専大の研究室にてH先生から「いやあ、来年から**(西欧某国)の**大学に留学することになっちゃったよ・・。それで、実習の方はM・E先生と**さん(私のこと)、それに必要であれば、K大の補綴系研究室の院生にTAでお願いすれば、どうにか大丈夫であると思うけれども、あの共通教養科目の「歯科英語」は留守中、誰にお願いしようかと考えていたのだけれど、**さん(私のこと)は、そっちもイケるかな・・?教養科目と云ったって、そこまでお堅いものではないし、これまでに使った教材は渡すから、留学の間1年ちょっとの期間、ウチの学科の実習に加えて「歯科英語」もお願いしたのだけれど・・。いや、実は大学事務の方もそれで了解をもらっているし・・引き受けてくれると、とてもありがたいのだが・・それに90分の講義は多分良い経験になると思うよ。」とのことであり、私としてもかなり不安ではあったが、これも良い経験になるものと、引き受けさせて頂くことにした。

そして後日、H先生から、これまでの教材一式と、講義に用いたパワポ・スライドのデータが入ったUSBフラッシュメモリを受け取り、また、それらについての説明を伺った。

口腔保健工学科の方は、それまでに実習補助として参加していたことから、1学年20名全員の顔と名前は一致していたが、口腔保健学科の方は、その3倍以上の学生さんが在籍しており、顔写真付きの名簿も見てみたものの、全員をおぼえるまでにはなかなか苦労したことが思い出される。

ともあれ、そうした経緯によって、私は90名近い1年生の学生さんの講義を受け持つことになったわけだが、教材についてはH先生より一式受領したものの、その際に「この講義は特に歯科関連の英語を学ぶかことが目的となっているけれど、それだけでは絶対に時間があまるから、**さん(私のこと)が好きな洋書か何かを教材に使うと、学生さんももっと講義に乗ってくるかもしれないよ。」とのアドヴァイスを頂いた。

そこで私は、比較的オーソドックスで読み易い英語で書かれていると思われたジョージ・オーウェルによる「パリ・ロンドン放浪記」「Down and out in Paris and London」を用いることにした・・。

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2021年12月18日土曜日

20211218【架空の話】・其の76 【モザイクのピースとなるもの】

S教授からの依頼「医専大口腔保健工学科の実務家教員選定の下準備」を主たる目的として、私とE先生は東京に赴き、一週間ほど滞在することになった。また、Kと成田空港を結ぶLCC便が私の編入試験の時から、さらにいくつか増便しており、往復の航空券は、かなり安く抑えることが出来た。

また、E先生は医専大からの正式な出張という扱いとなり、これまで通り、出張の航空運賃でKと羽田空港間の往復の予約を取られた。

医専大に編入学をして3年、さらにK大学大学院に入学してからも3年目に入り、既に5年以上、Kに在住したことになるが、その間、実家に帰郷したことは、東京・首都圏にて開催の学会参加のための2回のみであり、また、その他の地域への訪問についても学会への参加以外では殆どなかった。

ともあれ、帰郷が決まり、久しぶりに実家に連絡をすると、当初、博士課程への進学を強く反対していた両親も「仕方がない」と云った感じになっていたのか、割にスンナリと滞在期間中の宿泊を許可してくれた。

そういえば、W県にて勤務していた兄は、2年ほど前に東京本社に戻り、現在は実家近くで一人暮らしをしているとのことであったが、どうしたわけか「W県に戻りたい」と繰り返していた。おそらくW県と兄は相性が良かったのだと思われるが、そうしたこともあって、私の東京訪問が決まる一週間ほど前、兄からW県にもある医専大への学士編入試験について質問の電話があった。どうやら兄はW医専大の臨床工学科か、もう一つの市内にある医療系大学の看護学科への学士編入を検討していたようだが、兄の経歴を鑑みるに医専大の臨床工学科が良いのではないかと思われ、その旨を伝えると、納得をしたようであったが、その後の進展については聞いていない。

この件についても、帰郷時に相談に乗った方が良いと思われるが、元来理系で、また、私よりも勉強家であると云える兄は、学士編入を希望するのであれば、もう少し上を目指しても良いのではないかと思われた。

ともあれ、E先生と今回の東京滞在期間中での具体的な活動を決め、終日同行の日もあれば、別行動の日もあり、何れにしても、その日の出来事のまとめは、電話で話し合い、またその中で重要と思われる事項については記述し、あるいはH・M先生にメールで知らせておこうということになった。

久しぶりの東京訪問であったためか、遠足前日の小学生のように気分が高揚して、あまり睡眠を取れなかったが、当日はさきの高揚を推進力として朝早く発ち、市電にてK中央駅まで出て、そこからバスに乗って空港まで向かった。LCC便であることからか、予約した飛行機は羽田空港でなく成田空港に着くとのことであったが、航空運賃の値段から考えると、痛痒はおぼえなかった・・。

また、E先生の方は、学生時代に在住していた場所の近隣にあるホテルに滞在されるとのことであり、それは千葉県の東京寄りのI市であり、先生曰く「ああ、ここは羽田と成田の丁度中間あたりで、都内に行くにも比較的便利で、それに都心のホテルと比べるとホテル滞在費用も抑えられるんだ。」とのことであった。

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