2020年6月4日木曜日

20200603【架空の話】・其の23

【架空の話】
この古墳散策は長時間にわたり、駐車場への歩道を帰り道で歩いている時には、日は陰り薄暗く、そして肌寒くなってきていた。また、この散策で集中力と体力を消費したためか、帰路は言葉数も少なく、それは車を走らせている時も同様であった。

**千塚古墳群を後にして車を走らせていると、次第に朝に見た兄の家近くの風景となり、そして到着した。ドアを開け玄関に入ると、二人とも疲れた感じで靴を脱ぎ、兄は先ずトイレに行き、私は手と顔を洗い、うがいをしてから自分の荷物が置いてある部屋に入りタオルを取り出し、手を顔を拭った。するとトイレを出てリビングルームにいた兄が「ああ、うちのタオルも遠慮なく使ってよ。」と云ったため「うん、お風呂に入る時には使わせてもらうよ。」と返事をした。兄は軽く頷いてから「よし、またしばらく休んでから夕食を食べに行こう。」と次の行動を話題にした。私の方は、夜行バスであまり寝られずにこちらに到着してから一日中歩き回っていたことから、これからの外出は少々億劫であったが、他方で、折角兄が立てた計画にケチをつける気もなかったため「え、今度はどこに行くの?」と訊ねるに留めた。それに対して「うん、今度はWの中心市街地にある寿司屋さんに行こうと思っているんだけれど、今日はやっているかな?」とスマホを取り出し、何やら調べて「よし、やっぱり大丈夫だ!それじゃあ、今が17:30だから、18:30に出れば19:00頃には着くから、そのつもりでいてね。」とのことであった。


兄の方も手洗い、うがいを済ませ、少しスッキリとして、リビングのソファに腰を下ろした。私の方もそれを真似、リビングの他のソファに座った。帰宅直後に暖房は入れたものの、室内は未だ寒く、兄はレザージャケットを脱いでいなかった。そこで、それをハナシのネタにしようと「さっきから少し気になっていたんだけれど、兄貴が来ているレザージャケットは、見たところ軍モノっぽいけれども、微妙にカタチが違うと思うんだけれど、それはどこの何て云うカタチなの?」と訊ねてみた。

すると兄は「ああ、これは映画「インディー・ジョーンズ」で主人公が着ているレザージャケットのレプリカだよ。作りも結構しっかりしていて、なかなか良いよ。」と返事をした。たしかにそのカタチは前世期前半頃に特徴的なものであり、また、革の微妙な光沢にも味があった。私は「それじゃあ、前に持っていたA-2とかのフライトジャケットはどうしたの?」と重ねて訊ねると「ああ、前に持っていたフライトジャケットの多くは人にあげたりしたよ。最近はどうも過去の大戦での物語や背景を持つシブいフライトジャケットのレプリカよりも、自分の実人生の方をそんなシブいものにしようと思うようになってね・・。いや、こういったことは、多分**も分かると思うよ・・。」と少し照れたように言った。こうした発言はかつての兄ではしないように感じられたため、そこには何らかの原因のようなものがあったのではないかと思われたが、それについては訊ねなかった。そして「ふーん、まあたしかに何かに仮託することなく、自分自身のシブいジャケットにしていこうと思うのは何となく分かるなあ。」と返事をした。すると兄はおもむろにソファから立ち上がってキッチンに行き、グラスを二つ手に取り、冷蔵庫からペットボトルのお茶を出して戻ってきた。そして「もう暖房も効いてきたから、お茶でも飲もうか」とグラスにお茶を注いで、手渡してきた。私も丁度、喉が渇いてきた頃であったため、早速飲み始めた。兄は続いてテレビのコントローラーを手にしてスイッチを入れた。丁度、夕刻の報道番組が放映されていたが、そこにはあまり注視せず、そのまま音量を下げ、私に「もう18:00過ぎか、もうじき、また出発するけれども、今から行く寿司屋さんがまたスゴいんだよ。俺は関東しかも首都圏の出身だから知らなかったけれども、寿司っていうのは元々、発酵食品であり、当時としては保存食の一種だったんだよ。それで、その名残で握り寿司のシャリが酢飯なんだけれども、本当の元祖は、このシャリは本当に発酵して酸っぱくなっているご飯だったんだよ。ああ、それで、**は琵琶湖周辺で作られている「ふなずし」って知っている?あれも系統的には、これから食べに行く寿司と同じなんだけれども、Wは海が近いからね「ふな」じゃなくて「サバ」とか「サンマ」を使って、あと「ふなずし」と違うところは、発酵の際に用いるご飯も一緒に食べることだね。だからカタチとしては昆布とかで巻かれたサバの棒寿司と、ほぼ一緒なんだけれど、それが本当に発酵しているってことだね。まあ、普通の棒寿司もあるから、それと食べ比べてみたら面白いと思うよ。」とのことであった。発酵させた魚というと、私はクサヤを想像して多少尻込みしたが、とりあえず地元では問題なく食べられていて、そして兄も食べたことがあるのであれば、まあ食べられないことのないかな・・。」と思った。そして時刻は出発予定時刻の18:30まで10分程度となっていた。


*今回もまた、ここまで読んで頂き、どうもありがとうございます!


新版発行決定!
ISBN978-4-263-46420-5

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