2017年10月26日木曜日

20171026 『母系的・秘密結社的・芋栽培-狩猟民文化』昨日の続き 其の1

A「昨日分の投稿記事はどうしたわけか投稿翌日にしては、かなり多くの方々(60以上)に読んで頂けました。もちろん、本日投稿分の記事に関しては、昨日書いたとおりの題材にて書き進めようとは考えていますが、これには多少のプレッシャーを感じないこともありません・・(苦笑)。

さて、昨日分の投稿記事にて書きましたが、岡正雄によりますと、我が国の民俗文化とは本来多元的に構成されており、その構成要素とは概ね五つ程度存在するのではないかということでした。

本日はこの五つの要素について、先ずはじめの要素の概括を同著『異人その他』記述に基づき書き進めていきます。

1:母系的・秘密結社的・芋栽培-狩猟民文化
この民俗文化を持つ社会とは、灌漑等を用いた水稲耕作社会とは異なり、農業においてはあまり複雑高度な発展はせず、タロ・ヤムのような芋栽培(我が国では里芋)を行っていた。

我が国における本格的な農耕文化は、水稲耕作が西日本において一般的となった弥生時代(紀元前600~700年頃)からであると考えられているが、さきの芋栽培などを含む農耕文化は、縄文時代後期(紀元前2000年~3000年頃)に既に我が国に広く根付いていたものと考えられている。

芋栽培は東南アジアからオセアニアにかけて稲栽培に先行しており、その分布圏は東南アジアをはじめポリネシア、メラネシア、インドネシア、日本列島にまで及んでいる。

また我が国の古来からの農耕儀礼等祭祀においても供物に稲を用いずに里芋を用いる例が少なからず見受けられる。

また、ここでいう秘密結社とは、異様な格好をした仮面装者たちが祖先、祖霊として出現し、その来歴を語り、女性、子供を脅かし、食物を強請し、子供に対し秘儀的なイニシエーションを施す組織、結社といった意味合いである。

こうした仮面装者たちの振舞い等の文化とは、メラネシアにおけるそれと本質的な部分にて一致する。

この秘密結社文化の起源は未だ明瞭ではないが、同時に、この文化がさきの母系的、芋栽培文化に付随するものであることは間違いない。

くわえて、この文化における宗教観念の基層にあるものは、霊魂、祖霊、祖先崇拝であり、その祖霊が、彼方にある死者の国から訪れるという考えである。

そして、こうした民俗文化を持つ集団が時代を通じ波状的に我が国に渡来した。また、その中でも、どの地域において特に強く根付いていたかは未だ判然としない。しかしながら、これらの民俗文化がセットになった文化体系は。メラネシアを対象とした研究によって認められており、さらにこの民俗文化に含まれる要素として、以下のものが挙げられる。
*霊魂、祖先崇拝が顕著(祖先像、祖霊祠の存在)
*女酋の存在が多く見られる(母系社会)
*既婚男子による集会所(秘密結社の形成)
*頭蓋崇拝
*渦巻文様の盛行
*土偶、土面の存在
*仮面
*切妻家屋・・
といったところであるが、しかしながら、こうした民俗文化がメラネシアより直接我が国に齎されたとは考え難い。

おそらく、この民俗文化は中国南部沿岸の何処からか、一つの流れは南洋方面に、そして他方が日本列島へ流入したのではないかと考えられている。

ともあれ、今回もまたここまで読んで頂きどうもありがとうございます。

昨年から現在までに日本列島各地において発生した一連の地震・大雨・水害といった大規模自然災害により被害を被った諸インフラの復旧・回復そしてその後の復興を祈念しています。

先日より新たに噴火をはじめた新燃岳周辺の方々の御無事も祈念しています。」









20171025 ある書籍から別の書籍に読み遷る理由について・・明日以降の新たな試み

A「以前読了した『銃・病原菌・鉄』と同著者ジャレド・ダイアモンドによる『昨日までの世界』を先日から読んでいます。

この著書はさきの『銃・病原菌・鉄』と同様に大変面白いのですが、個人的な興味を基準として評価しますと現在読んでいる『昨日までの世界』の方が幾分興味深いといえます。

その理由とは、こちらの著作に記されている内容の方が、より多く、かつて自身が専攻した地域学、民俗学といった学問分野に近いと思われるからです。

それ故、この著作を読んでいますとフレーザー著『金枝篇』に記載されているような民俗風習の事例が散見され興味深く、さらにそうした手法を我が国の民俗風習の理解、解明に応用した著作ともいえる岡正雄大林太良編『異人その他』は、参照するために頁を広げたところ、こちらの著作の方がさらに面白く感じられるようになり、ひとまず『昨日までの世界』を置き『異人その他』をあらためて精読してみることにしました・・(笑)。

こうしたあちこちに飛び移るような読書の手法とは、あまり良いものではないのでしょうが、しかし、興味が新鮮であり気分がノッている時にその著作を読み込むということは、ある程度まで年齢が行き、体力に任せ書籍を読み込むことが困難になってきた場合においては、少なからず有効な手法ではないかと考えます。

さて、この『異人その他』著者岡正雄によると我が国の民俗文化全般とは、列島外の北・西・南より、いくつかの民族がそれぞれの文化を携え列島に渡来し、それが時代の経過と共に積層し、さらにそれらは列島内部においてもさまざまな要因によって反応をし、活性化したり衰退化したりし、そしてそれが列島各所の地域性の基層となり、現在に至っているということになります。

そしてその具体的な渡来してきた各民族およびそれらが持つ文化の特色を述べているのですが、これを考察する際において冒頭に挙げた著作『昨日までの世界』とはかなり有効ではないかと考えるのです・・。

そして、その考察を行うための土台として『異人その他』にて述べられている各民族について明日以降、少しづつ書き進めてみようと思います・・。

また、これは自身のブログとしては新たな試みであり、どの程度まで継続出来るか多少不安ではありますが、とりあえず明日以降しばらくはこれを題材として書いてみます。

今回もまた、ここまで読んで頂き、どうもありがとうございます。

昨年より現在に至るまでに日本列島各地にて発生した一連の地震・大雨・水害等の大規模自然災害によって被害を被った諸地域のインフラの復旧・回復そしてその後の復興を祈念しています。

先日から新たに噴火をはじめた新燃岳周辺の方々の御無事も祈念しています。」