2023年4月6日木曜日

20230406 異郷に赴く際の読書の持つ効果について

過日訪独時の一日毎での徒歩による移動距離が気になり、久しぶりにスマホの万歩計を開いて確かめたところ、滞在期間は毎日ほぼ15km程度は歩いていたことが分かりました。現地に入ると、当初は昂奮のためであるのか、あまり疲れを感じることなく動き続けることが出来ていたと思われますが、滞在後半になってきますと、漸う疲れが出てくるのか、足や荷物が重く感じられてきました。また、おそらくこれは同行の先生方についても同様であったと思われます。それでも40・50歳過ぎ、そして一人は70歳過ぎの一団としては、数日間連続して比較的よく動き回ったものと思われます・・。

思い返してみますと、こちらの成員での行動は、国内外での学会や、あるいは登山の際にも度々あったことから、私にとっては何と云いますか安心感のようなものがあり、また、そのおかげもあり、初めて参加する海外での世界最大規模の展示会であっても、あまり萎縮することはなかったと記憶しています。また、私なりの、そうした異文化の地で萎縮せずに平常心を保つための工夫として、かねてより読み続けている書籍を持参して、空いた時間に頁を読み進める努力をするということがあります。

さきの訪独に際しても、何冊か持参し、飛行機の座席で読書灯を点けつつ、あるいは滞在ホテルのベッドの上で寝転びつつ読んでいましたが、今回については、おそらく(かなり久しぶりに)口語での英語を多く使うことになるであろうと考え、英語の小説も一冊持参しました。その小説は、口語・文語の何れであっても、あるいは我が国での文系・理系の何れに対しても伝わり易いと、かねてより考えていたジョージ・オーウェルによる著作としましたが、結果的にこの選択は少なくとも間違いではなかったものと思われます。

ともあれ、如上のように、私にとって異文化の地に赴く際、運河の水門に挟まれた閘室のような役割を果たしたのが、英語小説の読書であったと思われます。あるいはこれは、国際線機内で観る映画を英語字幕にて観ることにより、同様の効果を持つのではないかとも思われましたが、私見としては、たしかに映画を英語字幕で視聴することにより、異文化の地に行くマインド・セットのようなものは得ることが出来るのかもしれませんが、しかし、より具体的に異文化の地でのリングワ・フランカを用いたやり取りが想定される場合においては、より言語に意識を集中させる小説の読書の方が良いのではないかと思われました。

また、他の持参した著作の読書で印象に残っていることは、ハノイ発フランクフルト便に乗り、かなり時間が経った機内にてミネルヴァ書房刊岩間陽子・君塚直隆・細谷雄一編著による「ハンドブックヨーロッパ外交史」36p~の「クリミア戦争」の項を読んでいる際、座席正面の個人モニターに表示される地図上の現在位置が黒海の南部上空であったことから、座席右側の窓から真暗な北の空の向うにあり、現在も渦中にあるクリミア半島、そしてそのさきのウクライナについて、しばし思いを馳せたことです。

翌朝、無事にドイツ、フランクフルト空港に着き、ケルンにて開催のIDS2023に参加して、デュッセルドルフのホテルに帰着して室内でテレビを点けて視ていますと、件の黒海上空にて米軍の無人偵察機がロシア軍によって撃墜されたこと、また、フランスのパリでは年金受給資格年齢の延長を巡って抗議デモが激化していることなどが報じられていました。滞在ホテルで私が視聴出来ていたのは英語版のFrance24の報道番組であり、そのキャスターの方は、国内にて同番組の報道動画を視聴する際にも度々見て憶えていたことから、どうしたわけか少し不思議な感じを受けました。あるいは、この現象には、先述した異文化の地に赴く際の閘室のような効果を持つ英語小説の読書とも類似した何かがあるのではないかとも思われましたが、さて、実際のところはどうなのでしょうか・・。

今回もまた、ここまで読んで頂き、どうもありがとうございます!

一般社団法人大学支援機構


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