2015年12月12日土曜日

20151211 マンガ・映画と神話・古典について・・

A「どうです、最近何か面白い本や映画を見つけましたか?」


B「そうですね、書籍に関してはここ最近はずっとこれまである本を読み直すことが多いですが、先日用事があって行った神保町の書店で何か面白そうな本がないか色々と見ていましたら数学者で哲学者のラッセルの生涯を扱ったマンガがありましたが、これはかなり面白そうでした。
機会がありましたら是非購入したいなと思いましたね()
しかし、それで思い出すのは以前、そのラッセル著の「西洋哲学史」全三巻を読破できずに現在本箱の奥にあることですね・・。
あれはたしか6年前のことですが、また機会がを見つけてこれを精読、読破したいです。
また、映画に関しては、これも特にここ最近は観ていませんが、観てみたいのは「ワーテルロー」という映画ですね・・。
あの当時の大規模なロケを行った映画の迫力は現在のCGを多用したものとは大きく違うと思います・・。
こうした意見は今となっては時代遅れなのでしょうか?」


A「ラッセルの著作はたしかに面白いのが多いですからね。
しかしBさんがマンガを話題に出すのはなかなか珍しいですね、購入されたら是非読ませてください。
あと、映画に関しての御意見は私も大体同じですね。
私も本当の戦争は大嫌いですけれど、若い頃に観た面白い戦争映画はまた機会を作りゆっくりと観てみたいと思うことがあります。
私の場合はそうですね「空軍大戦略」やドイツ映画の「Uボート」などはまた観てみたいですね・・。
しかし君がさきほど云った「ワーテルロー」は、ちょっとマニアックですね(笑)。
もちろん私も以前観ましたけれど・・。
ちなみに私はあれを見るとどうもそこから40年後の世界を舞台にした「遥かなる戦場」を思い出してしまいますね。」


B「・・お言葉を返すようですが、私などはAさんに比べましたら、まだまだそういった映画等の趣味に関しては青二才であると思いますが・・()
それでも「Uボート」は私も今Aさんからお聞きして思い出しましたが、その後のハリウッド映画「U-571」の出現で少し人気が後退した様に見えましたがストーリーの重厚さなど全体的には「Uボート」の方が勝っているのではないかと思います。
また、あのストーリーはホメロスの「オデュッセイア」に通じる様なものがあるのではないかと思います・・。
ちなみに同じ監督が後年「オデュッセイア」の前の物語である「イーリアス」を映画化した作品を制作していることは何だか少し面白いですね・・。」


A「・・なるほど、それは面白い意見ですね。
私も「オデュッセイア」、「イーリアス」は以前読みましたが、確かにそういわれてみるとそうかもしれませんね・・。
ところで、ああいう物語は日本でいうところの記紀平家物語太平記などに相当するのですかね?」


B「ええ、多分その様な感じであると思います。
しかし背景の時代が大きく異なりますが・・。
ともあれ半分神話といってもいいそれらの舞台が、実際の遺跡として発見されたことは、発掘された当時としては画期的なことであったのではないかと思います。
その意味で、そういった古代の神話などは単なる物語やロマンではなく、何かしらの史実の痕跡を示すものが多いのではないかとも思います。
そしてこそれは我が国の記紀についても云えることであり、神武東征の際に九州を出発し瀬戸内海を通り大阪での在地の酋長勢力との戦にて受けた傷がもとで亡くなった神武天皇の兄である五瀬命が紀伊に葬られたと記されていますが、これは竈山神社として和歌山市に現存しています。
もっとも、これは記紀の記録に合わせて造営されたものであるのかもしれませんが、ともあれ同時にそうした遺跡は他にもありますので、少なくとも神武東征とは全く架空の物語でもないのではないかと私は思います。」


A「うーん、たしかに神武東征などは記紀における「オデュッセイア」に相当するものなのかもしれません・・。
また、戦前はそういった記紀の神話を題材にした絵画なども割合多く描かれたから、それらはもしかしたら欧米において多く存在する聖書物語あるいは「イーリアス」、オデュッセイア」などの場面を題材とした絵画に触発され描かれたのかもしれないね。」


B「いわれてみますとたしかにそうですね。
そういった神話の場面を絵画として描き可視化する行為とは、その国の持つ神話文化を明晰化する意味があるのかもしれませんね・・なるほどです。
そして、そう考えますと、ある国が持つ絵画文化の発達とは、その普遍的題材となり得る神話などといった物語の存在が案外重要なのかもしれません・・。
またそれは丁度、音声言語と文字言語の様な関係であるのかもしれませんね。
その様に考えますと、現在我が国で盛んなマンガ文化とは一体どの様な系譜に立つものなのでしょうか?」


A「我が国のマンガ文化の系譜ですか・・。
その直接的な起源とは江戸時代の浮世絵なのでしょうか?
しかしそれ以前についてはどうも思いつきません・・。」