2023年8月11日金曜日

20230810 19世紀後半から続く我が国の「文明開化」・「開化」について⑤

しかしながら、近代以降の我が国の開化は、西洋文化主導の潮流に支配されてきました。そして我々日本人がその潮流に乗り出すこと自体が本来は異質であり、居心地の悪さを感じることも多くあったことでしょう。そして、そうした状況では、新しい波に移行する前に、古い波の特徴やその本質などを理解する余裕がないままで、捨てなければならないことも多くあったことでしょう。これは食卓において、一つの食事が終わる前に次の食事が供されるようなものです。そのため、この開化の影響を受ける人々の多くは、空虚感や不満、不安を抱くと思われます。また、こうした開化を自慢する人々はあまり好ましくありません。それは端的に軽佻浮薄であり、あるいは、タバコの味を分からない子供が無理をして美味しそうにタバコを吸っていると見せかけることのように生意気とも云えます。しかしまた、無理をしてでも、このような状況に立ち向かわなければならない、ならなかった国民もまた、相当に悲しいものがある、あったと云えます。

あるいはまた。我が国近代の開化が内発的であったかのように自慢される方々は、この開化から影響を受ける国民のどこかに、空虚感があることや、不満や不安を抱いていることに念頭に入れた方が良いと考えます。端的に、国際間にて交際する場合、多くの場合、自国中心では上手くいくことはありません。とりわけ、自国よりも強い他国と交際する場合、多くは妥協して、相手の要望に従わなければならなくなります。もしも自国が他の強国よりも強いのであれば、状況を変えることもできるかもしれません。しかし、現実はそうではないため、我々は相手の要望に合わせ、あるいは真似をしなければなりません。しかも、それは自国内で自然に醸成された文化風習ではないため、機械的に異文化を覚えることになります。そして、こうした行為は大きな心理的影響を与えることになります。

我々の意識は絶えず動いています。そして皆さんは現在この文章を読まれています。また、私は皆さんに向かって文章を作成しています。そして双方共に、その自覚があります。また、お互いの意識も動いています。この動いている我々の意識の一部分、時には1分間ほどの範囲を切り取って調べてみても、やはり動いていることが分かります。その動き方は、すべて1分間の意識でも30秒間の意識であっても、その内容が明瞭に心に映る点から言えば、同程度の強さを持って時間の経過に頓着せず、あたかも一つ所に固定したかのようには動きませんが、やがて必ず動きます。そして、動くにつれて明るい点と暗い点が生まれます。その高低を平たい直線で示すことはできないため、やはり幾分か勾配のある弧線、つまり弓形の曲線で示さなければならなくなります。

これまでの一連の当記事では、我が国近代の開化における内発性と外発性から、その後の進展の様相について述べています。具体的には、我が国近代での開化が外発的なものであり、その影響が人々の心理にどのような影響を与えるかについて述べられています。また、集合的意識や、ある程度の期間にわたる意識の変遷についても言及しており、そこでは時間の経過に伴い意識も変動することが指摘されています。

具体的には、それまでの我が国では、概ね内発的に諸文化が発展してきましたが、近代以降の外国との交流の影響によって、それまでにない急激な変化が生じたことが指摘されています。このような外からの強い影響は多くの人びとの意識の動きにも大きな影響を与え、具体的には、意識の内容が明瞭さを失ってしまい、また意識の不確実性が高まって、不安定性が増加するといったことが多くなります。

近代の日本人が比較的短期間で西洋諸文化を吸収して、さらに複雑な分野での内発的な進展をも達成して、西洋人が数世紀を要した進歩を誇る一方において、現代であっても、我々日本人が直面している神経衰弱の困難は、これまでに述べてきた経緯からの避けられない結果であると云えます。

現代の我が国では開化が進んではいますが、実際のところ、その中で暮らす我々の幸福度は満足なものではなく、内外での競争や、その他の要因からくる不安を考慮しますと、幸福度は近代の開化以前とほとんど変わっていません。そのため、現代の我々日本人は非常に特殊な状況に置かれていると云えます。この外発的な開化がさらに進展して、我々日本人はそこから滑り落ちてしまうか、あるいは神経衰弱になってしまうかの二者択一となっているように思われます。このような状況にある我々日本人は同情に値すると言えます。しかし、結論はそれだけです。そこに何らかの具体的な解決策を提案するわけではありません。我々は何もできず、ただ困惑し、非常に悲観的な結論に至っていると云えます。

今回もまた、ここまで読んで頂き、どうもありがとうございます!
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