2018年12月2日日曜日

20181202 1129の記事から、ディオニソスをスサノオとしてみると・・トリック・スターと二面性?

おかげさまで11月29日投稿分の記事『 ベートーベンの第九交響曲と阿波踊りに共通・通底することディオニソス的?』はこれまでに多くの方々に読んで頂けました。読んで頂いた皆さまどうもありがとうございます。また、この記事にて述べたニーチェによるディオニソス的・アポロン的といった芸術・文化類型は、我が国で知られたものに当て嵌めて考えてみますと陰陽道が多少近いと思われ、あるいは我が国の神々をそれぞれの性質を考慮し当て嵌めてみますとディオニソスがスサノオ、そしてアポロンがアマテラスとしても、そこまで大きく外れではないようにも思われますが、如何でしょうか?

とはいえ、そこからディオニソスとスサノオの神としての性質を全く類似したものとして考えてみますと、そこまでハナシは単純でなく、スサノオの場合、ディオニソスのような不可視な陶酔的・情熱的・内面にある未だカタチを為さないエネルギーに満ちたものと認識してしまうと片手落ちであり、他面において、木々の種類による道具としての用途を定めたり、我が国初の和歌を詠み、そして人間界を襲う大蛇を計略にて打ち倒すといったことをも行っているのです。


つまり、神々のいる場所においては、陶酔的・情熱的なエネルギーのままにふるまい、周囲の神々の手を焼かす(困った)存在であったのが、追放された先の人間界においては、理知的な振る舞いにより、頭角をあらわし、出雲・山陰地域の統治者にまでなったわけですが、おそらくこのモノガタリ・神話の主な源流は、アジア北部にて顕著にみられる天孫降臨系の神話の一つであり、それらはおそらく微妙な出自地域・部族などの相違からモノガタリのディテールが変化し、具体的には出雲神話のハナシのタイプは朝鮮半島南東部の新羅地域あたりに顕著に見受けられるタイプであったのではないかと思われます。また、同時にこのタイプは後代の渡来神である天之日矛(アメノヒボコ)のモノガタリとも類似性があると云え、その伝承は西日本の日本海側に多いことからも、この考えは補強され得るものと考えます。

さて、そこからハナシを最初に戻りますと、ディオニソスとスサノオの大きな違いは、おそらくディオニソスが陶酔的、情熱的なエネルギーのままにて創造活動を行うのに対し、スサノオは神々の中においては陶酔的・情熱的なエネルギーのままにふるまう、いわば困ったキャラクターであったのに対し、追放先の人間界においては理知的に振る舞い、活動する優れたリーダーというキャラクターとして描かれ、そこから看取されるトリック・スター的とも云える二面性から、何と云いますか、我が国性質全般に見受けられる『建前と本音』などの二面性の根源に近い性質、原型のようなものを認めることが出来るのではないかとも思われるのですが如何でしょうか?

そういえば、もう一つ、ベートーベンによる第九交響曲と云えばスタンリー・キューブリック監督の『時計仕掛けのオレンジ』を忘れてはダメであり、この作品に登場する第九交響曲をこよなく愛する主人公アレックスもまさしく、ニーチェが第九交響曲を『このうえなくディオニソス的な楽曲である』と評したのと同様、陶酔的・情熱的なエネルギーのままに(暴力的にも)ふるまう、いわば困ったキャラクターであったのが、傷害致死による懲役を機に、意を決して真人間・善人になることを試み、政府の企画する心理的な実験に自ら参加するのですが、ここで大変面白いことは『意図的なプログラムによる心理的施術により、もとにあった(暴力的ではあるものの)生のままの人間的エネルギーは壊変・改変され、総じて能動的に活動することが出来ない人間になってしまっていることが社会にて問題視されるところ』です・・。

また、ここまで書いていますと、否応なく我が国近現代の栄枯盛衰の歴史あるいはその社会自体が想起されることは、ペシミスティックと評されるべきことなのでしょうか?

ともあれ、そうしたことから、やはり科学技術・医療分野のみだけでなく人文社会科学分野も同等に重要であると思われるのですが、おそらく昨今の我が国社会は、この分野において、急速に劣化しているように思われるのですが、さて、如何でしょうか?

今回もここまで読んで頂き、どうもありがとうございます。
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