2022年5月13日金曜日

20220512 歴史的文脈、背景の意味について思ったこと

直近の投稿記事にて「ここ最近は仮説があまり思いつかなくなった。」との主旨を述べましたが、これは後になり考えてみますと、その後、関連著作などからの当該分野に関する知識が増加することにより、そうした、空想にも近い仮説は簡単には思いつかなくなったとも云えるのではないかとも考えるようになりました。

どの分野の著作を読み進める場合においても、当初は何も分からず、まさに五里霧中の態であるのですが、そこから幾冊か読み進み、さらに、インターネットからも情報を集め続けていますと、徐々に、その背後にある文脈、背景のようなものが認識され、そして、そこからは、その認識された文脈や背景とも整合性のある仮説が思いつくようになるのですが、その時に、いくらかの体系付けられた知見が文脈や背景にありますと、やはり、生じる仮説は制限されてくると云えます。

そしてまた同時に、他者が主張する仮説に対しても、その背景にある、知見や文脈も気になってくるのですが、おそらく、こうしたことは、何も書籍から得られる知識のみならず、現在のさまざまな報道などにおいても同様であると云え、たとえば、現在なお継続中の東欧での戦争についての、さまざまな報道を動画サイトなどで視聴していましても、そうしたことは半ば無意識ながら考えているように思われます。

つまり、それらの扱っている内容が、現在の状況であれ、あるいは過去の歴史であっても、何らかの主張や主旨がある文章や動画などには、須らく文脈や背景があり、また同様に、さきにあげた東欧での戦争においても、現在報道されている状況に至るまでの文脈や背景があり、それは、さまざまな発現の手法によって、19世紀のクリミア戦争から説明することも出来れば、あるいは、さらに以前の16世紀からのロシア帝国とオスマン帝国との当地域をめぐる争いからも説明出来ると云えます。

また、幸いなことに、これらの歴史については、ある程度まではわかっており、日本語のみでも理解出来るような状況があると云えます。そして、ここからが重要であると思われるのですが、それは、今後、生じる出来事においても、それが如何なるものであれ、これまでの歴史的文脈、背景に基づくものであり、それに結節するものであると云うことです。

こうした見解は、多少、後知恵じみたものとして、とらえられるかもしれませんが、それはまた、詭弁ではなく、そして間違いではないのです。

それ故、昨今、戦争当事国の元首が(狂信的に)歴史にのめり込むことにより、現代版「汎スラブ主義」とも云える考えを抱くに至り、去る2月末からの隣国への侵攻を実行したとして「歴史」が何かしら悪影響を与えるものとして、とらえられがちであるのですが、そこで重要であると思われることは、以前投稿の「ウンベルト・エーコの世界文明講義」からの引用記事にあった「百科事典にあるあらゆる真実は、どれも再検討の可能性に開かれている。わたしたちが学術的に開かれた意識をもっているなら、新たな資料がいつか発見されることへの心構えが必要だ。」のように、現在我々が知っている歴史には、どれも再検討の可能性があり、何らかの資料や遺跡などの発見により、既存の歴史像が変わることもあり、また、歴史全般にはそうした性質があることから、それは他国への侵攻の理由にはなり得ないと思われるのですが、しかし、一国を動かす権力者が、ある(偏狭とも云える)自国を絶対化するような視点に基づいた歴史観を信じるようになると事情は異なってくると云えるのかもしれません・・。

ともあれ、そうであるからこそ、面倒であるかもしれませんが、さまざまな異なった視点に基づく歴史像を文脈や背景として認識し、そしてまた、ある特定の歴史像に惑溺しないことが重要であると思われるのですが、これについて最近思ったことは、そうした何と云いますか、体感的とも云える理解に至るまでは、ある程度の期間の訓練が必要であり、さらに、それは若いうちからのものである方が望ましいのではないかと云うことです。

無論、こうした訓練の継続とは、さまざまなスポーツと同様、向き不向きがあると思われますが、こうした分野も、医学などの実学とは異なった種類のものではあれ、それなりの重要性があることは、昨今の国際情勢からもご理解頂けるのではないかと思われるのですが、さて如何でしょうか?

ともあれ、今回もまた、ここまで読んで頂き、どうもありがとうございます!
順天堂大学保健医療学部


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