2020年7月29日水曜日

20200729 読んでいる著作で見つけた気になるコトバから

ここ最近は、新たな書籍に手を出すことはなく、蔵書の中で、その時の考えていることや、気分にて選び、何となく読んでいるといった日々を過ごしています。端的にこうした状態は「停滞気味」と評すべきものと云えますが、しかし、この停滞の中で、新たな書籍に興味が湧いたり、また(自身にとって)新たな考えの萌芽のようなものに出くわすことも多々ありますので、この停滞状態においても、何かしら読み続けることは、重要であると考えます。

そうした中で、以前にも当ブログにて取り上げたジャレド・ダイアモンド編著による「歴史は実験できるのか」第一章の「ポリネシアの島々を文化実験する」にて以下の記述が記述が特に興味深く思われました。

p.43
「食料が豊富な年があると思えば、不足する年があるような予測不能な環境では、どの島でも各地の渓谷を支配する首長同士がたびたび対立し合うのも意外ではない。実際、異文化に接する直前のマルケサス諸島では襲撃や武力衝突が大きな特徴で、饗宴やカニバリズムの儀式のサイクルと密接に関わっていた。私は、べつの場所でこれを「競争的退行」と呼んでいる。」

p.45
「最初にトフア(*巨大な石造の祭壇(引用者))が建造されたのは拡張期だったと思われる。しかし、建築活動が最もさかんだったのはサッグスが古典期と呼んだ時期だと考えて間違いない。ヨーロッパ人と接触するよりも1、2世紀以前から、接触が始まった頃までに当たる。この時期は、「競争的退行」のパターンの進行が民族誌学的に証明されている時期でもあり、襲撃が絶えず、饗宴の規模は拡大し、人身御供への注目が高まった。そのうえ、人口密度が最も高くなり、定期的に発生する干ばつや飢饉の影響がマルケサス諸島全域におよび、社会政治的制度が大きく変容を遂げたとも推定される。古代ポリネシアのパターンから離れ、トーマスが「流動的かつ競争的な」社会制度と呼んだ形へと変わっていったのである。」

干ばつや飢饉、そして、そこから生じる既存統治体制の揺らぎは、原初的な祭政一致の社会では、祭祀・儀式への依存・注力が一層強まり、そして、祭祀を同じくする個々の社会集団における凝集性はさらに強まり、反面で、異なる社会集団同士の争いは激化し、また同時に、そうした状況(干ばつ・飢饉・争乱)によって農作物などの拡大再生産は為しえなくなると、さらなる争乱の激化につながっていき、そうした一連の状態を当著作では「競争的退行」と呼んでいると思われますが、このコトバをネットで調べてみたところ、未だ一般的には運用されていないと思われましたが、同時にこのコトバは、この時代(西暦1400年~1600年頃)のマルケサス諸島社会のみにふさわしいといわけではなく、たとえば西暦1500年代前後のユカタン半島のマヤ文明、あるいは、2世紀後半の所謂「倭国大乱」の時代にも、あるいはこれと類似した現象があり、さらには、経済的には継続的な停滞期にある一方、情報技術が更に進化発展し、他方では感染症に社会全体が脅かされている我が国社会においても、こうした「競争的退行」とも認識出来るような状況が多く生じているのではないかと思われました・・。
(記載部分のマヤ文明につきまして、興味がありましたらメル・ギブソン監督の映画作品「アポカリプト」をご覧ください。あるいはジョルジュ・バタイユ著の「呪われた部分 有用性の限界」(ちくま学芸文庫)をご一読ください。)

とはいえ、このコトバが記載された著作「歴史は実験できるのか」は、未だ原書を入手しておらず、どのような英語表記になっているか分かりませんので、現段階では何とも云えませんが、この「競争的退行」というコトバは、昨今の我が国社会の状況、あるいはまた、世界規模でのある種の状況を指すものとして、適切であるようにも思われましたが、さて、如何でしょうか?

慶應義塾大学出版会株式会社刊 ジャレド・ダイアモンド ジェイムズ・A・ロビンソン編著 小坂 恵理訳 「歴史は実験できるのか」
ISBN-10: 4766425197

新型コロナウィルス感染症そして東アジアを含めた世界情勢が出来れば今後、収束そして鎮静化することを願っています・・。

*今回もまた、ここまで読んで頂き、どうもありがとうございます!

新版発行決定!
ISBN978-4-263-46420-5

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歯科材料全般あるいは、いくつかの歯科材料に関する勉強会・講演会の開催を検討されていましたら、ご相談承ります。また、上記以外、他諸分野での研究室・法人・院内等の勉強会・特別講義のご相談も承ります。

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どうぞよろしくお願いいたします!















20200728 新型コロナウィルス感染症と昨今の東アジア情勢から思ったこと・・

目標であった7月内での1350記事更新も為されて、今月は新たな記事作成を行う必要性もありませんが、ここ数日間は書籍からの抜粋引用部を記事として充ててきたことから「このあたりでまた、自身の文章による記事作成を行った方が良いのでは・・」と考え、さきほどから記事作成を始めた次第です・・(苦笑)。

ここ最近の首都圏は、新型コロナウィルス感染症の第二波とも云える状況から、あまり大手を振って外出も出来ません・・。自然と引きこもり気味になり、そして、どうにか夕方か夜半になって、運動不足解消のために、しばらく家の周囲を出歩くといった感じの生活スタイルが定着しつつあります・・。

それ以前では、新型コロナウィルス感染症も収束気味との観測から、休日には都内に出向き、これまでの習慣であった長い散歩をしていましたが、今後はまた、そうしたことも今しばらく控える必要性があるのかもしれません・・。

そういえば、先日スマートフォンを紛失していたことを述べましたが、このスマートフォンの一つの機能として「万歩計」があり、その記録を見てみますと、やはり休日である木・金曜日の歩行距離が明らかに長く、大抵は5km以上であり、10kmを超えている日も少なからずありました。首都圏の生活にて「悪くない」と思うことは、割に歩かなければならないということであり、また、少なくとも、自身の場合「歩く」ことと「読書」には密接な関連があると考えていることから、さきの新型コロナウィルス感染症の第二波によって、都内での長い散歩が困難になってきますと、また4・5月のような緊急事態宣言下での悶々とした日々に戻ることになることが予想され、暗鬱とした気分になってきます。

他方で、東アジアをはじめとする世界情勢もまた、ここ数十年のなかで、かなり緊迫した状況であるとも云えますので、こうした状況を忘れないまでも、何かしら心が明るくなるような出来事を探したくなることは、人の心の自然な流れであるように思われます・・。

しかしながら、ここ最近はそうした出来事もなく、たとえるならば、ひたすら長い、先の見えないトンネル内を歩いているといった感じがあります・・。そして、それは何時の状態に似ているのかと記憶を参照してみますと、指導教員が退職された後の2010~2013年の鹿児島での生活が少し近いような感じを受けます。

とはいえ、当時の鹿児島での生活は、先こそ見えなかったものの、明確な目標があり、また休日は思う存分に歩き、そして、その後には贅沢にも温泉に浸かっていましたので、他にも様々な相違はありますが、どちらが良かったかと考えてみますと、その明確な答えは出てきません・・。ともあれ、こうした時は、たとえ牛歩ではあっても、前に進む以外ないと思われますので、本日もこうして記事を作成して休もうと思います。

新型コロナウィルス感染症そして東アジアを含めた世界情勢が出来れば今後、収束そして鎮静化することを願っています・・。

*今回もまた、ここまで読んで頂き、どうもありがとうございます!

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