2019年2月9日土曜日

20190208 気が滅入るような読書から思ったこと

昨日の徳島は気温がかなり上昇し、日中は少し暑く感じるほどでしたが、本日はそこから打って変わって気温が低く、また風も強い一日でした。

さて、ここ最近は当ブログは週末のみ更新を行ってきましたが、そのわりには閲覧者数は大幅に減ることはなく、特に記事更新を行った日に関しては、これまでの平均的な一日の閲覧者数と比較し、かなり多くなったと云えます。それに加えて、当ブログでの記事更新と関連があるのか分かりかねますが、昨今、これまでに接触したいくつかの組織から、ご連絡を頂くこともありました。ブログ記事を作成していますと時折、こうしたことが生じることがあり、これはなかなか面白いと云えます。

ともあれ、先日投稿した記事『「イノベーション」について思ったこと』から、ここ最近「イノベーション」に関連する著作をいくつか読みましたが、その中で大変興味深く、そして打ちのめされた著作は岩波書店刊 森嶋通夫著『なぜ日本は没落するか』であり、この著作を読んでいますと、その書かれていることが概ね正しいと考えられることから、かなり暗鬱とした気分となり、さらに、その内容は、以前に読んだ我が国の特質が述べられている加藤周一山本七平などの諸著作をも彷彿とさせられることから一層、現在および今後の我が国の状況は好転することはないように思われました。


しかし、であるからと云って、特に昨今少なからず見受けられる我が国について自画自賛のトーンにて述べられた諸著作は、書店で手に取ってみても読む気にはなれませんので、いくらかは書籍を読み続けている自身のこの反応は、実感として信用出来るものであると考えます。いや、実のところ、この実感の方が間違っているのであれば、それで良いのですが、しかしそれでも、昨今相次いで発刊されている我が国に関する自画自賛本を読み、自らを愛国者、保守的と考えている方々と積極的に与したいと思うことは、かなり少ないと云えますが・・。

さて、こうして自身の考えを述べて思うことは『何故、私はそのように考えるのか。』ということであり、その理由はおそらく『我が国の特に戦間期の歴史そして時代精神をいくつかの書籍を通じて知っていると思っているからであろう。』と考えるのですが、この時代【1920・30年代】の歴史を、ある程度、同時代人の著した著作を通じてでも知っていれば、到底、さきの自画自賛本を『良いもの』として読むことは出来ないように思われるのです。

また、こうした考えは、戦前、戦後を経験し、そこから戦後社会を概ね良いものと考え、そして近代日本の勃興期である明治時代を肯定的に描いた『坂の上の雲』を著した司馬遼太郎が、その晩年に我が国の行く末を危ぶんでいたことと親和性を持つのではないかとも考えます。

そして、その考えからさらに歩を進めますと、そこには昭和45年の時点で我が国の将来を文化的に暗澹たるものと考えて決起、自決した三島由紀夫の思想に近づくのではないかと思われます。

以前読んだ三島事件直後に書かれた司馬遼太郎の三島事件に対しての論評は、かなり否定的なものであったと記憶していますが、その後、時代を経るにしたがい、司馬遼太郎は、その述べられた意見自体は変えないまでも、その基層にある考えについては変化したのではないかと思われます。

そして、そうしてある程度ピントを合わせた視座にて、さきの森嶋通夫著『なぜ日本は没落するか』あるいは、欧米人で云うと、以前に抜粋引用したP・F・ドラッカー著 『イノベーションと企業家精神』の日本語版への序文、サミュエル・P・ハンティントン著『文明の衝突』での日本に関しての記述、ロナルド・ドーア著『幻滅 外国人社会学者が見た戦後日本70年』などを読んでみますと、たとえ今後2020年に東京オリンピックが開催され、そして2025年には大阪にて再び万博が開催されようとも、それらは現今の我々の再び固定化しつつある社会構造に対しては、何と云いますか、深部からの社会全体への活性化には結び付き難いようにも思われるのですが、さて如何でしょうか?

~書籍のご案内~
ISBN978-4-263-46420-5

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前掲書籍の主著者である師匠による歯科材料全般あるいは、いくつかの歯科材料に焦点を当てた勉強会・講演会の開催を検討されておりましたら、よろこんでご相談承ります。師匠はこれまで長年、大学歯学部・歯科衛生・歯科技工専門学校にて教鞭を執られた経験から、さまざまなご要望に対応させて頂くことが可能です。

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