2022年10月22日土曜日

20221022【架空の話】・其の95 【モザイクのピースとなるもの】【講義篇②】

では、今日のテキストを用いた講義はこのあたりにしましょう・・。今回は比較的多く、歯科材料や臨床にて日常的に用いる器具などの英語での名称が出てきましたが、このあたりはテスト作成者側からしますと、問題として出し易いと云えますので・・いや、それ以上に皆さんがここを卒業されて歯科衛生士さんや技工士さんとして海外で仕事をすることになったり、あるいは、外国人が多く在住している国内地域の病院や歯科医院などで勤務するようになりましたら、かなりの高確率で、これらのコトバを用いることになると思いますので、皆さん、出来るだけ多くのこれらコトバを憶えていた方が良いと思います。

たとえば、このテキストの26頁に出てくるスパチュラ(Spatula)という言葉は、そのイラストが示すように細長い先端の形状を持つ金属製の箆のようなものを指していますが、皆さんご承知の通り、これらは私たちのいる歯科医療分野では、数種類あって石膏スパチュラ、アルギンスパチュラ、そしてカヤックのパドルにも似ている両頭のセメントスパチュラなどがありますが、このスパチュラ(Spatula)は和訳すると「箆」になるのですが、また他方で、トランプの絵柄の一つであるスペード(Spade)も、文字にしますと、さきほどのスパチュラ(Spatula)と近くなり、スペードの方は元来、農具の鋤の意味とのことですが、よく知られたトランプのスペード(Spade)の形状に最も近いのは、軍隊で個人装備として広く使われている、先端がラウンド状になった円匙(えんぴ)と呼ばれる小型シャベルではないかと思います。これなどは先端部をヤスリなどで磨ぐと、大変鋭利な武器にもなって、第一次世界大戦を描いた「西部戦線異状なし」というモノクロの名作においても、先端を研いで武器に改造した円匙(えんぴ)を持った兵士が出て来るとのことです。さらに武器として考えてみますと、さきのスパチュラ(Spatula)やスペード(Spade)にも言語的類縁性が認められるのが、古代ローマ帝国から見て北方の蛮族にあたるケルト(ゴール)やゲルマンの戦士達が用いていた長剣シュパータ(Spatha)であり、これは改造を施さなくても武器であり、またおそらく、こちらもさきの二つの「Spa」からはじまるコトバと語義的な類縁性がおあるように思われますが、こうしたことは、面白いもので、実際に辞書を引きつつ、辞書に書かれた文字の字面と、それぞれの意味をボンヤリと眺めつつ考えていますと、何だか突然思い付くといったことがありますので、皆さんもおそらく今後、そうした経験をされることになるのではないかと思います。

では、さきに挙げた映画作品「西部戦線異状なし」の時代背景である第一次世界大戦についてですが、講義の冒頭で述べましたジョージ・オーウェルによる「パリ・ロンドン放浪記」(Down and out in Paris and London)の時代背景が丁度、第一次世界大戦後のおそらく1920年代であり、この作品に、帝政ロシアが革命によって倒されて国外に亡命した、かつての帝政ロシア陸軍の士官、たしか大尉でしたっけ・・のボリスという人物が登場しますが、おそらく1920年代当時の世界では、かたや戦禍も欧州各国と比べては浅く、そして戦勝国となって富が溢れていたスコット・フィッツジェラルドによる「グレート・ギャッツビー」に描かれているようなアメリカ合衆国の社会がある一方で、ファシスト政権誕生の培地ともなった、敗戦によって高額な賠償金が課されて急激なインフレが進行してしまい経済が破綻状態であったワイマール・ドイツのような社会状況もありました・・。

フィッツジェラルドの「グレート・ギャッツビー」は皆さんご存知ですか・・?ちょっとお手数ですが、ご存知の方は挙手をお願いします・・。

おお!皆さん結構ご存知のようですね。さすがです・・。え、そうです。この作品は映画化もされていますよね・・。それでも皆さんが御存知であるのは、おそらくレオナルド・ディカプリオが主演で、バズ・ラーマン監督の作品であると思うのですが、それ以前にも往年の名優ロバート・レッドフォードが主演で、後に「地獄の黙示録」の監督となるフランシス・フォード・コッポラが脚本を担当して、さらに洋服ブランドの「ポロ」で有名なラルフ・ローレンが、映画衣装を担当してアカデミー賞衣装デザイン賞を受賞した、1970年代の映画作品もあるのですが、私としては後者の方が、より当時の時代精神に迫っている印象があるのですが、まあDVDもおそらくツタヤに置いてあると思いますので、両方の作品を英語字幕にして英語の勉強をしながら観るのも面白いかもしれませんよ・・。

え、ああ作家の村上春樹氏がこの「グレート・ギャッツビー」を和訳しているのですか・・。はあ、それは知りませんでした・・。私が読んだのは、たしか新潮文庫の版で訳者は村上氏ではありませんでした。それで村上氏はどちらの出版社から出されているのですか?
へえ中央公論新社ですか・・。分かりました。どうもありがとうございます。今度機会を見つけて少し読んでみます。

ああ、では早速、ジョージ・オーウェルの「パリ・ロンドン放浪記」(Down and out in Paris and London)を読んでいきましょうか? まず私が音読して、その部分を和訳して行きますので、とりあえず聞いていてください。そして、その次から私が指名させて頂きますので、その続きを音読して、そしてその和訳をしてください。それで、これは高校までの英語の講義とはちょっと違いますので、出来れば演劇のように文章に入り込んで楽しみつつ音読をしてください。いや、私も含めて英語が母国語ではありませんので、発音などもそこまで神経質にならなくて大丈夫です。むしろ、こうして音読していくうちに、自然に上達していくのではないでしょうか・・。

では行きます・・。おお!いきなり何やらフランス語らしき記述がありますね・・まあ、いいや、じゃあ行きますよ。

今回もまた、ここまで読んで頂き、どうもありがとうございます!

順天堂大学保健医療学部


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