2019年6月15日土曜日

20190615 「翔ぶが如く」第10巻まで読み進めて思ったこと

4月末から読み始めた「翔ぶが如く」は漸う最終巻である第10巻に入りました。以前にも書きましたが、第8巻から西南戦争が始まり、そして第9巻を通じて描かれている田原坂を含む肥後・熊本での西郷軍と政府軍との戦いは、文章からもその凄惨さが伝わり、読んでいますと時折、眉間に皺が入っていることに気が付かされます・・。

また、この第9巻にて、かつての会津藩等、戊辰戦争時の幕府軍に属した方々が陸軍、警察など政府側として西南戦争に参加する経緯が書かれていますが、それらの描写からもまた、一つの時代精神でしょうが、何やら凄まじいものが感じ取れます。

同時期の会津藩出身者等のことに触れた作品として、中公新書から刊行されている石光真人編「ある明治人の記録-会津人柴五郎の遺書」が挙げられます。この作品は著者(柴五郎)が戊辰戦争そして西南戦争の時期のことを実体験として述べていることから、時においてその描写は小説である「翔ぶが如く」よりも生々しく、読者の感覚に迫るものがあると思われます。

他方、この「翔ぶが如く」第9巻での西郷軍側からのスピンアウト作品とも取ることが出来るものが、鹿児島出身の海音寺潮五郎による「田原坂」という短編集です。この作品は著者地元での口碑などがそれぞれ短編のベースにあることから、西南戦争当時の時代精神、風土性を強く感じ取ることが出来るように思われます。

とはいえ、「翔ぶが如く」第9巻にて凄惨な戦闘の描写が続きますと、読んでいるこちらも消耗するようであり、さりながら、ここまで読んで読了に至らないのも悔しく、且つ、この作品はどのような結末を迎えるのだろうかと思う部分も少なからずありますので、おそらく、近日中には読了に至るものと思われます。

しかし、冒頭に述べた4月末の当作品第1巻を読み始めた頃と比べますと、明らかに気分が平均して重くなっていることに気が付かされます。では、この気分が重く、沈んでいる状態は悪いものであるのかと考えてみますと、必ずしもそうではなく、あるいは自分の背景にある大きな歴史の流れを知る、知りたいと思い続けることは、大なり小なりこうした経験を積み重ねていくことではないかとも思われるのです。

その意味で、考証のもとに著された歴史小説が持つ優れていると思われる点は、一つに、それを読み、理解したならば、同様テーマの新書、歴史の概説書あたりは特に問題なく読むことが出来るようになり、さらにその先には、さまざまな学術な著作も読むことが出来るようになるといったところにあるのではないかと思われます。

そして、そうした読書の循環を継続しているうちに、さまざまな異なった時代、地域あるいは学問分野に興味を持つようになることは、自然な能動性発露の仕方ではないかと思われるのですが、さて如何でしょうか?

今回もここまで読んで頂きどうもありがとうございます。


数年前から現在に至るまでに列島各地・特に西日本・九州にて発生した、さまざまな自然災害によって被害を蒙った地域の速やかな復旧そして復興を祈念しています。







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