2023年5月24日水曜日

20230523 異郷での経験や読書による変化から【南紀について②】

先日の投稿記事を含め、これまでに何度か当ブログで述べてきたことではありますが、私は当初、全く気乗りしなかった南紀白浜への転勤により、それまで知らなかった「西日本」という異文化の中で住むことになり、そこで否応なく強い違和感を感じたわけですが、ある程度若い時分でのそれは、多くの場合、特にとり挙げるまでもなく、生活のなかで、徐々にその土地に慣れて、順応していくのだと思われますが、私の場合、こうした違和感を、知識や、さまざまな実地見分によって解消しようとしていたのだと思われます。そして、こうした能動的な活動をしばらく続けていますと、徐々に私の方に変化が生じてきました。

他方で、同じ時期、しばしば、文系の師匠が、ご自身が執筆された論文やその他文章の別刷りなどに加え、クラシック音楽のCDなども送ってくださることがあり、私は、それに触発されて紀伊田辺の書店で面白そうな書籍を物色したり、あるいはアマゾンで購入して、西欧文化や近現代史に対する興味を自分なりに深めていましたが、当時、私が在住していた南紀では、それらの分野を学び、深めることは困難であると考えて、身近にある興味を持つことが出来そうなものを探したところ、ご承知のように、銅鐸や古墳に興味を持つようになったと云えます。

とはいえ、興味を持つとは云っても、それまで私は、考古学や古代史を専攻したことはなく、紀伊田辺の書店で面白そうな関連著作を探していたところ、それまでに多少は見聞きした記憶がある「南方熊楠」という人物の関連著作が少なからず棚に並んでおり、そのうちの読み易そうな著作を何冊か手に取り読んでみたところ、当時の私でも「何だかよく分からないけれどもスゴイ人物だ・・。」とは理解出来、そして、そうした人物が何故、後半生をここ紀伊田辺で過ごしたのかということも興味を持つようになりました。

実際、南紀在住期間に幾度か、紀伊田辺の市街地から少し外れた高山寺にある南方熊楠のお墓にお参りに行きました。この高山寺には、紀伊田辺出身の合気道の開祖である植芝盛平のお墓もあります。また、和歌山県出身の作家である津本陽氏による植芝盛平をモデルとして主人公とした小説「黄金の天馬」には、南方熊楠が登場しています。

やがて、当地の遺跡を扱った著作として、保育社刊「日本の古代遺跡」シリーズの和歌山編を古書で入手しました。当著作には古墳など遺跡の場所が記された地図が掲載されており、それを参考にして実地見分に赴くことがありましたが、実際に訪れてみると、遺跡の存在が確認できない場合もしばしばありました。さらに、当時はインターネットで各種情報を容易に入手することができなかったため、記載の地図通りに進んでいるはずであっても、よく不安を感じていました・・。

また、他の趣味もありましたが、こうして書籍などを探して読んだり、あるいは時々師匠が送ってくださるさまざまな印刷物を読んでいますと、どうやら私は、自分が興味を持つ分野のものであれば、比較的難しい書籍でも、どうにか読むことが出来ると分かり、そこから「やはり当初の希望通り、どこかで人文系の大学院に進んだ方が良いのではないか・・?」とひそかに考えるようになりました。

しかし、そこで大事であると思われることは、当初私はヨーロッパ文化を研究したかったのですが、南紀での生活により、前述したような我が国の地域文化・歴史についての興味を持つようになり「それを専攻として、さらに深めることは出来るだろうか?」と考えるようになったことですが、これにつきましては、やはり必然と云うよりも偶然であったのではないかと思われます。

そして、そこから、一般的に我々が考える「計画通りにものごとが進むことは良い」という視点からは、あるいは受容することは困難であるのかもしれませんが、こうした偶然の出来事や、制御が困難な出来事に(どうにか)対応することによって、あるいは当初の計画よりも、さらに創造的な未来を見出すことも出来るのではないかと思われるのです。それ故、我々日本人は、太平洋戦争で完敗を喫しましたが、それでも、自らの国の本物の歴史や文化に対して、内発的な興味を持ち続けることが、思いのほかに大事であるか、あるいは、それなりに意味があるのではないかと思われるのです・・。

今回もまた、ここまで読んで頂き、どうもありがとうございます!
一般社団法人大学支援機構


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ISBN978-4-263-46420-5

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