2020年1月24日金曜日

20200123 手紙形式:クラシック楽曲と映画について

早速のお返事どうもありがとうございます。
また、興味深いクラシック音楽に関しての情報どうもありがとうございます。
大変勉強になり、また肯く部分が多くありました。

さて、私がクラシック音楽を好んで聴くようになった契機は、先日ご一緒させて頂いた**先生からの影響であり、また**先生も、映画にて用いられているクラシック楽曲に関しては該博といって良いほどの知識をお持ちであると云えます。

ともあれ、私の場合は、その後、自分で稼ぐようになりますと、映画作品を観て、その中で気になる楽曲に出会いますと、さまざまな方法で、その楽曲の題名、作曲者等を調べてはCDを購入していました。サントラ盤がある映画ですと、これは簡単ですが、そのような作品ばかりでもありません。また、当時はインターネットも現在ほど普及していなかったため、それらを探すのは、それなりに苦労した記憶があります・・(苦笑)。

そうした中で、クラシック楽曲の映画での用い方が秀逸であると思われた映画監督が、今となってはベタではあるかもしれませんが、スタンリー・キューブリックでした。さきのメッセージにおいて示しましたが、同監督の最後の作品となった「アイズ・ワイド・シャット」の冒頭にショスタコーヴィチによるオーケストラのためのジャズ組曲第2番が用いられていましたが、こうした組み合わせのセンスは、現在他の映画監督で比肩する方はいらっしゃるのでしょうか。

また、そこまで有名とは云えない同監督による作品「バリー・リンドン」は、その映像の美しさと、用いられている楽曲の組み合わせにより「あるいは本当に当時の様子を撮影した映像を見ているのでは」と感じさせられるほどでした。とはいえ、この映像・楽曲双方にこだわった作品にも、ケチをつけられないわけでもなく、映画の時代背景であった18世紀中頃には、この作品で多く用いられたシューベルトによるピアノ三重奏曲第2番変ホ長調第2番は存在しなく、この楽曲は19世紀前半に作曲されたものです。

この異なった時代の楽曲を映画に用いることに反対したさらにこだわるスタッフが製作チームから脱退したという話をどこかで聞いたことがありますが、こうしたことは、おそらく、現在の我が国ではあまり生じ得ない現象と云えるのではないでしょうか。

とはいえ、やはりこの「バリー・リンドン」は映像美と楽曲の組み合わせにおいて突出した作品であるように思われます。また、映像であれば、リドリー・スコットの出世作となった「デュエリスト・決闘者」もまた、かなり美しいと云えます。この作品は「バリー・リンドン」の後の時代、さきのピアノ三重奏曲第2番変ホ長調第2番の作曲者であるシューベルトと同時代(ナポレオン戦争の頃)を舞台としたものであり、また、この作品の原作は、私が一時期耽読といって良いほどに読んだジョセフ・コンラッドによるものであることを、後に知りました。このように映画とクラシック楽曲を通じて、色々と繋がったり考えが浮かんだりすることは、なかなか面白く、興味深いと思われますので、引き続き、自分なりに続けようと思っています。また何か面白いと思った考えが浮かびましたら、メッセージ差し上げます。いまだ寒い日が続きますので、どうぞご自愛専一でお過ごしくださいませ。