2022年1月2日日曜日

20220102【架空の話】・其の81 【モザイクのピースとなるもの】【東京訪問篇】

医専大口腔保健工学科での実務家教員選定下準備のための東京訪問の初日、私は都心部にある**歯科大学の歯科理工学講座を訪ね、S教授から預かった数種類の試料を、主任教授であるO先生に手渡した。

すると、そのままの足で試料は実験室に持って行かれ、速やかに実験に供されたが、当初、そこで得られた接着強さの値は、K大学の実験室にて得られたものと比べ、明らかに低いと思われたところから、万能引張圧縮試験機のクロスヘッド・スピードから点検・確認させて頂き、その流れにて、試料の治具への固定の仕方が、どうも異なるように思われたことから、私の手で、そのはじめて触る治具の調整をさせて頂き、再度、実験に供せられたが、そこから得られた値も、当初に比べ、いくらかは大きくはなっていたものの、それでも、Kにて得られた値より、有意に低い思われたことから、件の院生**先生と相談し、一度、私が持参した治具を用いて行ってみることにした。そこで慎重に梱包した箱から治具を取り出し、付属のL字型六角レンチで、各接合部位の調整を行い、そして必要箇所に油を差し、試料の寸法を計測し、治具に固定し、試験機に設置して、接着試験を行ってみると、面白いことに、はたして接着強さの値は、Kにて得られたものとほぼ同水準のものとなった。

そこから、その原因は主として、試料を固定する治具の相違によって生じていると推理されたが、たしかに実験を行っている様子を何度か、注意深く観察していると、**先生の治具では、試料が破断に至る寸前に、試料を収めた治具固定部に緩みというか、ほんのわずかなブレのようなものが認められたことから、おそらく、そのブレが生じているわずかな間での荷重分が吸収され、そして、さきの治具による接着強さの相違といった現象が生じたものと考えられた。

しかし、ここで書いてみると、この程度の文量にて、その経緯概要を述べることが出来るが、その認識の共有に至るまでは、結果的に、丸半日を費やすこととなり、最後、その内容を**先生と共にO教授のもとへ報告に行ったのは、午後6時半過ぎであり、また不図そこで、本日目覚めたのはKで、そこから飛行機に乗って来て、その日の夕方まで東京の大学で何やら実験作業を行っている自分のことを不思議に思ったが、そうした感傷のようなものは、O教授に再度実験室まで来て頂き、一連の様子を見届けて頂いている頃にはキレイさっぱりと忘れていた。ともあれ、O教授は、この実験の様子を動画撮影まで行い、納得された様子で、最後に「いや、今日はどうもありがとう。やっぱり実験は奥が深いね・・。おかげでまた接着試験の際の一つ懸案事項が片付いたよ。」と労われ、そして院生の**先生は、私が持参した治具の脇にメジャーを置いて写真撮影を行い、こちらの治具の複製を試みるとのことであった。ちなみに、私はこの時、**先生に高倍率でクリアなSEM観察画像を撮るための秘密を聞くことを忘れていた・・。

そうして**歯科大学を後にしたのは、思いのほか遅くなり20時を越えた頃であった。**歯科大学は、JR総武線と都営地下鉄双方を利用できる場所に立地し、またそこは、以前、歯科衛生士のCさんとの会話に出た歯科医療分野の書籍を専門で扱う***社の近くでもあったが、この時刻では既に営業時間外となっていた。

そこで、私は総武線に乗って帰路につこうとしたその時、E先生から電話があり、出てみると、その話し振りは本日の業務を終えた後のようなリラックスした感じであり、私に今日の出来事や、会った先生のことなどについて訊ねてこられ、そして、明日の面談予定についての確認を行った。

明日の面談は、とりあえずH・M先生の知人であり、また、私をK医療専門職大学を勧めてくださったD先生から始まって、そこから、たとえるならば「わらしべ長者」的に、歯科医療のデジタル化に精しい先生方への面通しをはかり、訪問の意図(K医専大 口腔保健工学科の実務家教員選定の下準備)を必要であればお伝えして、その反応や結果に基づいて、医専大の兼任教授でもあるS教授を中心として検討を行い、その結果にしたがい、またE先生や私が、各々先生方に実務家教員就任への打診を行い、それをとりまとめて、再度S教授に報告し、そこで承認を得てから、はじめて医専大の事務方へ実務家教員就任への事務作業の依頼となるのだ。

ともあれ、E先生との電話での報告や打合せを終えてから、実家への帰路につき、無事に帰着したのは午後21時半頃であったが、その日は移動もあり疲れが溜まっていたのか、早々に食事や風呂を済ませて床に就いたが、久しぶりの大都会の刺激によって心が昂っていたのか、あるいは久々に寝るベッドのためであるのか、なかなか眠ることが出来ず、結局、寝着いたのは24時過ぎ頃であった。

ともあれ、今回もまた、ここまで読んで頂き、どうもありがとうございます!
順天堂大学保健医療学部

日本赤十字看護大学 さいたま看護学部 


一般社団法人大学支援機構


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ISBN978-4-263-46420-5

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