2018年11月3日土曜日

20181103 実家にて偶然読んだ書籍からの発見?【書籍からの抜粋引用あり】文字から生じる感覚について・・

ここ3日間は所用のため、東京および福岡に出向き、昨日深夜に徳島に戻りました。今回はPCを持参したため、ブログ記事の更新を出向いた先の泊所にて行おうと少し考えましたが止めておきました。また、今回の出張は先ず飛行機にて羽田まで飛び、千葉県市川市の実家に戻りましたが、その途中にて現在読み進めている書籍を鞄に入れ忘れたことに気付き、かなり落ち込みました。とはいえ覆水盆に返らずで、嘆いても仕方がないため、とりあえず、夜半に到着した実家にて徳島への引越し時にまとめて置いてきた本箱を開け、面白く読むことができそうな書籍を探していますと岩波書店刊 ジョージ・オーウェル著『オーウェル評論集』が目に入り、これを取りしばし読んでみますと、なかなか面白く感じられたことから、この著作を今回の旅にて【再び】読むことにしました。

当著作内収録の各評論は概ね、平凡社よりシリーズ化【1~4巻】して刊行されている同名著作の何れかに収録されており、また、自身はこのシリーズ全巻を所有していることから、岩波書店版の当著作は引越しの際、実家に置いてきたものと思われます。それでも、さきに述べた旅中に読む書籍を忘れた状況の改善に対しては、この著作は十分すぎるものであったように思われます。

また、こうしたいわば偶然にて再び読むことになった著作にて、以下に抜粋引用する文章を見つけた時は、少し不思議な感覚におそわれました。

岩波書店刊 ジョージ・オーウェル著『オーウェル評論集』pp.71-73より抜粋引用
ISBN-10: 4003226216
ISBN-13: 978-4003226216
ディケンズは子供の心の内側にも外側にも立つことが出来て、同じ場面でも、読者の年齢しだいでめちゃめちゃな漫画のようにも恐ろしい現実としても読めるように描く才能に、めぐまれていたのである。例えばデイヴィッド・コパーフィールドが羊肉を盗み食いしたのではないかと無実の疑いをかけられる場面がある。あるいは「大いなる遺産」のピップがミス・ハヴィシャムの屋敷から帰ってきて、見てきたことがぜんぜん喋れないものだからつぎつぎにでたらめを並べ、それをみんなが頭から信じてしまうというあの場面でもいい。子供の孤立感を完全に描き切っているではないか。それに子供の知性の構造、その視覚的な性向、ある特定の印象に対して敏感なところなどを、おどろくほど正確にとあらえている。ピップは、自分が幼年時代に、この世にはいない両親の姿をその墓を見て考えたと語る。
 父の墓の字の形を見たわたしは、父が角ばって、頑丈な、色の黒い男で、縮れた黒い髪だったのだと、妙なことを考えた。「同じくジョージアナ、上記の者の妻」という文字とその形からは、いかにも子供らしいことに、母はそばかすがあって病弱だったのだという結論を出した。両親の墓石の脇にきちんと一列に並んだ、それぞれ一フィート半くらいの小さな菱形の石はわたしの五人の弟たちの墓だったが、・・・これを見ると敬虔な気持ちで、弟たちはみんなズボンのポケットに両手を突っ込んだまま仰向けの姿勢で生まれ、そのまま一度も手を出したことがなかったのだと信じてしまった。

『デイヴィッド・コパーフィールド』にも同じような箇所がある。デイヴィッドはマードストーン氏の手に咬みついたため、全寮制の学校へ入れられてしまい、背中に「この子にご用心。咬みつきます。」という札をつけられる破目になる。デイヴィッドは運動場に通じるドアに生徒たちの名前が彫り込んであるのを見て、それぞれの彫り方で、その生徒がどんな声を出して自分の背中の札を読み上げるか、はっきりわかるような気がする。』

以上の記述より自身は、先日10月29日投稿分の『久しぶりに山道を歩き、下界に至るまでに感じたこと』にて眉山頂上からの下山時のことを述べた以下の記述を思い出しました。

しかし印象的であったのが、この墓地が続く地域を通っている時であり、その墓域も現代的なキレイに整備されたところから、墓石の造作、周囲の植生などから数世紀前に戻ったのではないかと感じさせるようなところもあり、ふと立ち止まり、墓石に刻まれた文字を読んでみたりするのですが、そのフォントにて文字を読んでいますと、更にさきに述べた数世紀云々がどうも強まってくるのです・・。【少し酔う感覚に近いかもしれません。】常日頃、文字は単なる意味を伝える記号だと考えている私ですが、ここでは少しその考えが揺らぎましたね・・(笑)。ああいった感覚もなかなか不思議なものです・・。』

これらの間に通底する何らかの観念・感覚のようなものがあるのか精確には分かりませんが、他方において、おそらく『時代精神』といったものも、ある時代・地域における、こうした観念・感覚の最小公倍数的なものであるようにも思われるのですが、さて如何でしょうか?

また、同著作内収録の評論『ナショナリズムについて』もまたなかなか興味深く、この評論は、その論旨の是非を問わずとも、むしろ現在の我が国にて読んでみると面白いのではないかと思われました・・。

今回もここまで読んで頂き、どうもありがとうございます。



~書籍のご案内~
増刷決定!
ISBN978-4-263-46420-5

医歯薬出版株式会社
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