2018年4月1日日曜日

20180401 鳥獣はその器官によって教えられる。人間は器官を訓練し、支配する・・?

近い親戚に人文社会科学分野の研究者・大学教員がいたこともあり、かねてよりこの分野での学位、とりわけ博士号に対しては畏敬の念を持っており、また同時に特にこの分野では博士号を取得されていなくとも優れた研究者・教員が少なからずおられることも重々承知しているつもりです。

おそらく今後自身はこの分野にて学位(博士)を取得することはないと考えますが、他方で、この分野にて修士号を取得、その後、歯科技工士免許を取得し、そして歯学分野にて紆余曲折を経て、どうにか博士号を取得出来たことは、それが現在行っていることに(ほぼ)生かされていないとはいえ、それなりに苦労を伴うものであり、少なくとも軽口を叩かれるに値するものではないと考えます。

たしかに一般論として、博士号取得の困難さを歯学を含む自然科学分野と人文社会科学分野で比較してみますと、人文社会科学分野の方が困難であると思われますが、しかしながら、であるからといって人文社会科学分野の方々に『医歯薬とか理系分野は簡単に学位(博士)がもらえていいよね(笑)』などと云われますと、どうも納得出来ず『それでしたら試料作製から実験、先行研究の読み込み、学会発表の準備、そして学会発表などを何度かこなしてみてください・・』といった返事をしてみたくなります・・(苦笑)。

また、全ての実験に適応することであるか分かりませんが、実験に用いる試料の作製一つとっても、そこに至るまでにはそれなりに複雑な試行錯誤があり、さらに作製出来るようになった後も、さまざまな工夫改良により、その試料から抽出される本質は変化するのです・・。

そして、この一連の工夫改良を含めた試料作製法を意識的に管理・制御出来ることにより、はじめて自然科学分野の真髄である再現可能性を担保することが出来るようになるのです・・。

また、そうした作業を継続することにより、はじめて自身の研究テーマの基層にある法則性らしきものをも認識することが出来るようになるものと思われます・・。

そして、ここにおいて自然科学分野と人文社会科学分野に共通・通底する何かがあるのではないかと思われるのです・・。

ゲーテの言葉で『鳥獣はその器官によって教えられる。人間は器官を訓練し、支配する。』といったものがありますが、手指を用いる試料作製が不可欠な自然科学分野は感覚的には前者に近く、書籍・文献の精読・読解をより多く要する人文社会科学分野は後者に近いのではないかと考えます。

そして、これまでに何度か当ブログにて述べてきました『我々日本人には即物的・此岸的な傾向がある。』という見解を加味してみますと、これまた感覚的ではあるのですが、我々日本人の世界規模での自然科学分野における才能の所以・背景を理解することが出来るのではないかとも思われるのです(それを動物的であると卑下することは可笑しいし、またそれは、我が国のこれまた世界規模での料理の才能にも共通する感覚ではないでしょうか?)。

また、そこからさらに思うことは、今後の我が国の高等教育についてであり、特に(手指をはじめ身体を用いる)医療・介護分野専門学校の全面的な四年制大学化、とりわけ歯科衛生学科に関しては他分野に先駆けてこれを行うことにより、良質なスタッフの育成そして国民全体のQOLの向上にも貢献し、さらには全身に関与するものとしての歯科医療に対する見直しにもつながるのではないかと思われるのですが、さて如何でしょうか?

今回もここまで読んで頂き、どうもありがとうございます。

昨今から現在までに列島各地において発生あるいは現在も継続している地震・大雨・水害・火山噴火などの大規模自然災害により被災された(されている)諸地域の安全の確保そして復興を祈念しています。

~書籍のご案内~
昨年暮に師匠による著作が医歯薬出版より刊行されましたのでご案内いたします。どうぞよろしくお願いいたします。
著書名:『CAD/CAMマテリアル完全ガイドブック
ISBN978-4-263-46420-5