2022年10月24日月曜日

20221023【架空の話】・其の96 【モザイクのピースとなるもの】【実習篇②】

では、はじめにそれぞれの試料作製に用いる二枚の金属板を選び、そちらの器具を用いて両方共に屈曲してください。

ええと、今回の班員は10人ですが、それに対して、双方金属板の屈曲に用いる器具は、二つのみとなっていますので、効率よく交代して、スムーズに実習を進めて行きましょう。では、ここまでの説明で分からない、不明な点などがありましたら、どうぞご遠慮なく仰ってください。

・・うーん、いらっしゃいませんか・・。やはり実際に行動する前ですと、実感も湧きにくいから質問も出ないのかもしれませんね・・。では、とりあえず、さきの器具を用いて速やかに金属板を屈曲してください。屈曲の角度は90°程度にしますと、後の工程が進め易くなると思いますので、それを意識してください。

ああ、それと、銅板はそうでもないかもしれませんが、ステンレスの方は、屈曲後に金属特有の弾性による「戻り」があると思いますので、そうした性質も加味し意識して作業を行うと良いと思います・・。

ええ、双方種類の金属板の鑞付け部位は、先日、こちらで比較的高番手のペーパー・コーン(ハンド・ピースに装着するコーン状に巻いた紙ヤスリ)で少し研削して酸化膜は除去おきましたが、この鑞付けする部位を手指で触れてしまいますと、手の脂が天然のアンチ・フラックスとして作用して、折角、正しい位置に金属板を設置させることが出来たとしても、鑞が流れ難くなってしまいますので、そうしたことも留意して作業を進めてください・・。

あ、屈曲が終わりましたか・・ちょっと拝見します。こちらはステンレスですが、適切に両方共90°の直角に近い様に加工されていますので良いと思います。そして、この屈曲の工程があと何名か終わりましたら、次の工程を実地にて説明させて頂きます。

・・おっ。これで金属板の屈曲を終えたのが4~5名ほどになりましたね・・。では、次の工程を説明します。お手持ちの実習指示書では6頁になりますのでご覧ください。そこに記載の「鑞付け位置の固定」という項目ですが、このイラストにて示されているように、屈曲した2枚の金属板をガラス練板の上で、さきほど云いました通り、概ね0.05~0.2㎜程度、あるいは即物的に表現しますと、髪の毛1、2本程度の間隔をあけて置いて、そして、そこから少しも動かさずに、先ほど皆さんに手に取って頂いたスティッキー・ワックスで、バーナーの炎とインスツルメンツとを用いて、位置決めした2枚の金属板を固定します。

ええと・・・では、もう7~8名ほど屈曲作業を終えたようですので、次の工程の実地説明をさせて頂きます。ええと、こちらの席を少し使用させてください。まず、金属板を2枚、ガラス練板の上で位置決めを、このような感じで行い、そしてインスツルメンツをバーナーで軽く熱してからスティッキー・ワックスに少し触れて溶かし、その溶けたワックスをインスツルメンツ先端につけたままで、素早く、ワックスが硬化しないうちに、さきの位置決めした間隔に流し込み、位置の固定を行います。この時に、たとえばインスツルメンツの先端が金属に触れて、少しでも位置が動いてしまったら、また、ガラス練板での位置決めからやり直しになります。ですので、この作業では、出来るだけ、近くの方々と距離を取って、互いに干渉や邪魔をしない環境を心がけてください。

はい、こうしてスティッキー・ワックスを間隙に流し込み、位置の固定を行った屈曲した2枚の金属板とは別に、次に、こちらの鑞付け用埋没材を練和して、そちらに置いてある紙製の型枠を再びこのガラス練板の上に置いて、泥状の埋没材を型枠内に流し込み、それが硬化する前に、さきのスティッキー・ワックスで固定した2枚の金属板の屈曲部を素早く植立し硬化まで待ちます。

やがて、埋没材が硬化しますと、植立した2枚の金属板は、さきのワックスを用いた位置関係を変えることなく、さらに強固に「鑞付け位置の固定」が出来ることになります。また、ここまでの状態は、奥のテーブルに置いてある見本試料が示していますので、ご覧になったり、あるいは丁寧に扱いつつ、触れてみてください。

バーナーとインスツルメンツとワックスは、皆さんの人数分ありますので、先ずはスティッキー・ワックスを用いた金属板の位置固定を行ってください。もちろん、これまでの説明や実習書の記述からもお分かりの通り、この間隔が狭すぎると、鑞が流れ難くなり、他方で、間隔が広すぎると、たとえ鑞が流れ込んでも間隔を充たすことが出来ずに、鑞付けの目的である金属の接合自体が出来なくなってしまいます・・。

ですので、この工程も大事なものと云えますので、緊張感を持って取り組んでください。それと、また室内でバーナーを使いますので、ご承知とは思いますが、火はくれぐれも注意して取扱い、そしてまた、水分の補給は各自適宜行ってください。では、はじめましょう。

この工程で、何か不明な点などがありましたら、随時お声掛けください。

今回もまた、ここまで読んで頂き、どうもありがとうございます!
順天堂大学保健医療学部


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ISBN978-4-263-46420-5

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