2022年1月31日月曜日

20220131【架空の話】・其の82 【モザイクのピースとなるもの】【東京訪問篇②】

医専大口腔保健工学科でのデジタル歯科全般に精しい実務家教員の選定下準備として、E先生と私が東京方面に出向くこととなり、私はE先生よりも1日早くKを発ち、S教授が以前勤務されていた**歯科大学にてさまざまな実験条件についての実地打合せ等を行った。

その翌日は、9:00にE先生と駅前で待ち合わせて、D先生の医院に訪問の予定となっていた。その近所に実家がある私としては時間的に多少余裕があったものの、同時にE先生が宿泊されていた千葉県のI市からは1時間ほどは要したのではないかと思われる。

E先生の方も、待ち合わせをした駅前にて「学生時代から部活の試合以外で、東京のこっちに来ることはなかったからなあ・・。」と周囲の景色を眺めながら仰っていた。そして、その片手には鹿児島名物「かるかん」で有名な「蒸*屋」の黒い手提げ紙袋をいくつか持たれていた。

そこで、とりあえず駅前のにあった喫茶店*トールに入り一息入れて、そして、本日の段取りについての打合せを行うことにした。本日で何人の先生方にお目に掛かることが出来るか分からないため、E先生は、とりあえず「かるかん」を三袋持ってこられたとのことであった。

打合せ後、私のスマートフォンにてD先生に事前のご連絡のため電話をかけると「ああ、今から来ても大丈夫だよ。」とのことであり、予定時刻より少し早かったが訪問させて頂いた。

久しぶりにお目に掛かったD先生は、多少白髪が多くはなっていた様子はあるものの、学術研究経験がある歯科医師にありがちな、少し慎重な鷹揚さや、その物腰には変わりがなくお元気そうであった。

E先生はD先生に初対面のあいさつをされ、喫茶店からは私が持っていた「かるかん」の一つを受け取り、D先生に差し出しつつ「こちらはK医専大のH・Mの両先生からでして「今回もどうぞよろしくお願いいたします。」とのことでした。」と述べた。それに対してD先生は少し背筋を伸ばしてから「・・ああ、大体の経緯は少し前に医専大の先生方から問合せがあったから、自分なりに調べて、いくつか候補を挙げてみて、こちらから行ける程度には、それぞれハナシをつけてはいますけれど・・。」といった流れになり、直ぐに本題へ入ることになった。

D先生が、デジタル歯科に精しく、また臨床活動も活発な首都圏の開業歯科医師として示された方々およびその医院は、こちらKでは聞いたことがなく、まだ若手とも云える年齢の先生方ばかりであり、その中で一件、口腔保健工学科関係者として大変興味深いと思われたのは、歯科医院としてはかなり規模が大きく、また、セラミックによる補綴装置を焼成するための高性能電気炉やCAD/CAM装置、医療用途の3‐Dプリンター、さらには、小型ながらも走査型電子顕微鏡といった分析機器までもが設置機器項目に記されていた歯科医院であった・・。

やがて、頂いた候補医院の情報を黙って読まれていたE先生も、私が興味を持ったさきの医院と同じ医院の資料を示しながら「D先生、すいません。こちらの医院はどういう感じなのですか、資料を拝読してみますと、既にいくつかの歯科大学、歯学部や口腔保健学科そして歯科衛生専門学校などの臨床研修施設とのことですが・・。」と訊ねられた。

D先生はその質問を予期していたかのよう、少し肩をすぼめてから「う~ん、やはり、その歯科医院に注目しますか・・。たしかに口腔保健工学科からしますと、ここの技工設備はかなり魅力的かもしれませんからね・・。そう、これだけの技工設備があって、且つ、作製された歯科補綴装置の技工作業から試適に至るまでの全臨床過程を見ることが出来る医院はあまりありませんからね・・。それと、こちらの医院で勤務している何人かの歯科衛生士さんは、御茶ノ水~飯田橋界隈にある大学にて社会人大学院生として研究活動を続けているとのことで、さらに歯科技工士も、お茶の水にあるIKSK大学の口腔保健工学科を卒業された方が、何年か続けてここに就職したと聞いていますから、何と云うか、若者らしく最先端の歯科医療技術に触れてみたくて、且つ、さらなる大学での研究の途も選択することが出来るような歯科医院は、やはり、それなりに魅力的であるのだと思います・・。そういえば、かれこれ5年間ウチで勤務して頂いている貴学OGの歯科衛生士であるCさんも、現在はパート・タイムですが、ここの医院の訪問歯科診療部門で働いていますよ。彼女はウチで働きながらN歯科大学でマスター(修士号)を取得されて、しばらく経ってから、ここで開催された摂食嚥下機能のリハビリテーション勉強会に参加して興味を持ったとのことです・・。ともあれ、こちらの院長は、私からの紹介状を持参して行けば、多分会って話しを聞いてもらえるとは思います・・。」とのことであり、そこで我々は、その場でD先生に紹介状の作成を依頼した。紹介状とは云っても、それはD先生の名刺裏の余白部分に「彼らはK医療専門職大学口腔保健工学科の方々です。この度**先生の医院を見学されたいとの要望から当紹介状を認めています。つきましては、ご多忙のところ恐縮ではありますが、ご対応のほど、どうぞよろしくお願いいたします。」と書かれたものであったが、それを持参して、はじめの一件目として訪問させて頂くことにした。

今回もここまで読んで頂き、どうもありがとうございます!

順天堂大学保健医療学部

日本赤十字看護大学 さいたま看護学部 


一般社団法人大学支援機構


~書籍のご案内~
ISBN978-4-263-46420-5

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