2022年5月6日金曜日

20220505【架空の話】・其の94 【モザイクのピースとなるもの】【講義篇①】

ええと、こちらは口腔保健学科と口腔保健工学科の共通教養科目「歯科英語」の講義室で良かったですか?

あッ、口腔保健工学科の方々がそこにいますので、ここで良いですね。いや、良かった良かった。それでは、すぐにPCをセットしますので、ちょっと待っていてくださいね。ええと、プロジェクター機器への接続ケーブルはこれかな・・?あ、これで大丈夫のようですね・・。そして・・あッ、PC画面が映りましたね。では、今回の講義スライドを出しますのでもう少々お待ちください・・。

はい、では、これですぐに講義に入れるようにしましたので、少しだけ自己紹介などをさせてください。口腔保健工学科の皆さんとは歯科理工学実習や講義の時に度々お目に掛かっていて御存知であると思いますが・・ええと、では、口腔保健工学科の皆さんはどうぞ挙手をしてください・・。

・・ああ、やっぱりあの奥の方で固まっていますね・・。どうぞ遠慮しないで前方の席に座ってください・・(笑)。・・しかし、そうしますと、残りの皆さんは口腔保健学科ということになりますが、おそらく50名以上はいらっしゃるのでは・・?私がK医専大に入った頃は口腔保健学科の定員が40名であったと思いますので、その後も増員しているのですね・・。それで、皆さんの学年は何人いらっしゃるのですか?・・えッ65人!それで口腔保健工学科の方は20人で私が在籍していた頃と変わりはありませんので、また大分増えましたねえ・・。そうしますと、この教室に85人の学生さんがいて、そのうちの男子学生さんは口腔保健工学科の10名だけということですか・・。こうした状況は嬉しいのだか肩身が狭いのだかよくわかりませんね・・(笑)。

えッ、私はこの共通教養科目である「歯科英語」は履修しなかったのか?ということですか・・?ええ、私は二年次からの学士編入でしたので一年次の科目は履修していないのです。それで、口腔保健工学科の皆さんはご存じであるかもしれませんが、ここを卒業した後、K大学の院に進み、現在はセラミックス系の歯科材料についての研究をしているのですが、歯科系に進む以前は、人文系分野の院生でした・・。ええ、そちらの方は修了して、修士の学位は取得させて頂いています・・。

そうした背景がありまして、これまで、こちらの科目を担当されていたH先生が、今年度からしばらく**に留学されることになりましたので、その期間の代役として、私が選ばれたわけではあるのですが、実のところ、こうした科目の講義経験ははじめてとなりますので、皆さん、どうぞよろしくお願いします・・。

しかしまた、指導要領はH先生からお聞きしていて、教材や資料一式もお預かりしていますので、まあ出来なくはないとも思いますが・・。

では、本題に入りましょうか・・。ええっと、教科書の方は指定のISYK出版の「歯科衛生士・歯科技工士のための歯科英語」で良かったですよね、これは皆さんもう持っていますね・・。ああ、注文はしているけれどもまだ手許に届いていない方々については、今日は、近くの方に見せてもらうようにしてください。

このテキストには基礎的な歯科臨床用語や、主要な歯科材料の名称などは、一通り網羅されていると思いますので、大学を出たあとの色々な場面でも役立つのではないかと思います・・。また、テストの方は、主にこちらのテキストから出題することになると思います。くわえて、それぞれの章に関連する英語論文なども、事前にH先生から預かっていますので、それらを資料として、さらに深掘りした歯科英語の講義が出来ればと考えています。

そして、その後の時間は「歯科英語」にとらわれない、より一般的な英語を題材として講義をしてみたいと思っています。そこで、その題材となる何か良い著作を御存知でしたら、どなたか教えてください・・。来週まで待ちますが、もしも特にないようでしたら、私が選んだ著作にて進めさせて頂こうと思いますが、いいですか?

・・はいッ。皆さんにとってはそこまで難しいものではないと思いますが、現在、私が教材として検討しているのはジョージ・オーウェルによる「Down and out in Paris and London」(「パリ・ロンドン放浪記」)です。・・いや、たしかに世界的に知られているディストピア小説「1984年」と同著者によるものではあるのですが、こちらの一冊はノンフィクションであって、何といいますか、記述がいちいち具体的なのです。そして、この現象や物事の記述の仕方、いや、それ以前にある視座のようなものは、皆さんが現在学んでいる歯科医療や医療全般とも相通じるものがあるのではないかとも私には思えるのです・・。

・・・と、まあ、こじ付けや牽強付会とも云える意見をここで述べてしまいましたが、そうでなくとも、この一冊は面白いと思いますので、皆さんがよければ、これで進めたいと思います。

もちろん、他に何かご意見があるようでしたら、講義の後でもいいですので、どうぞ仰ってください。

それでは、本日の所定のテキストを用いた講義に入りましょうか・・。

今回もまた、ここまで興味を持って読んで頂き、どうもありがとうございます。

順天堂大学保健医療学部


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ISBN978-4-263-46420-5

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