2022年3月22日火曜日

20220321【架空の話】・其の88 【モザイクのピースとなるもの】【東京訪問篇⑧】

E先生と私は席から立ってCH院長を待っていると、すぐにドアが開いて、白衣を着た人物が二人入ってきた。一人目の人物がおそらく院長であると思われるが、その身長はあまり高くはなく、おそらく170㎝ほどであり、また体格については身長に比べ肩幅が広く、頭髪は若干額が後退気味ではあったものの、白髪は少なく、おそらく年齢は40代後半であるように思われた。そして、その人物が我々に「ええと、D先生からのご紹介の先生方ですよね。」と、ハリのある元気な声で訊ねてこられた。そこでE先生は「はい、こちらがD先生からの紹介状となります。」と返答されて、背広の内ポケットから、さきに預かった名刺を取り出し、D先生が記した面を上にしてCH院長に手渡した。

それを受け取ると院長は両面をきちんと確認してから、あらためて「・・了解しました。それで、こちらがK医療専門職大学のE先生で、そして、もう一方がK大大学院の**さんですね。」と訊ねられた。E先生と私はほぼ同時にハモりつつ「はい、そうです。」と返答し、続いてE先生が「本日はご多忙のところお時間を設けて頂き、どうもありがとうございます。それで、こちらはつまらないものではありますが、先生をはじめ医院の皆さまで召し上がってください。」と云い、私はそれを察して「かるかん」が入った蒸*屋の紙袋を二つとも静かに差し出すと、E先生は阿吽の呼吸のように、二つとも受け取り、そしてCH院長に渡しつつ「こちらはK名物の「かるかん」というお菓子です。二つありますので、よろしければ皆さまで召し上がって頂ければと思います。」と述べられた。すると院長は、受け取られた二つの紙袋を、丁寧に受け取ってから、もう一人の白衣の人物に渡しつつ「おお!「かるかん」は私もよく知っていますよ。Kの美味しいお菓子と云えば、これは外せませんからね。どうもありがとう!それと、この人はKの北隣の熊本県の出身でね、と白衣の人物の肩を片手で叩いて云った。すると、この「かるかん」の袋を受け取った人物は、我々にお辞儀をしてから「私はTOと申しまして、今年から、こちらの医院にて臨床研修医として勤務しています。本日は九州の大学からお客様がお見えになるということでCH院長から呼ばれました。院長は診療や所用にて中座されることもあるかもしれませんので、その際には、どうぞ私にお問合せ頂ければと思います。」とのことであった。するとE先生は早速「ははあ、TO先生ですか、どうぞよろしくお願いします。それでTO先生は熊本のどちらの御出身ですか?」と訊ねると「はい、市内のK大学K髪キャンパスの近くになります。」との返事であった。するとE先生は「・・ああ、あのあたりですが、じゃあ都会っ子ですね。それで、何故、こちらで臨床研修医をされているのですが?」と続いて訊ねると「ええ、大学が飯田橋のN歯科大学でして、実家の熊本でも大学病院以外のすぐれた臨床研修施設があったのですが、このまま実家の方に戻って臨床研修医になってしまうのは、どうも面白くないように思いまして、また、歯科医療においても訪問診療がこれからさらに重要になってくると思い、一般の外来診療と共に訪問診療にも注力している臨床研修施設をさがしましたところ、こちらの医院のことを知り、そうした経緯があって現在、臨床研修医として勤務しております。」とのことであった。

CH先生は、そこから「ええ、当医院では、かねてより訪問歯科診療にも力を入れていまして、まあ、これは私の専門でもある歯科補綴学分野とも直接つながるところですから・・。それに当院では今年度から私の指導教員であったKA先生に顧問として勤務して頂いていますので、**歯科医学会界隈での先生方には最近、本当に少しだけ知名度が上がったようにも感じられますね・・。」とハナシを繋がれたが、こうしたある意味、一介の民間医療機関に、さまざまな方々が引き寄せられている現象の背景にあるものの方に私は興味を抱いたが、E先生の方はCH院長やTO先生に「ああ、こちらのお隣のデスクにKA先生が居られるのですね。」といった雑談をされていた。

また、その雑談からこちらの医院には、さまざなな地方出身の若手歯科医師、歯科衛生士(Cさんの様に)そして歯科技工士が勤務されているとのことであり、とりあえずは医院内全般の見学をということになり、我々は持参の荷物を置き、ノートと筆記用具とスマートフォンだけを持ち、CH先生を先頭にして14:33に院長室を後にした。

今回もまた、ここまで興味を持って読んで頂き、どうもありがとうございます。
順天堂大学保健医療学部


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ISBN978-4-263-46420-5

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