2023年9月26日火曜日

20230925 歯科衛生士の養成課程について思ったこと(試作文章)

現状での歯科衛生士の養成は、いまだその大半が3年制の専門学校および短期大学にて行われています。そして、その背景には「同じ歯科衛生士の国家試験受験資格を得るためであれば、修業年限がより短く、学費も抑えられる専門学校や短期大学の方が良いのではないか」といった考えも少なからずあるように思われます。

たしかに、この考えは経済合理性の観点から、現時点では妥当であると云えます。しかし同時に2001年まで遡りますと、歯科衛生士の修業年限は2年でした。そこから3年制への修業年限の延長、そして、その後の4年制大学化に至った背景には、主として歯科医療全般の高度化による、歯科衛生士として必要とされる教育内容の増加がありました。

この傾向は医療分野においてはさらに顕著であり、近年の医療現場においては、ごく普通に四年制大学卒の看護師や、その他の医療専門職の方々がいらっしゃり、現在も、そうした方々が増えつつあります。そして、その背景にある要因もまた、さきの歯科衛生士をめぐる状況と同様、必要とされる教育内容の増加があります。

また、別の視点からこの傾向(医療専門職の修業年限の延長、高学歴化)を観察しますと、今なお続いている経済的低迷のなかで、高等教育を受けるにしても、将来の職業に結び付きやすい国家資格の取得を目指した医療系大学に進むことが堅実であると判断されるご家庭が増えたからであるとも考えられます。

くわえて、この先の社会では、さらなる高齢者人口の増加が進むことから介護職はもとより、医療専門職の不足も懸念されています。そのため、さきほどの高齢者人口の増加とともに少子化も進んでいるなかであっても、歯科衛生士を含む医療専門職全般の養成課程の新設が続いているのだと推察されます。 こうした事情もあってか、以前と比較しますと、多少は関心を持って頂けるようになったと思われる歯科衛生士ではありますが、そうしますと今度は「歯科衛生士にはどのようにしてなるのか?」あるいは「歯科衛生士はどこで、どのように働いているのか?」といった、より具体的な疑問も自然に出てくるものと思われます。

専門学校や短期大学、大学を卒業して無事に歯科衛生士免許をしてからの勤務先は、大別しますと、比較的規模の大きい病院などの医療機関、企業や公的機関などでの関連部門、小規模な歯科医療機関の三種に分類出来ます。そして、それぞれで勤務する歯科衛生士の割合は、最も多くの歯科衛生士さんが勤務しているのは最後に挙げた 小規模な歯科医療機関です。 何故ならば、我が国の歯科衛生士さんが勤務する歯科医療機関の大半は、従業員数が10人以下の小規模な、個人による歯科医院であるからです。さて、この小規模な歯科医院は、一般的な事務職での大企業と比較しますと、やはり安定感は異なると云えます。

しかし、歯科医療を含む医療機関などは一般的な企業とは異なる価値観があり、それは、たとえ一零細企業とも云える医療機関であっても診療内容が、大学や学会などのアカデミアでの研究を基準として高水準であるならば、優れたものとされること、つまりは組織の規模よりも、その診療内容の方が重視されることであると云えます。

そして、そうした医院の診療内容の水準をはかる一つの簡単な方法として、勤務している歯科医師や歯科衛生士さんが、その専門性を示す指導医や専門医や認定医、認定歯科衛生士などの資格を確認することがあります。こうした資格は、ただ診療を続けていても取得できるものではなく、大学や学会などに所属して、ある程度の期間研究を続けて、論文執筆や学会発表などをして、さらに試験を受けて、はじめて取得出来るものですので、少なくとも、その歯科医師、歯科衛生士さんの勤勉さと臨床知識については問題なく、そこから臨床技術も同様であろうと推測されるわけです。

そして、こうした 一市井の機関でありながら、大学や学会などに属してアカデミックな活動を行うことは、おそらく、一般的な企業さまではまだ稀であると思われることから、これが、歯科医療を含む医療機関全般の持つ一つの大きな特徴であり、異なった価値観であると思われます。

そしてまた、この医療機関と大学や学会との連携が出来る体制から、大学などでの最新の研究からの知見が、市井の医療機関に速やかに伝達出来るのだとも云えます。そうした価値観に基づいて考えてみますと、歯科医院をはじめとする様々な医療機関の診療内容などについての評価は、やはり、ある程度余裕を持って勉強が出来た、また、異なった分野も学ぶ機会があった四年制大学での養成課程を卒業して、さらには修士課程も修了した方が、より精確に理解出来るのではないかと思われます。

その意味においても、我が国の歯科衛生士養成課程は今後、最終的には全面的に四年制大学化した方が、高齢化が進む我が国の社会状況、さらに先進諸国もそれに続くとされる世界情勢を鑑みて、より多くの人々に、高水準の歯科医療を提供できるようになるのではないかと思われるのです・・。

*今回もまた、ここまで読んで頂き、どうもありがとうございます!

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