2017年7月30日日曜日

20170730 7月で最も多く読まれた記事から思ったこと【書籍からの抜粋引用あり】谷川健一著「魔の系譜」より

7月も終わりに近づき、おそらく今月中に書かれた記事の閲覧者数も大きく変動することはないと思われることから、今月内で最も多く読まれた記事を取り上げます。

それは7月13日投稿分の「結社の地域性 自由民権運動および玄洋社から思ったこと」でありその閲覧者数(95)は次点の7月3日投稿分の「昨今の都議選から思ったこと・・『抑圧移譲』」閲覧者数(62)の1.5倍程度を示していました。

しかし、相変わらずのことながら、この7月13日投稿記事の閲覧者数が際立って伸びた理由とはよく分かっておりません・・(苦笑)。

また、この記事を投稿したことによって特に変な出来事が生じることもないことから、まあ、そこまできわどい、キケンな考えは書かれていないのではないかと思われます・・。

くわえて、その書かれている内容とは、思ったところを率直に述べつつも、かつてお世話になった九州に対して礼を失するといったものではないとも思われますので、あるいは、こうしたことが多くの閲覧者数に結び付いた要因であったのかもしれません・・(ちなみに昨日の投稿記事『地域特性≒在地土着女性の性質・・?【巫女】』もまた投稿翌日にしては比較的多くの方々(27)に読んで頂けました。)

何れにしましても、これらを興味を持って読んで頂いた皆さま、どうもありがとうございます。

さて、ここまで書いていて、不図思い起こされた書籍の記述がありましたので、以下に抜粋引用します。

講談社刊 谷川健一著 『魔の系譜』pp.185-186より抜粋引用ISBN-10: 4061586610
ISBN-13: 978-4061586611

『わたしがここでいいたいことは、ただ一つである。
それは地方には地方を主体とした信仰と伝承の歴史とがあって、それは郷土史家や郷党のせまい視野や独善をはなれてみるとき、いわば地霊の叫びとして私たちに訴えてくるということである。
それは今にはじまったものではない。たとえば九州には磐井の反乱があった。
磐井という大豪族は蝦夷がそうであったように、九州中北部の民衆の代表者であったのだろう。
もとより支配者としての性格はもっていたが、それにとどまらなかった。
原田大六氏が述べているように、官軍が磐井の墓にある石人石馬をさんざんうちこわしたそのたたりとして、「古老伝えていう『上妻(かみつやめ)(上八女)の県に多く篤き疾(やまい)あるは、けだしこれによるか』」という『筑後国風土記』の文章は、この「篤き疾」を「深い恨み」「深い悲しみ」という意味をこめて考える必要があるのであったろう。
「地元側の報告を集めた風土記も所詮官選の記録であるから、逆賊あつかいにしてきた磐井の真実を語ることも載せることもできなかったろう。
しかし民間では真実の悲劇英雄物語が語りつがれていったのであろう。
八女郡地方の住民に岩戸山古墳を媒介として語りつがれた真実は、磐井への同情ではあっても、逆賊としてではなかったろう。」(原田大六『磐井の反乱』)
沖縄の八重山のオヤケ赤蜂は、首里王朝の遠征軍のためにやぶれ殺された。
その碑はいま石垣島の公園に立っている。その碑文を書いたのは同島の喜舎場永珣氏であるが、それによると、オヤケ赤蜂は自由のためにたたかった民権の士となっている。
私はそこに辺境に住む人びとのいつわらぬ心情をみる気がした。
歴史が中央と頂点の権力によって偽造されていくことを否定する地霊の叫びを聞いた気がしたのである。』

私見ではありますが、こうした記述の意味をより深くから理解するためには、おそらくその地にしばらくの間(数年以上)住んでみる必要があるのではないかと考えます・・。

くわえて、抜粋引用部の『地霊の叫び』を理解していく過程とは、各々微妙に異なるのでしょうが、いずれにしても、数日間の旅行程度では到底理解することが出来るようなものではないと思われるのです・・。

しかしその一方で、我々の生とは有限であり、且つ何所かに定住し生きて行かねばなりませんので『畢竟、そうしたものは一種の道楽のようなものである』と断じることから、中央・地方間の相互理解・意思疎通が上手く行かないのではないかと思われます(これはなかなか奥が深い問題ではないかと思われます・・。)。

さらには、こうした事情とは国内に限らず国際関係においても同様ではあるまいかとも思われますが・・。

また、そうした不可避とも云える事情を視野に置き、思うことは、これまでに何度かブログ記事に書いていることでもありますが、日本近代史上最大の悲劇英雄である西郷隆盛をテレビドラマ化することは、さきの抜粋引用部末尾に書かれていた『歴史が中央と頂点の権力によって偽造されていく』ではあるまいかと危惧されることです・・。

ともあれ、今回もここまで興味を持って読んで頂き、どうもありがとうございます。


昨年より現在に至るまでに発生した一連の地震・大雨・水害など大規模自然災害により被災された地域の諸インフラの出来るだけ早い復旧そして、その後の速やかな復興を祈念しています。









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