~勉強会の御案内~
tsurukiclinic2001@gmail.com
pp.392-393より抜粋
ISBN-10 : 4006003919長州藩過激派は江戸において尊王攘夷運動を加速すべく、11月13日、横浜近郊の金沢において外人襲撃計画を企てた。薩藩は生麦にて攘夷の実を挙げた、ととらえていたからである。しかしながら警備が厳重のため実行は断念された。この時は、後述の別勅使(大原勅使と区別するための表現)で長州過激派を熟知している三条実美・姉小路公知両名が滞府しており、右の挙を阻止するため、勅命伝達直前に「横浜斬夷等の挙」ありては、一時に事の敗れと相成る故、「折角の大志暫時猶予」すべしとの書状を急派している。宛先は「久坂殿始」である。また世子毛利定広も行動阻止のため馬で途中まで出向く事態になった。
この際のメンバーは、久坂・高杉・井上馨・品川弥二郎・大和弥八郎・長嶺内蔵太・寺島忠三郎・有吉熊次郎・白井小助・赤根武人・山尾庸三の11名である。
この挙の直後、彼らは「百折不撓、夷狄を掃除し、上は叡慮を貫き、下は君意を徹する外他念無之、国家の御楯となるべき覚悟肝要たり」と誓い、御楯組を結成、その後山田顕義・吉田稔麿・野村靖らも加わり、総計25名となった。
御楯組の面々は、将軍家茂が奉勅攘夷を誓い、両勅使が12月7日江戸を出立した後の12月12日、品川御殿山の英国公使館を焼打ちし、その上で政局の中心地となる京都に上るのである。
去る4月末から断続的にではあれ、現在に至るまで書き続けている【架空の話】もおかげさまで49話まで書き進めることが出来ました。しかしながら、そのモデルとなっている自身の経験全てから考えてみますと、これまでの文量は、その全体の10%にも至っておりません。それ故、今後、当【架空の話】を書き進めるに当たり、その書き進め方については、今しばらく検討する必要があるのではないかと考えています。
具体的には、物語の進行の速度であり、これまで夏頃から物語が始まり、そして現在翌年の1月末頃を描いていることから、期間的には半年程度を49回に分け、さらにその焦点を当てている時期は編入試験とWへの旅行およびその後の時期であり、出来れば、今後2話程後にはKでの新生活が始まるようにしたいと考えてますが、こういったものを書いていて面白いと感じることは、書いているうちに、その物語の筋を即興にて変えることがあるのですが、その筋にて書いていると、再度興に乗り、ある時期・場所の描写を念入りに書いてしまうことであり、これが続くと当初の漠然としたものであれ、予定と噛み合うことが困難になり、本格的に「脱線」していくことになります。たしかにそれはそれで、その時書いていて面白いとは感じているのですが、他方でやはり、さきに述べた「全体の筋・予定」も同様に重要であると思われることから、今回このような文章を作成して、自身としても状況の整理を促し、また今後の物語進行の方向性を大まかなものであれ、読んで頂いている皆様に対し提示することにより、その路線にて書き進める必要性が生じると思われますので、これはこれで意味があると自身としては考える次第です。
また、これまでの経緯からしますと、蛇足気味にはなりますが、当【架空の話】をしばらく継続して作成し、その他については書籍からの抜粋引用文を記事としていますと、他のこれまでに作成してきたような記事を書く”コツ”のようなものを忘れてしまったような感覚を覚えるのです。そして、そうした状態にて作成することが出来る、自身オリジナルの記事とは、こうした【架空の話】にまつわるものであり、自身としても多少驚くところです。
とはいえ、それ以外にて記事作成が出来ないというわけではなく、おそらく自身内部の異なる記憶の相には、これまである程度の期間、継続的に作成してきた雑文記事のような文章を作成するための「記憶の相」が存在するはずであると思われ、また感じられることから、もし、それを強く望むのであれば、しばらく時間を必要とするとは思われますが、再度、そうした雑文系の記事を書き続けることは出来るのではないかと思われます・・。あるいは、そうしたところは、もっと疑問視すべきところであるのかもしれませんが・・。
ともあれ、現在の私はそうした状況であり、そして次回からは【架空の話】の先を作成して行こうと考えています。
株式会社講談社刊 村上春樹著「羊をめぐる冒険」上巻pp.19-22より抜粋
ISBN-10 : 40627491221970年11月25日のあの奇妙な午後を、僕は今でもはっきりと覚えている。強い雨に叩き落された銀杏の葉が、雑木林にはさまれた小径を干上がった川のように黄色く染めていた。僕と彼女はポケットに両手をつっこんだまま、そんな道をぐるぐると歩きまわった。落ち葉を踏む二人のの靴音と鋭い鳥の声の他に何もなかった。
「あなたはいったい何を抱え込んでいるの?」と彼女が突然僕に訊ねた。
「たいしたことじゃないよ」と僕は言った。
彼女は少し先に進んでから道ばたに腰を下し、煙草をふかした。僕もその隣りに並んで腰を下した。
「いつも嫌な夢を見るの?」
「よく嫌な夢を見るよ。大抵は自動販売機の釣り銭が出てこない夢だけどね」
彼女は笑って僕の膝に手のひらを置き、それからひっこめた。
「きっとあまりしゃべりたくないのね?」
「きっとうまくしゃべれないことなんだ」
彼女は半分吸った煙草を地面に捨てて、丁寧に踏み消した。「本当にしゃべりたいことは、うまくしゃべれないものなのね。そう思わない。」
「わからないな」と僕は言った。
ばたばたという音を立てて地面から二羽の鳥がとびたち、雲ひとつない空に吸い込まれるように消えていった。我々はしばらく鳥の消えたあたりを黙って眺めていた。それから彼女は枯れた小枝で地面にわけのわからない図形を幾つか描いた。
「あなたと一緒に寝ていると、時々とても悲しくなっちゃうの」
「済まないと思うよ」と僕は言った。
「あなたのせいじゃないわ。それにあなたが私を抱いている時に別の女の子のことを考えているせいでもないのよ。そんなのはどうでもいいの。私が」彼女はそこで突然口を閉ざしてゆっくりと地面に三本平行線を引いた。「わかんないわ」
「べつに心を閉ざしているつもりはないんだ」と僕は少し間をおいて言った。「何が起こったのか自分でもまだうまくつかめないだけなんだよ。僕はいろんなことをできるだけ公平につかみたいと思っている。必要以上に誇張したり、必要以上に現実的になったりしたくない。でもそれには時間がかかるんだ」
「どれくらいの時間?」
僕は首を振った。「わからないよ。一年で済むかもしれないし、十年かかるかもしれない」
彼女は小枝を地面に捨て、立ち上がってコートについた枯草を払った。「ねえ、十年って永遠みたいだと思わない?」
「そうだね」と僕は言った。
我々は林を抜けてICUのキャンパスまで歩き、いつものようにラウンジで座ってホットドッグをかじった。午後の二時で、ラウンジのテレビには三島由紀夫の姿が何度も何度も繰り返し映し出されていた。ヴォリュームが故障したせいで、音声は殆ど聞きとれなかったが、どちらにしてもそれは我々にとってはどうでもいいことだった。我々はホットドッグを食べてしまうと、もう一杯ずつコーヒーを飲んだ。一人の学生が椅子に乗ってヴォリュームのつまみをしばらくいじっていたが、あきらめて椅子から下りるとどこかに消えた。
「君が欲しいな」と僕は言った。
「いいわよ」と彼女は言って微笑んだ。
我々はコートのポケットに手を突っ込んだままアパートまでゆっくり歩いた。