2025年6月4日水曜日

20250604 最近の「揺さぶられる経験」について、読書と対話から

 ここ最近は数日間隔にてブログ更新をしており、来たる6月22日の当ブログ開始から丸10年を迎えるまでに、総投稿数2350に到達出来れば良いと考えています。そして、その後もあまりペースは変えず、更新を続け、2400記事まで到達して、そこで一旦、本格的にブログやSNSから離れたいと考えています。
 とはいえ、近年は当ブログ以外にも、いくつかの公開される文章の作成も継続していることから、文章の作成からは、全く離れるわけではありませんし、また、インプットである読書の方は、身の入れ方に濃淡はあれど、継続すると思われます。
 読書と云えば、直近投稿記事にて述べた宮台真司先生による『制服少女たちの選択 After30Years』は、第3章に至り、300頁を過ぎましたが、日頃より動画などで宮台先生の言説に触れ、慣れているはずの私であっても、少なからず揺さぶられるものがあり、そして、この「揺さぶられる」体験とは、同著作内にある「不可逆的な感覚の変化」に相当するのではないかと思われました。
 また、当著作を読み進めていて想起されたのが、アルベール・カミュによる「転落」という作品です…。ともあれ、そうしたことが当著作を私にとって興味深いものにしているのですが、他方、当著作の第一部にて多くの頁が割かれている「援助交際」について、これらの取材がされた地域には、かつて私が在住した和歌山市や鹿児島市は入っていなかったのではないかと漠然とながら思われました。
 つまり、あくまでも感覚的ではありますが、同著、第一部にて述べられていることは、東京や首都圏近郊の都市であれば、(残念ながら)割とスンナリと納得させられるのですが、和歌山市や鹿児島市に当て嵌めてみますと、どうも「いや、あそこでは、そうはならないのでは…?」と思われるのです…。
 このことは、つい先日、訪問させて頂き、お話を伺った和歌山大学経済学部の先生も同意されていましたので、あるいは、そうした地域社会の相違を踏まえた、社会の変遷の様子なども大変興味深いと思われました。
 さて、上記のとおり、先日また、国内外の情勢や我が国の高等教育にまつわる事情についてお話を伺うため、和歌山を訪問しましたが、その際も、同著を電車、飛行機、電車、ホテルにて読み進め、睡眠不足のままで、先生の研究室を訪問させて頂くことになりました…。そしてまた、そこでのお話も、さきと同様「揺さぶられる」ものがあり、とりわけ我が国の高等教育の今後については、かねてよりではありますが、さらに暗澹たるものが感じられました…。
 我が国は今後5~10年での舵取りにより、その後の浮沈や興廃が決まるという言説は、ここ最近、複数分野にて見聞きしましたが、それは、当然ながら、高等教育においても同様であり、しかしながら、その対策とは、医系・理系分野の強い大規模な大学に集中的に研究資金を投入して世界に通じる革新的な技術の研究開発をはかるといった性質が強いものであり、そして、そうした状況とは、たしかに人文社会科学系にとっては苦々しいものであるのでしょうが、他方において、現実の状況とは、今後5年程度で多くの大学が閉学となり、また生き残った余力のある私立大学はおそらく、近隣の医療介護系専門学校の吸収合併をするようになると考えます。首都圏や都市圏では、また様相が異なるかもしれませんが、それ以外の多く地域では、伝統ある私学の高等教育機関の学部構成の多くが既に、そのようになっていると見受けられますので、そうした学部構成こそが、地域において受容され得る、私学高等教育の様相であるように思われます…。
 一方、国公立大学においても、今後さらに統合化が進行し、たとえば、事務部門や実験機器などの技術部門などは複数学部・大学での共有や統合化の方向へさらに進んでいくと思われます。他方、先述した医系・理系の強い大学に対しては相対的に多くの研究資金が投入されることが予想されるため、今後、国公立大学間での格差はさらに拡大すると考えられます。
 しかし、話題が高等教育になりますと、私はどうしても「医療介護系人材を養成する新たな専門職大学の新設を!」と考えます。
 このことは、先日訪問の和歌山においても申し述べた次第です。AIや各種デジタル技術を教育内容に盛り込み、実践的な英語教育を行い、学生各々が得意な文系科目を選択科目として履修する、中小規模の専門職大学を、既存の私立・国公立を問わない大学、および企業や医療機関などが出資をして、そこに医療系のシンク・タンクとなどが旗振り役となり新設することは、現在からすれば、一見、時代に逆行しているようにも見えるのでしょうが、それは生え変わりやターン・オーバーのようなものであり、閉学が続くさなかに、新たに統合された大学や、さきに述べたような新たな種類の大学(専門職大学)の新設がされることは、むしろ自然な現象であると考えます。
 いや、これまで、そうした変化を高等教育全体が拒み続けてきたために、現在のような大学間格差の拡大が既定路線といった状況になってしまっているのではないでしょうか?

 ともあれ、先日の和歌山訪問においても、我が国が好ましくない状況であることを痛感し、また読み進めている『制服少女たちの選択 After30Years』の記述からもショックを受けて多少落ち込み気味ではありますが、それでもまだ頁は続き、そして読んでみたいとは思いますので読み進めます。


*加筆修正後
 ここ最近は数日の間隔でブログを更新しており、来る6月22日のブログ開設10周年までに、投稿数を2350本に到達させたいと考えています。その後も、これまでと大きくペースを変えることなく2400本まで更新を続けたうえで、一区切りとして、本格的にブログやSNSから離れてみようと検討しています。

 もっとも、ここ数年は当ブログ以外にも、継続的に、いくつかの公表される文章を作成していますので、まったく書かないわけではありませんし、また、インプットとしての読書も、熱の入り方に濃淡があるにせよ、今後もおそらく継続していくものと思われます。

 読書といえば、直近の投稿記事でも触れましたように、現在は宮台真司先生の『制服少女たちの選択 After30Years』を読み進めており、第3章に入り、すでに300ページを越えたところです。ふだんから宮台先生の動画を視聴し、その発言内容の真率さ(過激さ)には、ある程度馴染んでいるはずの私であっても、本書の内容には少なからず心を揺さぶられるものがありました。その「揺さぶり」の体験は、作中でにある「不可逆的な感覚の変化」にも通じると思われます。

 くわえて、当著作を読み進めるうちに、ふとアルベール・カミュの『転落』を思い出しました。こうした連想も含めて、当著作が私にとって印象深い一冊となっているのですが、一方で、第1部で大きく取り上げられている「援助交際」について記述された地域のなかに、かつて私が暮らしていた和歌山市や鹿児島市は含まれていなかったのではないか、という印象も持ちました。感覚的な話ではありますが、本書の描写は首都圏や大都市圏では理解できる一方で、それを和歌山や鹿児島に当てはめてみると、どうも違和感が残ります。

 この感覚については、先日お目に掛かった和歌山大学経済学部の先生も共感してくださり、地域ごとの文化や社会構造の違いを踏まえたうえでの社会変容の見方の重要性を、改めて実感しました。

 ちなみに今回の和歌山訪問の際も、電車、飛行機、ホテルで当著作を読み進めていたのですが、そのため、寝不足の状態で先生の研究室を訪ねることとなってしまいました。それでも、当日うかがったお話には、まさに同著と同様「揺さぶられる」ものがあり、特に我が国の高等教育の未来については、かねてより感じていたものが、さらに暗澹たる思いとなりました。

 「我が国は、今後5~10年の舵取りにより、浮沈・興廃が決まる」—そうした趣旨の言説を最近各分野でよく耳にしますが、それは高等教育においても例外ではありません。現在進められている大学改革は、医系・理系分野に強みを持つ大規模大学へと研究資金を集中的に投入し、国際競争力のある技術開発を志向する傾向が顕著です。人文社会科学系にとっては厳しい状況と云えますが、それが現実であることもまた否めません。

 私見では、おそらく今後5年程度で、相当数の私立大学が閉鎖を余儀なくされ、また、体力のある私学は、地域の医療・介護系専門学校を吸収する方向に進んでいくと考えられます。特に首都圏・大都市圏以外の地域においては、すでにそのような学部構成となっている大学も多く、これは地域社会が高等教育機関に求める機能を反映した結果でもあるのでしょう。

 国公立大学においても、今後さらなる統合が進むものと思われます。事務部門や研究支援部門の共通化が進められ、大学間格差は医系・理系の研究資金格差を背景にさらに拡大していく可能性が高いと考えます。

 こうした議論になると、私としてはどうしても「医療・介護系人材を育成する新たな専門職大学の創設を」と申し上げたくなります。実践的な英語教育やAI・デジタル技術を取り入れ、学生が得意な文系科目を選択科目として履修できるような中小規模の専門職大学を、既存の大学や医療機関、企業などの連携によって新設する。こうした構想は一見、時代に逆行しているように見えるかもしれませんが、実際には制度の“新陳代謝”であり、閉学の進む中でこそ、こうした新たな大学形態が必要とされるのではないかと感じています。

 むしろ、こうした流れを拒んできたことこそが、現在の大学間格差の拡大や制度疲労をもたらした要因であるようにも思われます。

 ともあれ、今回の和歌山訪問においても、我が国の高等教育と社会全体が抱える問題の深刻さを改めて認識することとなりました。そして、『制服少女たちの選択 After30Years』を通じてもまた、多くの衝撃を受け、少し気分が沈んでしまったのも事実ですが、それでも、まだページが残されておりそして、読み進めたいという思いはあることから、やはり最後まで読むべきであろうと思われます。

そして、今回も、ここまで読んで頂きどうもありがとうございます!

一般社団法人大学支援機構

~書籍のご案内~
ISBN978-4-263-46420-5

*鶴木クリニックでのオペ見学につきましても承ります。

連絡先につきましては以下の通りとなっています。

メールアドレス: clinic@tsuruki.org

電話番号:047-334-0030 

どうぞよろしくお願い申し上げます。



0 件のコメント:

コメントを投稿