『この民俗文化を一つの複合として再構成することは現段階において難しい。
とはいえ、弥生時代初期に、東北中国、朝鮮半島よりツングース系の種族がその民俗文化を携えて列島に渡来してきたのではないかと考えられる。
いわゆる弥生式文化のなかの北方的要素である櫛目文土器、穀物の穂摘み用の半円形石器などは、この民俗文化に伴われ伝来したものと考えられる。
また粟、黍といった穀類の焼畑農耕と並行して狩猟、飼畜も行っていたものと考えられる。
こうした農業技術的な基盤を有していたことから、この種族は朝鮮半島南部や日本列島西部において水稲耕作を基軸とした社会文化を急速に受容していったものと思われる。
くわえて、北方アルタイ語系の言語を最初に日本列島に齎したのはこの種族であったものと考えられる。
具体例として古くから日本語に、人間集団を意味するウカラ、ヤカラ・ハラカラというコトバの語要素となっているカラ~ハラというコトバがあるが、このコトバの語源にあたるものが東北中国、北東アジアに広く分布するツングース諸族の外婚的父系同族集団を意味するハラ(Xala)というコトバではないかと考える。
また、南朝鮮古代の韓(カラ)というコトバは種族名を示すものではあるが、本来はさきのカラ~ハラと同意であったものと考える。
ともあれ、このツングース系種族のカラ~ハラ集団(外婚的父系同族集団)とは系譜的出自意識が強く、本家から枝分かれして分家を作り、また、それが定住農耕に携わると大家族的傾向を著しくする。
我が国におけるハラというコトバや、父系的系譜意識の強い本家・分家結合の強い同族、親族集団とは、類型的にさきのツングース諸族のハラと類似し、またおそらく、そこに起源があるのではないかと考える。
この文化の特徴とは
*父系系譜意識的な社会
*宗教的には神が天上より山頂、樹頂などに降臨するといった神出現の垂直的表象の傾向
*北アジア的シャーマニズム
などが挙げられる。
また、この民俗文化大系の中におそらく大陸にその起源を持つとされる我が国の弥生時代において用いられた青銅製祭器(銅鏡、銅鐸、銅剣、銅矛、銅戈など)が含まれるのではないかと考える。
そして、その青銅製祭器種類において列島西部内にて嗜好の地域差、地域性が看取される大きな要因とは、さきの記事に書いた地域における先行在来民俗文化と、この『「ハラ」氏族的ー狩猟・飼畜民文化』の結合の過程、仕方にあるのではないかと考える。
くわえて、この民俗文化のなかに狩猟にて得た動物ではない家畜、特に牛を犠牲獣として用いる祭祀が含まれていたのではないかと考える。
今回もここまで読んで頂きどうもありがとうございます。
昨年から現在に至るまで日本列島各地において発生した一連の地震・大雨・水害等の大規模自然災害によって被害を被った諸インフラの復旧・回復そしてその後の復興を祈念しています。
新たに噴火をはじめた新燃岳周辺の方々の御無事も祈念しています。』
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