2025年1月6日月曜日

20250106 4年制大学で目指す歯科衛生士

 歯科衛生士は、歯科臨床の現場で患者さんのお口の健康を守る重要な専門職です。この職種に就くためには、高等学校卒業して、歯科衛生士養成機関で必要な科目や実習を履修・修了し、毎年2月に実施される歯科衛生士国家試験に合格する必要があります。その後、歯科衛生士名簿に登録することで正式に資格が取得されます。また、歯科衛生士になるための進学先としては、3年制の専門学校や短期大学、そして4年制大学があります。そして、それぞれの養成機関には特色があり、自分の希望する将来像に合わせた選択が可能です。

専門学校・短期大学の特徴
 専門学校や短期大学は、修学期間が3年間と比較的短いため、速やかに資格を取得して歯科臨床の現場で活躍したい人に適していると云えます。これら養成機関では、実践的な技能や知識の習得に重点が置かれ、即戦力としての歯科衛生士を育成することを主な目的としています。学費は養成機関によって異なりますが、3年間での総額は約300万~400万円程度が目安と云えます。また、多くの養成機関では、奨学金制度や学費減免制度を利用することも可能であり、経済的負担を軽減する選択肢も用意されています。

4年制大学の特徴
 一方、4年制大学では、総じて、より専門的かつ幅広い学びの機会が提供されます。4年制の「歯科衛生士学科」や「口腔保健学科」などの学科では、歯科医療のみならず、福祉、公衆衛生、予防歯科などの関連分野の知識を深めることが可能です。そして、研究活動や大学院進学といった、さらなる学問的探求への選択肢も広がり、歯科医療以外の分野に進むことも視野に入ってきます。学費はさきと同様、養成機関によって異なりますが、4年間での総額は私立大学の場合、約500万~600万円程度と専門学校より総じて高額と云えます。しかしながら、4年間で得られる知識や経験は非常に価値が高く、そのため、4年制大学の養成機関を卒業した歯科衛生士は、より高度な専門知識を活用して、歯科医療分野のみならず、公衆衛生や教育、研究、行政などといった多様な分野に進むことも充分に可能と云えます。

歯科衛生士養成課程を擁する4年制大学
 以下に、日本国内の主要な4年制大学を紹介します。また、それぞれの大学の特色や魅力、そして学費などの情報や学科URLも記載しました。

新潟大学(新潟県)
「歯学部 口腔生命福祉学科」は、歯科衛生士と社会福祉士の双方資格を取得可能な全国初の学科として設置されました。この学科では、口腔保健医療と福祉とを総合的に学び、地域社会に貢献できる専門職業人の育成を目指しています。また、4年間の教育課程では、1年次に教養科目を履修し、歯科医療の基礎知識を習得し、2年次以降は専門科目に進み、口腔保健や福祉について学びつつ、臨床実習や学外実習を通じて実践力を磨きます。そして最終年には、医療や福祉の現場での実習を重ね、調査研究を行いその成果を論文にまとめます。卒業時には、歯科衛生士と社会福祉士の国家試験受験資格が得られ、行政機関や医療施設、介護福祉分野など幅広い領域での活躍が期待されます。
学費: 初年度約82万円、4年間で約242万円
学科HP: 新潟大学 歯学部 口腔生命福祉学科

埼玉県立大学(埼玉県)
「健康開発学科 口腔保健科学専攻」では、歯科衛生士の国家資格取得を目指す学生に対し、質の高い教育を提供しています。この専攻では、歯科診療の補助、予防処置、保健指導など、歯科衛生士として必要な幅広い知識と技術を習得します。さらに、選択科目の履修により、養護教諭一種免許状の取得も可能であり、学校歯科保健に強い養護教諭の育成にも力を入れています。また、多職種連携も重視しており、看護師や理学療法士、作業療法士など、他の医療・福祉職との協働を推進する能力を養成します。これにより、学生は多職種連携の重要性を理解し、実践的なスキルを身につけることができます。カリキュラムは、口腔疾患の理解と口腔保健活動に関する科目を中心に構成されており、臨地・臨床実習では、歯科診療施設や小学校、障害者施設など、多様な機関での実習を通じて実践能力の向上を図ります。これらの教育を通じて、口腔から全身の健康を推進するプロフェッショナルとしての歯科衛生士を育成しています。
学費: 初年度約83~104万円、4年間で約270~290万円
学科HP: 埼玉県立大学 健康開発学科 口腔保健科学専攻

東京科学大学(旧東京医科歯科大学)(東京都)
「歯学部 口腔保健衛生学専攻」では、4年制の歯科衛生士養成課程を擁し、この専攻では、保健医療や福祉分野と密接に連携して、口腔保健活動を展開できる能力を持つ歯科衛生士の育成に注力しています。また同時に、口腔保健分野の未来を担う研究者の育成も目指しています。そして、多職種連携教育や健康教育の企画と実践を通じ、医療を中心としたさまざまな分野において活躍できる人材を育成することに重点を置いています。
学費: 初年度約92万円、4年間で約285万円
学科HP: 東京科学大学 歯学部 口腔保健衛生学専攻

千葉県立保健医療大学(千葉県)
「歯科衛生学科」では、口腔保健の専門家として地域医療に貢献できる人材の育成を目指しています。最新の設備を備えた歯科診療室での実習を通じて、実践的な技術と知識を習得することができます。また、多職種連携を重視したカリキュラムにより、総合的な医療提供能力を養います。卒業生は高い就職率を誇り、県内外の医療機関や教育機関で活躍しています。
学費: 初年度約82~96万円、4年間で約240~260万円
学科HP: 千葉県立保健医療大学 歯科衛生学科

明海大学(千葉県)
「保健医療学部 口腔保健学科」は、東日本の私立大学で初めて設置された4年制の歯科衛生士養成課程です。この学科では、歯学部付属病院などの関連施設での臨床実習を通じて、幅広い研修機会を提供しています。また、語学教育やキャリア形成教育、他学部との連携カリキュラムを取り入れて質の高い教育を実施しています。卒業後は、歯科診療所だけでなく、総合病院や介護保険施設、行政機関、企業、教育・研究機関など、多岐にわたる進路が開かれています。さらに、在宅医療や介護の場で重要視される口腔の健康に対応するため、摂食嚥下リハビリテーションや専門的口腔健康管理の教育も行っています。
学費: 年間約140万円、4年間で約490万円
学科HP: 明海大学 保健医療学部 口腔保健学科

大阪歯科大学(大阪府)
「医療保健学部 口腔保健学科」では、歯学部教授陣による講義や附属病院での豊富な臨床実習を通じて、国家資格水準以上の知識と技能を身につけることができます。カリキュラムは1~2年次に口腔および医療全般の基礎を学び、2~3年次には実際の病院設備や材料を用いた実習を行います。3~4年次には、附属病院の各診療科で多様な症例に触れることで、実践的な経験を積むことができます。また、思考力や判断力の育成にも注力しており、総合病院や医療関連企業など、歯科医院以外への就職も視野に入れた教育を提供しています。さらに同学科の歯科衛生士国家試験合格率は、近年4年連続で100%を達成しており、就職率にも高い実績を誇ります。
学費: 初年度約160万円、4年間で約570万円
学科HP: 大阪歯科大学 医療保健学部

梅花女子大学(大阪府)
「口腔保健学科」では、歯科衛生士の国家資格取得を目指す学生に対し、充実したカリキュラムを提供しています。専門科目では、口腔ケアに必要な高度な知識と技術を修得し、実践力と柔軟な対応力を養います。また、最新の設備を備えた実習環境でのトレーニングを通じて、即戦力となるスキルを身につけることができます。さらに、女性の視点を活かしたケアの提供を重視し、患者さん一人ひとりに寄り添った対応力を育成します。卒業後は、歯科医院や病院、保健所、教育機関など、多岐にわたるフィールドでの活躍が期待されます。
学費: 初年度約160万円、4年間で約617万円
学科HP: 梅花女子大学 口腔保健学科

広島大学(広島県)
「歯学部口腔保健学専攻」では、養護教諭一種免許状の取得も可能です。学生は教養教育を通じて医療人としての基盤を築き、多職種連携教育や歯学部合同授業を通じて幅広い専門知識を修得します。3年次後期からは、広島大学病院や学外実習施設での臨床・臨地実習が行われ、在学中には海外研修の機会も多く設けられています。卒業後は、全国各地の病院や診療所での勤務、企業や行政での活躍、大学院への進学など、多様な進路が開かれています。また、口腔保健分野の教員や養護教諭、研究者としての道も選択可能です。取得可能な資格として、歯科衛生士国家試験受験資格と養護教諭一種免許状があります。主な就職先は、歯科医院、大学病院、歯科関連企業、公務員、大学教員、養護教諭など、多岐にわたります。
学費: 初年度約82万円、4年間で約242万円
学科HP: 広島大学 歯学部 口腔保健学専攻

徳島大学(徳島県)
「歯学部口腔保健学科」では、21世紀の多様なニーズに応える高度な歯科医療従事者の養成を目的としています。地域に密着した医療・保健・福祉の連携によるチームケアを、他の関連職種と協力して進めるための専門知識と技術を身につけた人材を育成します。教育課程では、乳幼児期からの継続的な口腔疾患予防のためのケアと健康教育を重視し、社会福祉関連の科目を充実させています。これにより、幅広い領域の知識と視野を持ち、問題解決型の思考力と実行力を備えた人材育成を目指しています。また、医療従事者に求められる社会的責任感や倫理観、患者との的確な意思疎通能力、人間の尊厳を理解する豊かな感性を育成する教育も行っています。さらに、科学技術の進展に柔軟に対応し、生涯学習への意欲を育むための基礎教育も提供しています。具体的な科目として、衛生行政、歯科診療補助論、チーム歯科医療学、嚥下・摂食障害学、障害者福祉論などが開設されています。これらの科目を通じて、学生は多職種連携や高齢者・障害者の口腔保健衛生に関する知識と技術を習得します。
学費: 初年度約82万円、4年間で約242万円
学科HP: 徳島大学 歯学部 口腔保健学科

徳島文理大学(徳島県)
「口腔保健学科」では、4年制の教育プログラムを通じ、専門性の高い歯科衛生士を養成しています。学生は、歯科予防処置、歯科診療の補助、歯科保健指導の3大業務を中心に、専門分野や基礎分野を学びます。1年次から豊富な実習を経験し、最新の歯科診療ユニットや検査機器を備えた施設で臨床スキルを磨きます。教員は歯科医師や歯科衛生士としての豊富な経験を持ち、学生一人ひとりに親身な指導を行います。卒業後は、歯科クリニックだけでなく、大学病院や総合病院、保健所など多彩な現場での活躍が期待されます。また、歯科衛生士国家試験の全員合格を目指し、早期から国家試験対策を開始しています。学科独自の奨学金制度も設けられており、学生生活のサポート体制も充実しています。
学費: 初年度約167万円、4年間で約580万円
学科HP: 徳島文理大学 口腔保健学科

九州歯科大学(福岡県)
「口腔保健学科」では、歯科医療の基礎から高度な専門知識・技術までを体系的に学ぶことができます。カリキュラムは、基礎医学系科目や臨床系科目、さらに九州歯科大学附属病院や外部の医療施設での臨床実習を含み、実践的な教育が充実しています。また、歯学科との合同実習や多職種連携教育を通じて、チーム医療の重要性を理解し、全人的な歯科医療を提供できる人材の育成を目指しています。
学費: 初年度約80~100万円、4年間で約240~270万円
学科HP: 九州歯科大学

九州看護福祉大学(熊本県)
「口腔保健学科」では、保健・医療・福祉の視点から健康を総合的に捉え、ヒューマンケアを実践できる歯科衛生士の育成を目指しています。この学科では、ライフステージやコミュニティごとに異なる口腔保健のニーズに応える専門職を育てることを重視しています。また、カリキュラムは、基礎科目から臨床実習まで幅広く編成されており、3年次には歯科診療所や病院での臨床実習を行います。また、保育所や幼稚園、障がい児・者施設、高齢者施設などでの発達支援実習を通じて、多様な現場での実践力を養います。これにより、専門的な技術だけでなく、患者一人ひとりに合わせたケアの提供方法を学びます。この学科では、歯科衛生士国家試験の受験資格が得られるほか、履修条件を満たすことで養護教諭一種免許状も取得可能です。これにより、医療機関だけでなく、教育現場や地域保健の分野でも活躍の場が広がります。国家試験全員合格を目指し、早期からの試験対策も充実しています。
学費: 初年度約112万円、4年間で約380万円
学科HP: 九州看護福祉大学 口腔保健学科

自分に合った進路を見つけるために
冒頭においても述べましたが、進学先を選ぶ際は、自分の将来像に合った学びが得られる大学を選ぶことが重要です。各大学の公式ウェブサイトやオープンキャンパスを活用して情報を収集し、自分にとって最適な選択をしましょう。そして、4年制大学での歯科衛生士となるための学びが、多様なキャリアの可能性を広げる貴重な機会となることを願っています。

2025年1月5日日曜日

20250105 歯科材料の進化発展について 

 歯科材料発展の歴史は、人々の生活様式やそれを支える技術の進化と密接に関連しています。古来より用いられた歯科材料は、当時の社会的・技術的背景に強く影響を受けています。特に18世紀の西欧では砂糖の普及により虫歯が急増し、これが歯科治療の需要を高めて歯科材料の進化を促したとも云えます。

 まず、歯科治療において用いられる材料は、大きく分けて4種に分類されます。それは有機材料、無機材料、金属材料、そして複合材料です。古くからそれぞれの材料は、特定の役割を果たしてきました。たとえば、紀元前の精錬・冶金技術が未熟であった時代では金は化学的に安定して加工しやすく、また比較的得易いことから、歯の修復に材料として多く用いられましたが、現代では貴金属価格高騰のため使用が減少しています。

 前述のように18世紀の西欧においては、新大陸から齎された砂糖により虫歯が急増しましたが、当時は虫歯と砂糖との因果関係すら理解されておらず、歯科治療は主に抜歯でした。当時、この抜歯を専門とする「歯抜き師」という職業があり、これは前世期(17世紀初頭)のミゲル・デ・セルバンテスによる文学作品「ドン・キホーテ」にも登場しています。これがやがて、口腔内全般を扱う「歯の治療者」という職業へと変貌を遂げ、これが現代の西欧文化における歯科医師の起源となります。

 さて、先述の18世紀はまた、西欧にて磁器の製造技術が確立した時代でもありました。ドイツの錬金術師ヨハン・ベトガーが磁器製造に成功して、これが歯科材料にも応用されました。また、英国のウェッジ・ウッド社も、磁器の製造技術を応用して陶歯を製造して、その美しさで人気を博しました。この陶磁器製造技術による陶歯は、入れ歯にも使われ、それは当時の基準では、美しさと機能性を兼ね備えたものでしたが、技術的には不完全なものでした。たとえば、アメリカ合衆国初代大統領ジョージ・ワシントンが用いたとされる入れ歯はバネで上下を繋ぎ、咬筋を用い食いしばらないと外れてしまうようなものであったとされています。

 一方、我が国では、もっと早くから入れ歯が用いられていました。現存するものから、15世紀末から16世紀初頭にかけて、柘植(つげ)を材料とした木製の入れ歯が作られ、職人たちによって手作業で精巧に彫られてたことが分かっています。この技術には、我が国古来の彫刻や仏像制作と共通する部分が少なからずありました。とはいえ、19世紀後半から、明治新政府の文明開化、欧化政策により西洋の歯科医療が導入されると、さきに述べた我が国古来の木製入れ歯作成技術は衰退してしまいました。

 近代に入ると、歯科材料の研究開発はますます進み、有機材料(レジンなど)や無機材料(セラミックスなど)、そして複合材料が広く使用されるようになりました。特にセラミックスは、天然歯に近い色調や耐久性を持ち、現在でも審美性が求められる治療においては主流の材料と云えます。また、現代の歯科医療では、3Dスキャン技術などのコンピューターを用いた所謂「デジタル歯科」が普及して、それにより精度の高い補綴装置の製造が可能となっています。

 こうして、歯科材料は古代から現代に至るまで、その時代の技術と社会背景とに応じて進化発展してきました。歯科医療とは、よく云われるように「自然科学とアートが融合した分野」であり、そこでの材料の選択とは、機能性のみならず、審美性や個々の患者さんの要望に応じて変化し続けていると云えます。そして、その中でも特に(現代の美的感覚において)審美性が高い材料と云えるセラミックスは、古来からの磁器技術を応用して進化発展を遂げてきたものであることから、今後もさらに洗練されていくものと考えます。

*ChatGPTによる添削後
 歯科材料の発展の歴史は、人々の生活様式やそれを支える技術の進化と密接に関連しています。古来より用いられてきた歯科材料は、当時の社会的・技術的背景に強く影響を受けていました。特に18世紀の西欧では、砂糖の普及により虫歯が急増し、これが歯科治療の需要を高め、歯科材料の進化を促したといえます。

 まず、歯科治療において使用される材料は、大きく分けて有機材料、無機材料、金属材料、複合材料の4種類に分類されます。それぞれの材料は古くから特定の役割を果たしてきました。たとえば、紀元前の精錬・冶金技術が未熟だった時代には、金が化学的に安定して加工しやすく、比較的得やすいことから歯の修復材料として多く使用されました。しかし、現代では貴金属価格の高騰により、使用が減少しています。

 前述のように、18世紀の西欧では新大陸から齎された砂糖の普及により虫歯が急増しましたが、当時は虫歯と砂糖との因果関係すら理解されておらず、歯科治療の主流は抜歯でした。この時代には抜歯を専門とする「歯抜き師」という職業が存在しており、ミゲル・デ・セルバンテスの文学作品『ドン・キホーテ』にもその存在が描かれています。その後、「歯抜き師」は口腔内全般を扱う「歯の治療者」へと発展し、これが現代の西欧文化における歯科医師の起源となりました。

 また、18世紀は西欧において磁器の製造技術が確立した時代でもありました。ドイツの錬金術師ヨハン・ベトガーが磁器製造に成功し、その技術が歯科材料にも応用されました。さらに、英国のウェッジウッド社は磁器製造技術を応用して陶歯を製造し、その美しさで人気を博しました。この陶歯は入れ歯にも使用され、当時の基準では美しさと機能性を兼ね備えたものでしたが、技術的には不完全でした。たとえば、アメリカ合衆国初代大統領ジョージ・ワシントンが使用したとされる入れ歯は、バネで上下を繋ぎ、咬筋を使って食いしばらないと外れてしまうような構造だったと伝えられています。

 一方、我が国ではさらに早い時期から入れ歯が使用されていました。現存するものから、15世紀末から16世紀初頭にかけて、柘植(つげ)を材料とした木製の入れ歯が作られ、職人たちによって精巧に彫られていたことが分かっています。この技術には我が国古来の彫刻や仏像制作との共通点が少なからずありました。しかし、19世紀後半になると、明治新政府の文明開化や欧化政策により西洋の歯科医療が導入され、我が国古来の木製入れ歯技術は衰退しました。

 近代に入ると、歯科材料の研究開発が進み、有機材料(レジンなど)、無機材料(セラミックスなど)、複合材料が広く使用されるようになりました。特にセラミックスは天然歯に近い色調と耐久性を備えており、現在でも審美性が求められる治療において主流の材料といえます。さらに、現代の歯科医療では3Dスキャン技術などのデジタル技術が普及し、これにより精度の高い補綴装置の製造が可能になっています。

 このように、歯科材料は古代から現代に至るまで、その時代の技術や社会背景に応じて進化・発展してきました。歯科医療は「自然科学とアートが融合した分野」といわれるように、材料の選択には機能性だけでなく、審美性や患者の要望が考慮されます。その中でも特に審美性に優れるセラミックスは、古来からの磁器技術を応用して進化を遂げてきた材料であり、今後もさらなる洗練が期待されます。

今回もまた、ここまで読んで頂きどうもありがとうございます!
一般社団法人大学支援機構


~書籍のご案内~
ISBN978-4-263-46420-5

*鶴木クリニックでのオペ見学につきましても承ります。

連絡先につきましては以下の通りとなっています。

メールアドレス: clinic@tsuruki.org

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どうぞよろしくお願い申し上げます。




2025年1月3日金曜日

20250103 立ち読みと集中力から ~意識の変容について~

 昨年末は慌ただしく過ぎ、今年に入ってからも、未だ新年の実感が乏しいのですが、久々に連日散歩に出ました。本日の神田神保町には既に営業している書店がいくつかあり、入って立ち読みをしていますと、やがて面白そうな書籍を見つけ、しばし、それに読み入り、そして、こうした行為を何度か繰り返すことにより、いつの間にか意識が変容していることが、書店や図書館などでの立ち読みでの一つの醍醐味ではないか?と、何故であるか久々に感じられました。この立ち読みによる意識の変容については、以前、当ブログにて述べたことがあったと思われますが、かつて和歌山市在住の頃、住んでいたアパートから自動車で10分程度の場所に比較的大きなショッピングセンターがあり、その中に、これまた大きな書店があり、その書店は大学からも近いためか、専門書なども揃えてあり、大学図書館とはまた違った楽しさがあり、さらに当時は24時間営業であったことから、アパートで調べものや文章の作成などをしていて煮詰まってきますと、時間帯を問わずここに来て、全く異分野の書籍の立ち読みなどをしばらくしていますと、不思議なことにリフレッシュされて、やがてショッピングセンター内のスーパーマーケットで氷菓などを購入して、それを食べつつ帰路につくため駐車場に戻るわけですが、そうした際に、自分がこの比較的大規模なショッピングセンターの駐車場の何処に駐車したのかを、キレイに忘れていることが何度かありました。他方で、その10分ほど前に読んでいた書籍の内容については、比較的明瞭に憶えているにもかかわらず…。そして、その後しばらく自己嫌悪の念を抱きつつ、自分が駐車した場所を探し続けるのですが、しかし同時に、こうした明確な意識の断層が生じるほどの意識の変容が生じることが、冒頭にて述べた「立ち読みの醍醐味」とも通底するものがあるのだと考えます。そして、それを肯定的に捉えるのであれば「集中力」と捉えることが出来ると云えます。そして端的に、当時の私は、それまであまり鍛えてこなかった「集中力」を、読書などにより自分なりに鍛えていたのだとも云えます。修士院生当時は、それまでではあり得ないほどの量の読書をしました。私は元来、興味を持った分野での読書であれば、あまり苦にならない性質であることから、当時は、本来の専攻であった地域学以外にも民俗学、考古学、古代史、経済学、社会学、近現代史など、それなりに多岐にわたる分野の書籍を読むことが出来たのだと云えます。そしてまた、それぞれの分野での読書が、他の何らかの分野での読書から生じたストレスを緩和する意味もあったことから、こうしたことが出来たのだと云えますが、しかしながら他方で、人文系の大学院修士課程では、このようなことは特に珍しくはないと云えます…。そして、この「集中力」は当時と比較しますと、現在は明らかに減衰したと感じられます。その理由の多くにはスマホ画面を見続けることによる視力の衰えもあるとは考えますが、こうしたことは読書の進み具合などから、自身としては比較的明瞭に認識することが出来ます。それ故、若くて目が健康で強いうちに、出来るだけ多くの難しそうな書籍を集中して読むことをおススメします。若い頃にそうした書籍に取り組み、理解出来た記憶があるのであれば、その後も、その記憶の経験を足場として、また新たな難しそうな書籍などにもあまり臆せずに取り組むことが出来ると考えます。そして、私もまた、そうした経験を足場として、昨年は2024年ノーベル経済学賞受賞の研究者等による著作を(どうにか)通読することが出来ましたが、おそらく、これも、それまでの読書経験があったからであると考えます。とはいえ、昨2024年は、目まぐるしく変転する国内外の情勢を自分なりに理解するために、これまで読まなかった分野での著作を立て続けに読んだためであるのか、現在に至るまで、少しバテ気味であり、そしてまた、この状態には、さきに述べた「以前であれば余裕であったのに…」と感じられる「集中力の減衰」があると私は考えています…。


*ChatGPTによる添削後
 昨年末は慌ただしく過ぎていき、今年に入ってからもまだ実感が湧かないままの日々が続いています。しかし、今年に入ってからは久しぶりに連日散歩に出かけました。本日の神田神保町では既に営業している書店がいくつかあり、立ち寄って立ち読みをしていると、やがて興味を引く書籍を見つけ、しばらくそれに読みふけっていました。このように立ち読みを繰り返すうちに、いつの間にか意識が変容していることに気づきました。こうした感覚は、書店や図書館で立ち読みをする醍醐味の一つではないかと、久しぶりに実感した次第です。

 この「立ち読みによる意識の変容」については、以前、当ブログでも述べた記憶があります。かつて和歌山市在住の頃、住んでいたアパートから車で10分ほどの場所に比較的大きなショッピングセンターがあり、その中に大規模な書店がありました。その書店は大学からも近かったためか、専門書も充実しており、大学図書館とは異なる楽しさがありました。また、当時は24時間営業だったこともあり、アパートで文章作成などをして行き詰まると、時間を問わずそこに出向いて、全く異なる分野の書籍をしばらく立ち読みすることがよくありました。不思議なことに、そうすると気分がリフレッシュし、その後、ショッピングセンター内のスーパーでアイスを買い、食べながら帰路につくのが常でした。

 ただし、帰り際に駐車場で自分がどこに車を停めたかをきれいに忘れてしまうことが何度かありました。一方で、その直前に読んでいた書籍の内容は比較的鮮明に覚えているのです。このような意識の断層が生じること自体、立ち読みの「意識変容の醍醐味」と通じる部分があるのだと感じます。この現象を肯定的に捉えれば、集中力の発露とも言えるのではないでしょうか。

 当時の私は、それまであまり鍛えてこなかった集中力を、読書を通じて鍛えていたのだと思います。修士課程時代には、それまでの人生で考えられないほど多くの読書をしました。元来、興味を持つ分野の読書であれば苦にならない性質だったため、本来の専攻である地域学に加え、民俗学、考古学、古代史、経済学、社会学、近現代史など、多岐にわたる分野の書籍を読むことができました。また、それぞれの分野の読書が、他の分野での読書によるストレスを和らげる役割も果たしていたため、これだけ多くの読書が可能だったのだと思います。もっとも、人文系大学院の修士課程では、このようなことは珍しくないとも考えられます。

 しかしながら、この集中力は現在、明らかに減衰したように感じます。その理由の一つとして、スマホ画面を長時間見ることで視力が衰えたことが挙げられます。この影響は読書の進み具合からも自覚できるところです。そのため、若く視力が健康なうちに、できるだけ多くの難しい書籍を集中して読むことをお勧めします。若い頃にそうした書籍に取り組み、理解した経験があれば、その後もその記憶を足場に新たな難しい書籍に臆せず挑むことができるでしょう。

 私自身もそのような経験を足場に、昨年は2024年ノーベル経済学賞受賞者の著作をどうにか通読することができました。これも過去の読書経験があったおかげだと感じます。ただ、昨2024年は、変化の激しい国内外の情勢を把握しようと、それまで手に取らなかった分野の著作を次々に読んだこともあり、少々疲れが残っています。また、この状態には、先に述べた「以前は余裕でできていたことができなくなった」という集中力の減衰が影響していると感じます。

今回もまた、ここまで読んで頂きどうもありがとうございます!
一般社団法人大学支援機構


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ISBN978-4-263-46420-5

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