久しぶりに読んだ長編ともいえる小説でしたが、大変読み応えがありました。
そして、以前もブログ記事にて記したことがありましたが、読了後、頭の中を列車が通過するような不思議な感覚をも、また味わいました(笑)。
とはいえ、この小説は、どちからというとハッピーエンドではなく、その後すぐに東京大空襲、原子爆弾の二都市への投下といった大変悲惨な史実が待ち受けていることを考えてみますと、歯切れ、後味は悪い方であるのかもしれません・・。
また、このことは、トーマス・マンの「魔の山」の結末とも類似しており、この小説は、主人公のハンス・カストルプが第一次世界大戦の戦場の真っ只中にいる様子が描かれているところで結末を迎えています・・。
しかし何れにせよ、この「迷路」とは、日本近代文学の著作の中においても、かなり優れているのではないかと思われます。
それに加え、この著作は、先行きが極めて不透明な現在の我が国であるからこそ、より一層、読むに価するのではないかとも思われます・・。
それ故、もし、現在、何か手応えのある著作を読んでみたいと考えている方々にとっては、その願望を満たしてくれる著作ではないかと考えます。
また、そのことは先ほど結末の歯切れの悪さが「迷路」と類似している著作として挙げた「魔の山」においても同様であるかもしれません・・。
しかしながら私個人の現在の感想としては、今後しばらくは長編小説は結構です・・(苦笑)。
さて、ハナシは変わりますが、これまで投稿したブログ記事は280以上となり、300記事まであともう少しとなります・・。
とはいえ、300記事以上書くと「何か変わったこと」が起きるというわけでもなさそうですので、とりあえず、そうしたことをあまり考えず「何となく300記事に到達していた」といった感じを目指し、今後も何かしら書き続けていこうと思います。
また、これは大変重要なことですが、読んで頂いている方々の一連のブログ記事に対する知的な反応とは、ブログ記事を作成する際の主要な原動力となっております・・。
そして、最後に、ここまで興味を持って読んでくださった皆様、どうもありがとうございます。
今回の熊本の大地震にて被災された地域の諸生活インフラが復旧し、早期に地域一帯が復興されることを祈念いたします。
「茶の味」予告編
私も現在読んでいます。途中です。慎吾のノートまで来ました。読了まであと少しです。もっとわかりやすく書き直したい気持ちがこみ上げてきます。でも、当時の空気が感じられて、とても貴重な作品です。省三のふわふわ感が、時代を越えてその場に放り込まれたような親近感を少しだけ感じます。彼女が見てきた戦争の渦は遠巻きに見ている感じがして、我々の気持ちにフィットする。そして、何とも言えない時代の暗さ、怖さ、それらを空気として匂い、感じられる読み物は少ないと思います。
返信削除この小説をネタにしていろいろ語ることもできますね。
その先について扱った著作をお求めでしたら、大岡昇平の「ある補充兵の戦い」「俘虜記」あるいはより重厚な作品でしたら大西巨人著「神聖喜劇」がお勧めです。 「神聖喜劇」はマンガ版も刊行されていますが、やはり小説版にて読まれた方が感じるものが、より多いと思われます。
返信削除