2021年1月2日土曜日

20210101【架空の話】・其の58 【1450記事】

また、教授に挨拶をするとのことで当大学指定の作業着である薄いブルーの白衣(日本語が少しおかしいですが・・)を持参し、K大学学内にて着用することになった。(ちなみに、E先生より、この予定の伝達を聞いた時、何故だかシェイクスピアの「ジュリアス・シーザー」冒頭部が思い出された。)

訪問日当日は、大学での課業を終え帰宅し、比較的キレイな作業着(白衣)を持参して、家から出てすぐの坂をのぼりK大学に向かった。坂をのぼりきらないうちから、前方に病院施設と思しき建物が目に入ってきて、なおものぼり続けると、建物に「K大学病院」と表示されているのが目に入ってきた。

私の在籍する口腔保健工学科は3年生の後期に入ってからも実習や見学にてK大学に訪問することはなく、うろ覚えの年度予定表によると、4年生に上がってから、ようやくそうした行事があるとのことであった。それに対して口腔保健学科は3年生後期、つまり丁度この時期には病院実習が始まっていた。またそれは他の医学系学科全般においても概ね同様であった。そこから、以前にも述べた通り、口腔保健工学科つまり歯科技工士の養成においては、実際の臨床現場にて患者さんに相対するよりも、ラボなど作業現場の方が重視されるという現実を垣間見ることが出来るようにも思われた・・。

とはいえ、それは特に改善を要するべきところではなく、また、歯科医療分野においては、その性質上、そうしたいわば「縁の下の何とやら」が必要であるのだと思われる。

さて、坂をのぼりきり、右斜め前に大学病院の全容が目に入ってくると、敷地内の更に先にある歯学部棟を目指し歩き続けた。10月の夕刻近くとはいえ、南国とも云えるkでは、しばらく歩くと汗ばんできて、また、丁度私の歩いている道側に当地域ではポピュラーなスーパーマーケットが目に入ってきたことから、そこで何か飲物を購入しようと入ってみると、そこには、おそらくはK大学の学生さんと思しき方々が割合多くいて、店内はにぎやかであった。

私はペットボトルのお茶を購入し、さらにグーグルマップの示す歯学部棟の方に行くため、横断歩道を渡り薄茶色の建物に近づくと、そこには歯科診療棟と表示されており、そのさらに奥には歯学部棟と思しき建物が続いていた。

私はこの奥に見える歯学部棟に行こうと、左手に見える駐車場沿いに構内を進むと、その先には4面のテニスコートがあり、そこでは学生さん達が、元気な声を出し部活動に励んでいた。やがて右手にも駐車場が見えてきて、そしてグラウンドと歯学部棟の出入り口と思われる場所も目に入ってきた。

それら建物全容は、私の在籍する専門職大学と比べ、建造された年代は大分前であるが、それでも遥かに立派であり、まさに「昔ながらの大学」といった感じを受けた。そういえば、かれこれ私は既に1年以上、専門職大学に在籍しているが、そこでの実習や課業が思いのほかに多忙であることからか、以前の文系での大学生活を徐々に忘れてきているような印象があり、それは偶に連絡がある延岡にいるBや、指導教員の存在によってもあまり活性化されるといったことはないように思われた・・。

さて、歯学部棟に着いてみると、時刻は待ち合わせ時刻の約10分前の17:20頃であり、一人で先に棟内に入るのも気がひけることから、出入り口付近でペットボトルのお茶を飲みつつ、待つことにした。とはいえ、出入りする白衣姿の教職員と思しき方々からの少し怪訝そうな視線には少し恐縮し、敢えて視線をあらぬ方に置こうとつとめた・・。

やがて背後から「おお、***君、来ていたのか!良かった、良かった!」と聞き慣れた声で云われたので振り返ると、そこにはこちらに向かって歩きながら白衣を着つつあるE先生がいた。

*今回もまた、ここまで読んで頂き、どうもありがとうございます!



ISBN978-4-263-46420-5

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