さて、高齢の方々の健康寿命の延伸のためには、筋肉の減少やフレイル(虚弱化)への対応が大切になってきます。たとえ、口の機能に問題がある場合であっても、安全な調理方法や、栄養バランスを考慮したアドバイスによって、十分な栄養を摂取することは可能です。そのためにも、歯科医師や歯科スタッフは、栄養についての基礎的な知識を備え、そして管理栄養士との連携が必要になってくると云えます。
医療や福祉全般の視座から見ても、口に問題を抱える患者さんの治療には、歯科医師や医師、介護スタッフなどが連携して取り組むことが重要になってきます。また、退院後も、歯科医療スタッフと管理栄養士が協働してリハビリや栄養管理に取り組むことが求められます。くわえて、健康診断でも食事に関する質問が増えており、そこからも歯科医療スタッフには栄養学についての基礎知識が必要であると云えます。
しかし、現状では、口の問題を抱える患者さんへの歯科医療と管理栄養士との連携が不十分であるケースも数多くあります。この問題に対処するため、日本老年歯科医学会では、歯科医療スタッフと管理栄養士との連携を強化して、相互の専門知識向上のための研修を提供することを検討しています。そして、この連携により、我が国の健康寿命延伸に貢献することが期待されます。
しかしながら、歯科医療の視点からは、噛む機能改善に適した食事の提案は依然として重要であると云えます。このためにも、やはり、歯科医師をはじめとする歯科医療スタッフと管理栄養士の協力が不可欠になります。また、とくに昨今、食事や栄養に関する問題は、歯科医療サイドからも関心が強く、医師や管理栄養士をはじめとする医療スタッフの方々とも協力して、治療にあたることがもとめられます。そしてまた、地域の栄養サポートチーム(NST)にも、歯科医療からの関与が求められます。とはいえ、現状としては、食事や嚥下障害に関する栄養指導や管理栄養士の連携が医療・介護保険の対象外となる場合も多々あります。
他方で、歯科医療機関にて勤務する管理栄養士は増加していますが、そこでは、管理栄養士本来の栄養相談以外にも歯科助手や医療事務などの業務を兼務するケースが多いです。また、歯科訪問診療では管理栄養士が食事のアドバイスを提供することもありますが、こちらも、保険請求手続きの複雑さが課題となっています。
地域の食生活や栄養状態の改善や疾患再発予防のためには、管理栄養士の適切な関与が欠かせません。そして、その基盤を築くためには、歯科医療側も地域での活動の重要性を認識する必要があります。
昨今は、介護施設などで歯科医療と管理栄養士との(自然発生的な)連携が進んでおり、そして、地域における重要性が高まってきています。こうした取り組みには、地域での医療や福祉との連携が不可欠であるのですが、現状では、さらに多くの、こうした地域に根ざした管理栄養士の存在が求められていると云えます。
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