具体的に、同じ歯科医療専門職である歯科衛生士の養成校と比較してみますと、来年2023年春にも近畿地区で四年制大学の学科が新設されるとのことでした。他方、古くからの養成校で、施設の老朽化などで閉鎖に至った学校があると見聞きはしましたが、それは、さきに述べた歯科技工士養成校閉鎖の「割合」とで比較してみますと、微々たるものであると云えます。
そう、同じ歯科医療に携わる「手に職」と(国家)「資格」でありながら、片方(歯科衛生士)は、かねてより、そしてさらに養成校の新設が続き、そして他方(歯科技工士)では、過日の投稿記事にて述べましたとおり、養成校の閉鎖が続いているのが現状と云えます・・。
そして、この対照的な状況は、それぞれの伝聞されている労働環境や仕事内容によって生じていると聞き及んでおります。また、たしかにそれはそれで間違いではないと思われますが、しかし、同時に、それのみが主要な原因ではないと思われるのです。
これをもう少し考えてみますと、その背景には、歯科衛生士、同技工士それぞれ仕事内容特性の違いがあると思われます。つまり、歯科衛生士は、さまざまな機器、器具を扱う機会が多くありますが、そうであっても、対応するのは主に患者さんであることから、臨床職であると云えます。他方、歯科技工士は通常、患者さんの対応をすることは(殆ど)ありませんので、さきの臨床職とは異なり、いわば歯科医療技術職であり、対応するのは、補綴装置作成のための各種機器や、その材料が、主たるものであると云えます。
そうした事情から、それぞれの養成校での教育について類推してみますと、歯科衛生士の場合、実際に患者さんと接する機会となる臨床実習が(とても)重要なものとなりますが、歯科技工士の教育課程では、上述しました仕事内容の相違から、特に臨床にて患者さんに接するといった機会はありません。
そして、実際にそれぞれの職種についても、一般的に歯科衛生士は、患者さんへの対応、臨床業務の的確さなどが重視され評価されると云えます。他方で歯科技工士の場合、対面での要素が乏しく、主に作成補綴装置の納期、そして仕事の精確さといったものによって評価されると云えます。
つまり、歯科技工士は歯科医療職ではありながらも、他の医療職と比べ、対人の機会が少なく、主として相手にするのは機器、器具と材料であると云えます。
そこで、昨今から今なお続くDXが出てくるのですが、この流れは既存の歯科技工、そしてまた歯科医療も大きく変えます。その場合、歯科医師、歯科衛生士といった対人を主とする職種であれば、大きく変わることはないと思われますが、歯科技工士の場合、それを成立させている技術体系が、ひとたび全面的に更新されますと、各々養成校では、実習にて用いる機器、材料など一式全てを、新たな技術体系に即したものへと変更しなければ実習が困難になります。
とはいえ、歯科技工界隈にて、こうした流れ(DX)が顕著になってきたのは、ここ十数年ほどであり、あるいは、近年、閉鎖に至った養成校の多くは、このDXの潮流に適応可能な歯科技工士の養成・教育を行うことが困難であると考えたことが大きかったのではないかとも思われるのです・・。
今後しばらく、歯科技工士養成校の閉鎖は続くと思われ、また、それが底を打った後、その次には、どのような養成機関での教育課程を経て、新たな歯科技工士が生まれてくるようになるのでしょうか?
ともあれ、今回もまた、ここまで読んで頂き、どうもありがとうございます!
順天堂大学保健医療学部
祝新版発行決定!
ISBN978-4-263-46420-5
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