部屋に戻った私は、テレビを点けたままで荷物をまとめ、チェック・アウト時刻の10時には出発できるようにしていた。とはいえ、昨夜はあまり荷物を広げなかったことから、いつもより早く片付き、そして、敷いたままにしておいた布団に再び寝転がりながら、なおもテレビを観ていたが、特に関心を引くようなトピックがなかったことから「こうしていても仕方ない。」と思い、10時まで少し間があったが、荷物を持ち部屋を出た。
フロントにルーム・キーを返却して車に向かおうとホテルから外に出ると、既にして良い陽気で蒸し暑く、すぐに汗ばんでくる程であった。
車のドアを開けると、車内から昨日の運転時の空気が感じられ、現実に引き戻されるような感覚があった。私はまとめた荷物を助手席に置いて出発したが、思いのほかに出雲大社が近かったことから、しばらく周辺をドライブした後、参拝に向かおうとしばらく気ままにドライブをすることにした。
時刻は丁度10時頃であったが、既に人通りは多く、大社参道と云える神門通り(県道161号)は賑わいを見せていた。
しばらく車で周辺を走った後、あらためて、この通り沿いにあるコインパーキングに車を停め、そこからは徒歩移動することにした。すぐ近くには有名な女性歌手の御実家という老舗旅館があったが、さすがに、この旅館に入ってみる勇気はなかった・・(苦笑)。
ともあれ、そこからさらに神門通りを進むと、出雲大社に至るわけであるが、大社の敷地はかなり広く、本社殿に着くまでに、さまざまな摂社、出雲神話にまつわる場面の銅像などがあった。実際に行ってみて分かったことは、大社本殿は八雲山を背にして建てられていることであり、また私の刷り込み、思い込みであろうか、この八雲山から立ち上る雲の様子は一種独特であり、そこから素戔嗚尊が詠んだとされるあの日本最古の和歌が思い出された・・。
また、本殿周囲には、これまた多くの摂社が建ち並び、さながら神々の分譲地といった感であったが、またこうした景色を眺めていると「八百万の神」といった言葉も、我が国においては自然な響きを持つものであったのだろうと感じられた・・。
あるいは、ここには我が国の昔ながらの宗教観が具現化した様相が示されているのかもしれない・・。
そうして、出来るだけ多くの本殿を含む社殿、摂社にお参りをして、昼過ぎを迎えた頃には、人通りもさらに多くなり混みあってきたことから、来た道を戻り、神門通り沿いのコインパーキングにとめていた車に戻った。ちなみにこの帰り道にて、いくつかの土産物店などに立寄って、出雲型の勾玉を複数購入しておいた。
さて、再度車を走らせると、昼食を食べていないことに気が付き、県立中央病院の近くにあった某餃子チェーン店に入った。朝から食事をまともに摂っていなかったことから、ここでは比較的多く食べることが出来た。
昼食べ終え、少し休憩を入れてから車を走らせはじめて直ぐに、後方を走っていたパトカーから「そこの青の鹿児島ナンバーのプレオ停まってください。」とスピーカー越しに指示を受けた。「特に交通違反は行っていないつもりだが・・」と思いつつ車を路肩に寄せて停車した。パトカーから二人の警官が現れ、形式通り免許証や車検証の提示を求められ、そして「大分荷物があるようですが、どうしたのですか?」と訊ねてきた。私はそれに対し事情を説明していると「何か疑われているのかもしれない・・」と感じた。そして「それじゃあ、一応、その車に積んである荷物も見せてください。」と云われ「そうですか・・あまり大したものはありませんが・・」と、後部のトランクを開けて、積んである荷物を一つ一つ示し始めた。その時に不図思ったことはトランクに積んである青いプラバケツの中に実家から持って行ったレジン(プラスチック)製の実寸大スカルモデル(頭蓋模型)があることであり「これを目の前にいる警官に見せたら一体どのような反応をするのだろうか?」とさらに思い、ここで少し仰々しい態度で「ええと、こんなものもありますが・・」とスカルモデル(頭蓋模型)を二人の警官の目の前に示すと、一瞬明らか驚愕の表情となったが、こちらが落着いた調子で、これを持っている経緯を手短に話すと「・・ああ、そういう事情ですか、分かりました・・いえ、荷物を満載しているので、後方確認が難しいのではないかと思い、声を掛けさせて頂きましたが、大丈夫ですか?」と訊ねてきた。一応後方の荷物は隙間を設けるように積んでいることを説明し「ちょっと難しいですが、バックミラーをこうすれば、どうにか確認できます・・。」と説明した。この説明は実際のところそこまで明瞭なものではなかったと云えるが、少なくとも、これまでの説明で職務質問をされた原因と思われる「疑い」は晴れたようで、晴れて「では、残りの運転も気を付けてください。」と放免になった。そこで昂っていた私は「ええ、お仕事ご苦労さまです。どうもありがとうございます。残りの道も気を付けて行きましょう。」と(自身としては)鷹揚な調子で返事をした。
おそらく、これが以前の私であれば、もっと気弱な感じとなり、警官の方々に、さらなる疑いを増長させてしまったのではないかと思われるところですが、この時はスカルモデル(頭蓋模型)を用いたちょっとしたイタズラ心を持つ余裕があったほどと云えますので、まあ、以前よりも多少気が大きくなっていたのだと思われます・・(苦笑)。
しかしながら、実際に悪い事は行っていませんので、今となっては笑って済ませて頂ければと願うところです・・(笑)。
*今回もまた、ここまで読んで頂き、どうもありがとうございます!
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ISBN978-4-263-46420-5
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